ゆびさきちゃんのだいぼうけん
お外に出られない雨の日の読み聞かせにピッタリ!本書の中でゆびちゃんと冒険に出掛けよう!お出かけ前にもオススメ!お出かけがさらに楽しくなるかも!
☆3つのおすすめポイント
- ママに言われたことが気に入らず、家出してしまったゆびちゃん。公園へ行って遊んでいると、牛の子どもに誘われて、草のトンネルに入っていきました。どこへ行ってしまうの??ゆびちゃんの行く道を、読者も指で辿ってみましょう!
- 冒険をしながら、出会った動物達のお手伝いするゆびちゃん。親切なゆびちゃんに動物達も助かっています。そして、楽しい場所へと連れて行ってくれるのです。
- 家出から帰ったゆびちゃん。楽しい冒険の話をパパにします。おしゃべりが止まらないゆびちゃん。楽しすぎたゆびちゃんは、ママに、「今度一緒に家出しよう!」と誘うのでした。
☆あらすじ
ゆびさきちゃんは、ちっちゃな女の子、ゆびちゃんと呼ばれています。ある日のこと、夢中で遊んでいると、ママに「お風呂パパと入っちゃってー!」と言われましたが、それが嫌でママにあっかんべー!して外に出掛けてしまいました。家出したゆびちゃん、途中で家に戻るおばあちゃんと出会いましたが、「今家出してきたの!」と話し歩いていきました。
どこにいこうかな?公園で遊んで、途中でどんぐりを拾って、切り株の上で歌っていたら、小さな牛の子どもに出会いました。そして、『僕についてきて!』と2人はトンネルの中に入っていきました。ゴソゴソゴソ・・・
トンネルから出たゆびちゃん、牛の子の家に着くと美味しい牛乳を飲ませてもらいました。そして、お父さん牛の牛乳配達のお手伝いをする事になりました。「配達でーす!」と張り切るゆびちゃん、最後までお手伝いが出来ました。そしてロープウェイの前で別れると、たぬきさんのロープウェイに乗ることにしました。
着いた先は、きのこ山のてっぺん。きのこ集めのお手伝いをしながら山を下ります。とっとっと。足元がわるいから気を付けて!沢山きのこをつんだゆびちゃん、お礼にハチミツをもらいました。そして、山のふもとのぽっぽ駅に着きました。
はとさんの汽車に乗ったゆびちゃん、途中の郵便局駅で手紙を受け取り、配達のお手伝いをすることになりました。道の途中にある家にお手紙を配ります。『これがうまいんじゃメエ~』と黒ヤギさんがおてがみたべちゃった!お届け物が配り終わりウッキー駅に到着です。
すると、おさるさんがゆびちゃんの手をひっぱっていきます。『ウッキー!大変!』と困っている様子。ゆびちゃんは木に登ってサルの女の子の所へ行きました。コンサートに出るのに声が出なくて困っています。持っていたハチミツを食べさせてあげると、声が出るようになりました。お礼にと、木の高さほどある甘いフルーツのパフェをたっぷり食べました。そして、サルの女の子にコンサートのチケットをもらいました。
ねこさんの船に乗り、コンサート会場まで向かうことにしました。途中で寄った島でキレイな貝を拾い、魚釣りを楽しみます。コンサート会場はどこだろう?探していると、そこに大きなクジラさんが!大きく口を開けたクジラさん、なんとクジラさんの口の中がコンサート会場だったのです。みんなの歌声が海に広がり、コンサートは大成功!
「たのしかったー!そろそろ帰らなきゃ!」とゆびちゃん。ペリカンさんがお家まで連れて行ってくれました。
ペリカンさんは家の前でゆびちゃんを下ろし、帰って行きました。
玄関前におばあちゃんが庭仕事をしています。そして、家に入り「ママ、ただいまー!」とお土産の貝を渡しました。『パパ、もうお風呂に入っちゃったわよ!』と言われ、ゆびちゃんは急いでお風呂に向かいます。そして、「パパ、あのね・・・」と、さっきの事を話し始めました。お風呂から上がったゆびちゃん、お母さんに言いました。
「ママ、今度一緒に家出しよう!」
☆際立った特徴
お話を読みながら、お話に合わせて絵を指さしながら読み進める絵本です。ゆびちゃんの歩く道がずっと続いて描かれています。
ママとケンカしたゆびちゃんは、トンネルを抜けて不思議な世界に出掛けます。お手伝いしたり、フルーツを食べたり、ロープウェイや汽車、船にも乗るんです。さあ、どんな冒険が待っているのかな?
そして、家出して帰るまでの時間はあっという間。ゆびちゃんの冒険は実は数分の出来事のようです。不思議で楽しい、ユーモアあふれるストーリーです。
☆HakusenshaBooks 「ゆびさきちゃんのだいぼうけん」作品動画
☆書店員の感想
ゆびちゃんの楽しかった気持ちが、ストーリーの最後にママを「今度ママも一緒に家出しよう!」と誘う言葉で、表現されているように思います。
家出なのにね。と、きっと大人はクスッと笑ってしまう場面です。でも、ママを誘っちゃうほど楽しかった家出の話を聞いてみたくなりませんか?
きっとゆびちゃんのパパとママも、「そんなことがあったの?誰と会ったの?どんな物を食べたの??」と、聞いたのではないかと思います。ゆびちゃんの家出の様子が気になったら、ぜひ本書を開いてみてください。そして、指で辿っていきながら、ゆびちゃんと動物達の出会いや会話、お手伝いを覗いてみて欲しいです。
本書を読んだ3歳の娘は、「指で辿ってごらん!」と私が言わなくても、自然と辿っていました。かなり、文字数の多い絵本です。全て読んでいると子どもの指の速度に合わないことも・・・。大人が子どもの指を持ちながら一緒に読む方法も良いと思います。
もう一つの方法として、私の場合は、本書をじっくり全て読まずに、子どもの指の速度に合わせて読んであげました。子ども自身が気になった所は指の速度も遅くなるので、「ここの場面が面白いのかな?」と感じて、「フルーツいっぱいで美味しそうだね!」と声掛けを増やしたり、「どこにコンサート会場あるのかなぁ?」と質問したりしました。
どちらも自分も指で辿っていくことで、公園で遊んでいる気持ちになったり、歩いていってどんぐりをひろって、歌を歌って・・・とゆびちゃんと冒険しているような気持ちになれるように思いました。
もう少し大きくなったら、自分で指を動かしながら声に出して「すいーっ!」「たたたっ!」と楽しんでくれるかな?と、さらに本書の面白さが膨らみそうで、成長が楽しみです。
- 作品名:ゆびさきちゃんのだいぼうけん
- 著者名:岩井俊雄
- 出版社:白泉社