こんにちは。カイゴちゃんです。
ご家族が認知症と診断され、日々の生活の中で「どう接したらいいんだろう…」と戸惑う瞬間は、誰にでもあると思います。
頭では「否定してはいけない」と分かっていても、現実にはうまくいかない…。
そんな時、介護するご家族の心も、介護されるご本人の心も、すり減ってしまいますよね。
今日は、認知症のご家族と「お互いが疲れない」ための、心が少しラクになる接し方のコツについて、ゆうきさん、そしていつも心強いアドバイスをくれるカナエ先輩と一緒に考えていきましょう。


カイゴちゃん、カナエ先輩、聞いてください…。頭では『否定しちゃダメ』と分かっているんです。でも、今いるのが自宅なのに、母が夕方になると『家に帰る』と言い出して…。

つい『ここがお家でしょ!』と強く言ってしまって、母は混乱して怒り出すし、私も『どうしてわかってくれないの』って…。お互いにもう、ヘトヘトなんです。

ゆうきさん、毎日お疲れさまです。
そうですよね、分かっていても、つい正面からぶつかり合ってしまう時もありますよね…。そのつらい気持ち、とてもよく分かります。
コツ①:「事実」ではなく「感情」を受け止める

まず大切なのは、ご本人の「事実認識(ここが家だということ)」を正すことではなく、その言葉の裏にある「感情」を受け止めることです。

感情、ですか…?

はい。
お母さまが『家に帰る』と言うとき、それは『ここは私の安心できる場所ではない』『何か不安だ』『何かやることがある気がする』という、混乱や不安のサインであることが多いんです。

その不安な気持ちに、『ここがお家でしょ!』という「事実」をぶつけてしまうと、ご本人にとっては『わかってくれない』という拒絶に感じてしまいます。

そうなんですね。
たしかに…、『家はここだよ!』ってことを認めて欲しくて、「事実」で説得しようとしていました。


何度も言われると、正したくなる気持ち、とてもわかります。
そういうときこそ、まずは、
『そう、お家に帰りたいんですね』と、その言葉と不安な気持ちを、丸ごと一度受け止めてあげてください。
これを『受容』と言います。これが、お互いがラクになるための第一歩です。
コツ②:ご本人の「世界」に、そっとお邪魔する

『帰りたいんですね』と受け止めたとして…でも、その後、どうすればいいんでしょう?本当に外に出ていこうとしたら…。

良い質問ですね!そこが次のポイントです。ご本人の『帰りたい』という世界(リアリティ)を否定せず、ゆうきさんがそっとその世界にお邪魔して、関心を別のところに向けるんです。

例えば、『関心をそらす(転換)』という方法があります。
『帰る前に、美味しいお茶でも一杯どうですか?』
『あ、そういえば、昔旅行した時の写真、一緒に見ませんか?』と、
ご本人が好きだったことに誘ってみるんです。

お茶や写真…。なるほど。
もし、自分の時間や気持ちに余裕がないときは、どうしたらいいでしょう…。

はい。
もう一つは『役割をお願いする』です。
『ちょうど良かった、洗濯物をたたむの手伝ってもらえませんか?』『夕飯の準備、少しお願いしてもいいですか?』と、ご本人に得意だったことをお願いする方法がおすすめです。

『家に帰って何かをしなくては』という不安感が、『自分はまだ役に立てる』という満足感に変わると、落ち着かれることも多いんですよ。
コツ③:言葉よりも伝わる「安心のサイン」

でも、何を言っても興奮してしまっている時は、どうしたら…。

ゆうきさん、そういう時もありますよね。
私からも一つ、大切なことをお伝えしますね。
認知症の方は、言葉そのものの意味よりも、周りの人の『言葉以外のサイン』をとても敏感に感じ取っているんです。

言葉以外のサイン、ですか?

はい。保育士の経験からも言えるのですが、これは赤ちゃんや子どもたちと接する時ととても似ています。
ゆうきさんがイライラしていると、そのトゲトゲした表情や、早口で強い声のトーンが、お母さまの不安をさらに大きくしてしまうこともあります。

言葉で説得しようとするより、まず上から見下ろさず、同じ目線の高さに座ってみてください。そして、優しい笑顔で、ゆっくりとした口調で、『どうしたの?』と話しかけてみる。そっと手を握ってあげるのもいいですね。


『私はあなたの敵じゃないですよ』『ここにいても安全ですよ』という安心のサインを送ることが、何よりもご本人を落ち着かせる処方箋になるんです。
100点を目指さない介護


そっか…。事実を正すんじゃなくて、感情を受け止めて、安心のサインを送る…。でも、毎日それを完璧にできるか自信がないです…。

もちろんです!毎日完璧になんて、誰にもできませんよ。介護は長期戦です。ゆうきさんが怒ってしまったり、疲れてしまったりしても、絶対に自分を責めないでください。

そうですよ。大切なのは、ゆうきさんご自身が疲弊しないこと。デイサービスやショートステイなどをうまく利用して、意識的に介護から離れる時間を作ることも、お母さまへの優しさにつながります。

100点を目指すのではなく、『お互いが笑顔でいられる時間』を、昨日より少しでも長くすること。前回の記事の「楽しい暮らしのデザイン」にも、繋がりますよ。

…はい!少し、気持ちがラクになりました。ありがとうございます!
「感情の受容」「関心転換と役割」「安心のサイン」。この3つのコツを意識しつつも、完璧な介護を目指す必要はありません。
介護は長期戦です。どうか自分を責めず、ご自身も休む時間を作り、「お互いが笑顔でいられる時間」を大切にしてくださいね。