親の物忘れ、もしかして…?「年のせい」で片付けないための“はじめの一歩”相談ガイド

親の物忘れ、もしかして…?「年のせい」で片付けないための“はじめの一歩”相談ガイド

2025年9月24日

「最近、親の様子が少しおかしい気がする…」

「何度も同じことを聞かれたり、探し物が増えたり。でも、これは単なる年のせいかもしれないし、考えすぎかも…」

大切なご両親の変化に気づいたとき、多くの方がそんな風に戸惑い、愛情があるからこそ、どう声をかければいいのか悩んでしまうものですね。

その小さな気づきや違和感は、ご家族だからこそ感じられる、何より大切なサインかもしれません。

「気のせいかな?」と一人で抱え込む前に、一度立ち止まって、あなたと、あなたの大切な親御さんにとって一番良い方法を一緒に考えていきましょう。

介護福祉士のカイゴちゃんが、そのための「はじめの一歩」を具体的にお手伝いします。

これって大丈夫?「安心な物忘れ」と「心配な物忘れ」のチェックリスト

まず、気になるのが「物忘れ」ですよね。

ここでは、誰にでもある加齢による「安心な物忘れ」と、少し注意が必要かもしれない「心配な物忘れ」の具体的なエピソードを比較しながら見ていきましょう。

これは医学的な診断ではなく、あくまでご家庭での「気づき」のきっかけとして、チェックしてみてください。

  • 夕食を食べたことは覚えているけれど、メニューをすぐに思い出せない。(「お魚だったわよ」と言われて「ああ、そうだった」と思い出せる)
  •  俳優の顔は思い出せるけれど、名前がすぐに出てこない。
  •  買い物に来たのに、買おうと思っていたものを一つ忘れてしまった。

ヒントがあれば思い出せたり、物忘れをした自覚があったりするのは、加齢に伴う自然な変化であることが多いです。

一方で、体験したことそのものをすっぽりと忘れてしまったり、自覚がなかったりする場合は、少し注意が必要かもしれません。

  • 夕食を食べたこと自体を忘れ、「ご飯はまだ?」と聞く。
  •  息子を『お父さん(自分の夫)』だと思い込んで、話しかけることがある。
  •  真夏なのに「寒いから」と言って、セーターや長袖など着込もうとする。

親子関係を壊さない。やさしい伝え方

心配なサインに気づいたとき、一番の難関は、どうやってご本人に伝えるか、ということです。

実は、この記事を書いている私自身も、最近とても考えさせられる出来事がありました。

先日、夫の実家に帰省したときのことです。60代後半の義母が、少し寂しそうにこう話してくれました。

「物忘れをするたびに、お義父さんから『お前は認知症だ』って毎日言われるの。間違えるたびに怒られるから、自信をなくしちゃって…」と。

実家で数日間一緒に過ごした私には、義母の物忘れは年相応のものに感じられました。

でも、一番身近な存在である配偶者からの毎日の否定的な言葉が、義母から笑顔と自信を奪っているように感じました。

身近な存在だからこそ、心配でつい言葉がきつくなってしまう…。その気持ちも痛いほど分かります。でも、その一言が、相手を深く傷つけ、行動する意欲さえも失わせてしまうことがあるのです。

では、私たちは、大切な家族にどのように想いを伝えれば、心穏やかに次の一歩へと進めるのでしょうか。

【やってはいけないNGな伝え方】

絶対に避けたいのは、相手を一方的に決めつけたり、命令したりする言葉です。

「最近、本当に物忘れがひどいよ。ボケてきたんじゃない?早く病院行った方がいいよ!」

こんな風に言われて、穏やかな気持ちで「そうだね」と言える人はいないでしょう。

専門家のアドバイスを受けることは、本人にも家族にとってもメリットがありますが、こんな言い方をしては、本人は不安と屈辱を感じ、かたくなに受診を拒否してしまうかもしれません。

【心を届けるOKな伝え方】

大切なのは、相手を思いやり、「あなたのことを心配している」という気持ちを伝えることです。そして、「自分も一緒」という姿勢を見せることで、相手の不安を和らげることができます。

娘が父親の肩にそっと手を置き、やさしく話しかけているイラスト

「お父さん、最近よく眠れてる? 私もそろそろ健康診断に行こうと思ってるんだけど、心配だから、一緒に行ってみない?」

このように、ご自身の健康診断などを口実にしたり、「心配だから」という気持ちを添えたりしながら、あくまで「ついでに一緒に」というスタンスで誘うのがお勧めです。

一人で悩まないで。頼れる「相談窓口」は、身近にたくさんあります。

「心配なサインに気づいたけれど、一体どこに相談すればいいの?」

そう途方に暮れてしまうのは、あなただけではありません。でも、ご安心ください。あなたとご家族を支えてくれる相談窓口は、地域に必ずあります。

大切なのは、一人で抱え込まずに、まずは一番話しやすい場所に、声に出して相談してみることです。

「最近、親の物忘れが気になるんです…」

その一言から、すべては始まります。

・かかりつけ医

   長年お世話になっているお医者さんなら、ご本人の体のことをよく理解してくれています。まずは持病の相談のついでに、そっと切り出してみるのも良いでしょう。

・認知症疾患医療センター

認知症に関する詳しい検査や診断ができる専門の医療機関です。治療や日々の関わり方など、専門的な相談にものってくれます。

・地域包括支援センター

   介護に関する公的な総合相談窓口です。どこに相談すればいいか分からない時、まずここに相談してみるのもいいですね。「地域の介護のよろず相談所」と覚えておきましょう。

・市区町村の窓口(高齢福祉課など)

   市役所や町役場には、高齢者のための専門部署があります。介護保険の申請など、行政手続きについて相談できます。

・オレンジカフェ(認知症カフェ)

   同じような悩みを持つご家族や、ご本人、専門職などが集う交流の場で、気軽に情報交換ができます。

・民生委員

   お住まいの地域を担当する、身近な福祉のボランティア相談員です。日頃から地域の様子を見守ってくれているので、親身に話を聞いてくれるでしょう。

また他にも、認知症に関する電話相談ができる窓口もあります。

詳しくは厚生労働省のホームページにも載っていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

さいごに

親御さんの小さな変化に気づけるのは、身近なご家族だからこそわかる、愛情のこもったサインです。

不安な気持ちでいっぱいになるかもしれませんが、焦る必要はありません。

大切なのは、一人で抱え込まず、今日ご紹介したような身近な窓口に、まずは「ちょっと聞いてみよう」と声をかけてみることです。その小さな一歩が、あなたと、あなたの大切な親御さんの、これからの暮らしを支える大きな力になります。

この記事が、そのための温かい後押しとなれば、とても嬉しいです。