もしもーし
お子さんが大好きな電話ごっこ。いろんなものが電話に変身して、女の子のもとへ電話をかけてきます。電話の相手はだれかな?日常生活のやり取りにも活かせそうな、楽しいお話です。小さいお子さんからピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- いろんなものが電話になって、女の子に電話をかけてきてくれます。誰からの電話かな?もしもーし、と出てみましょう。繰り返しの電話のやり取りが楽しいです!
- 切り絵・貼り絵のような描写の絵で、色使いも可愛らしいです。絵のタッチがシンプルで分かりやすいので、小さいお子さんから楽しめます。
- りーんりーん、もしもーし、のやり取り、日常生活のちょっとした場面でお子さんと楽しめそうです。大人が電話しているようすを子どもって見ていますよね。なりきって楽しめる「ごっこ遊び」にもなりそうです。
☆際立った特徴
子どもが大好きな電話ごっこ。いろんなものが電話に変身して子どもに呼びかけていきます。誰からの電話かな、電話に出るのがワクワクドキドキするお話です。
絵本の大きさは19㎝四方の正方形で、大人の片手を広げたくらいの大きさです。お子さんの小さな手にも扱いやすい大きさの絵本です。
切り絵・貼り絵のようなイラストで、シンプルで分かりやすく、お話に入っていって楽しみやすいタッチです。いろんなものが登場してきますので、お子さんの好奇心が高められます。
☆あらすじ
りーんりーん、と電話の音が聞こえます。何がなっているのでしょう。
スプーンがなっているようです。スプーンを耳に当て、「もしもーし」と尋ねます。
呼んでいたのは温かいごはんです。冷めちゃうから、早く食べて~。
今度はバナナの電話から音が聞こえます。「もしもーし、だれですか?」
呼んでいたのはなんとミキサー!ミックスジュースを作ろう、と誘っています。ミキサーのそばにはりんごとミカンも待っています。
つぎは、歯磨きがりんりんとなっているようですよ。
女の子は少し浮かないような表情で電話をとります。「もしもーし」
すると、出たのは歯ブラシでした。一緒に歯磨きしよう、と呼んでいます。
今度はスコップの電話がなっています。スコップを耳にあて、電話に出ると…
呼んでいたのは砂場でした。遊びに来てくれるのを、ざくざくと待っているようです。
そしてさらにりーんりーん、となります。ぷかぷかあひるから電話のようですよ。
もしもーし、だれですか?答えたのはお風呂!ぽかぽか温かいお風呂が待っています。
今度は可愛い茶色のくまちゃん電話です。だれですか?
もしもし、お布団です。一緒に寝ましょう、おやすみなさい~。と、眠っていきました。
☆書店員の感想
●いろんなものが電話になって、女の子に電話をかけてきてくれます。誰からの電話かな?もしもーし、と出てみましょう。繰り返しの電話のやり取りが楽しいです!
りーん、りーん、といろんなものから電話がかかってきます。最初に電話がかかってきたのはスプーンからでしたが、スプーンが呼んでいるのかな?と思いきや、そのスプーン電話を使って女の子を呼んでいたのはごはんでした。左のページにはりーん、りーんとなっているものの絵が描かれていて、右のページにその電話をとった女の子が描かれています。女の子が「もしもーし、だれですか?」と返答すると、次のページには女の子を呼んだものたちが登場してきます。もしもーし、と答えた女の子の電話の先の相手は誰かな、と、あてっこしながらページをめくり読んでいくとさらに楽しめそうです。
バナナが出てきたときは、なにが呼んでいるんだろう、と想像がつきませんでした。ヨーグルトかな、はたまたケーキかな…。そう思いつつページをめくると、ミックスジュースをつくるためのミキサーが呼んでいたのですね!女の子はごはんの時と同様にスタイを首につけていますので、女の子はちょっと答えが分かっていたのかもしれません。バナナの入ったミックスジュース、美味しそうです。
歯磨きからの電話のときは、ちょっと表情が曇っているような女の子。歯磨きが少しイヤだったのかな?
歯磨きをしよう、と声をかけると、イヤだな~ってなる子はきっと多いと思います。私の長男もそうで、2歳前後のころイヤイヤ期も重なり歯磨きがとことん嫌いな子でした。けれど、なんとか虫歯にだけはならないように…と、必死に磨いていたのを覚えています。この絵本のように、歯ブラシから電話がかかってきて、一緒に歯磨きしよう、と声をかけてもらえたら、楽しい気持ちで歯磨きができたのかもしれないな…と思いながら読んでいました。第一子だったので余裕もなかったのですが、りーん、りーん、もしもし、と、遊び心を取り入れたり、歯磨きが少しでもスムーズに行えるような工夫のレパートリーを持っていたかったな、と感じました。
ごはんを食べて、歯磨きをして、お砂場で遊んで、お風呂に入ってお布団で寝る…。そういった一日の一連の流れがこの絵本に描かれています。
●切り絵・貼り絵のような描写の絵で、色使いも可愛らしいです。絵のタッチがシンプルで分かりやすいので、小さいお子さんから楽しめます。
この絵本の絵は、登場してくるいろんなもののかたちに切られた紙を重ねて貼って絵が作られています。重ねて貼られていることで少し影もでき、浮いているような立体感を感じます。パッと見て何の絵か分かるシンプルなイラストで、小さいお子さんが見ても理解し、一緒に楽しむことができそうです。
そして、描かれているものが身近にあるものが多いですので、絵本のやりとりの真似をして、日常生活の中で楽しむこともできます。ちょっとお子さんの気分が乗らないときなどに試してみるのもいいかもしれませんね。無理強いするより、遊びの雰囲気があった一言をかけるだけで、パッと切り替わるときもあるように思います。私自身、親として余裕のないときも多いのですが、子どもの表情を見ながらいろんな角度から声かけ攻撃を試してみるときがあり、意外な反応が返ってくるときもあるので、子どもって面白いな、と感じます。
絵の色はパステルカラーが多く、原色は少なめです。背景も淡色が多く使われていますので、絵本は全体的に優しい印象を受けます。また、もしもーし、と答えている女の子の装いが答えるものによって違っていますので、電話の相手のヒントになっていますよ。砂場のときはお出かけの格好ですし、お風呂に呼ばれた時はすでにシャツ姿になっています。くまさん電話がなったときはパジャマを着ていますね。シンプルながらもちょっとずつ変化していますので、その点にも注目して読み進めていくのがおすすです。
●りーんりーん、もしもーし、のやり取り、日常生活のちょっとした場面でお子さんと楽しめそうです。大人が電話しているようすを子どもって見ていますよね。なりきって楽しめる「ごっこ遊び」にもなりそうです。
もうすぐ4歳の次男は本当に毎日家族のことをよく見ています。長男のことも、わたしのこともよく見ていて、いつの間にか電話の応対も聞いて覚えているようです。実家に使っていない家庭用の電話機があって、それでよく遊んでいるのですが、受話器を耳に当てて、「はい、○○(苗字)です。だれですか?今、忙しいので出れません」「今、○○しています。」「はーい、またね、元気でね、おやすみ~」と、だれか架空の設定相手がいるようなのですが、その相手に、電話のはじまりの挨拶からお別れの挨拶まできっちりしていて驚きました。子どものつたない会話なのですが、それがまた可愛らしく、面白くもありました。
そして実際にわたしが電話していると、相手が誰であろうと隣に来て、「誰から電話!?代わって代わって~!」と叫ぶので、電話になりません。(笑)電話の相手は基本的に電話に出た本人しか分からないので、やはり気になるのでしょうね。子どもにとってはとても魅力のある、気になる存在なのだな、と感じます。
そんな電話のやりとり、電話に出るまで相手が分からない楽しみも味わえます。絵本のお話を通して、お子さんと電話ごっこをぜひ楽しんでいただきたいと思いました。