いっさいはん

いっさいはん 表表紙

子育て経験者は「あるある!」と思うことばかり。少し大きくなった子を育てている大人にもピッタリ!。お兄ちゃんお姉ちゃんにもこんな時があったのよって一緒に楽しめる絵本

☆3つのおすすめポイント

  1. 1歳半頃の子の日常は、探究心・好奇心の塊です!いろいろとやらかしてくれる毎日を描きます。
  2. 「うちも同じことやってた!」が詰まった【1歳半あるある絵本】です。
  3. 行動1つ1つの文と絵がピッタリ合っているところが、読めば読むほど面白く感じてきて、笑いが抑えきれなくなる・・・笑っちゃう。そんなユーモアにあふれた絵本です。

☆あらすじ

1歳半ぐらいの子の日常行動を、図解で紹介します。

1歳半といえば、乳児から幼児期になり、『赤ちゃん』とは言われなくなる頃。少しずつ歩くのにも慣れてきて、食事も離乳から普通食になる時期です。

まだまだ何にも1人では出来ないのに、探究心・好奇心の塊で怖いもの知らずで、グングンおもむくままに行動します。

本書では、「あさから元気ないっさいはん」「おちついて食事できない いっさいはん」「なんでも集めるいっさいはん」など、11項目に分けて1歳半をテーマ分けし、紹介しています。

頁をめくるごとに、見開きいっぱいに6〜12個のイラストで、1歳半の女の子の行動が描かれています。どれを見ても、つい笑ってしまう、”1歳半あるある”が詰まっています。

朝起きてから、夜寝るまで、ハラハラ・ドキドキさせてくれる1歳半。小さな『出来た!』が毎日見つかる1歳半。お父さんお母さんの家事をとことん増やしてくれるけど「仕方ないなぁ」と諦めさせられる・笑顔が最強の武器な1歳半。

きょうも愉快な1歳半をのぞいてみませんか?

☆際立った特徴

1歳半独特の行動をテーマ分けして紹介しています。どうして1歳半の時期を?

1歳半の頃といえば、近くにいる親でも『何してるのー?!』『意味わかんないしー』とツッコミを入れてしまう行動が、毎日毎日繰り返される時期です。

1歳半の子育てを今から経験される方にとっては、「まさかー」と思うような事ばかりかもしれませんが、経験者はみんな「そうそう!うちの子もやったなー」と思うでしょう。

まさしく【1歳半あるある本】です。

行動1つ1つの説明文が絵とピッタリ合っているところが、読めば読むほど面白く感じてきて、笑いが抑えきれなくなる・・・笑っちゃう。そんなユーモアにもあふれた絵本です。

巨大なイモムシや、かたつむりのぬいぐるみ、歯の形をしたぬいぐるみなど可愛いおもちゃが登場します。歯の形のキャラクターは、著者minchiさんの次の絵本「にゅうしちゃん」のキャラクターのようです。

「にゅうしちゃん」が大好きなのでしょうね。「にゅうしちゃん」をどこにでも持ち歩く女の子。関連グッズも沢山持っているようで、家の至るところに登場します。女の子の”にゅうしちゃん”愛を感じてしまいます。笑

☆書店員の感想

著者minchiさんは、2015年にSNSに「1歳半ぐらいの子どもの行動」という投稿を載せたところ、何万リツイートも反響があり、それがきっかけでこの絵本を作ることになったそうです。その頃の事を、minchiさんはインタビューで語っています。

子育てブログをはじめたのも、子育てに対してしんどさを感じていたからですし、何より、子どもができて、世の中がお母さんに対して、ものすごく冷たいということに気づいたからでもありました。『いっさいはん』に出てくるお母さんの表情に笑顔が少ないのは、当時の切羽詰まっていた様子が、そのまま反映されています。

(参考文献:絵本ナビインタビュー「あるあるすぎる~!」と大反響!『いっさいはん』minchiさんインタビュー

1歳半頃の子育てって、朝起きてから夜寝るまで、保護者はずーっと子どもに振り回されます。赤ちゃんも卒業して授乳がなくなったから楽になる・・・は、全くの誤解で、子育てが落ち着くのは、まだまだ先の話。

この頃は、日中は動きっぱなし。パワフルで好奇心の塊で、子どもの体力の限界ギリギリまで、ずーっと動き回っています。

静かだなーと思っていると、必ず”イタズラ”してます。見つかると”にまぁ〜”と「見つかっちゃった」と笑ったかと思えば、すぐに何食わぬ顔をしたりて・・・。

夜も寝たかと思えば服がめくれてお腹が出てるし、親は蹴られて起こされるし、時には夜泣きもあり・・・。24時間ずーっと休む暇を与えてもらえない事も。

嫌なことばかりじゃなくて、本人は笑わせるつもりは無いけど、自然にしているだけの事が面白くて笑わせてくれることも多くあります。「朝起きると後頭部が鳥の巣みたいになっている」と最後のページに載っています。私の娘も毎朝起きてきただけなのに、「どんだけもじゃもじゃなんだー!!」と突っ込んで爆笑した日を思い出します。

(男の子は逆に擦れて後頭部だけ坊主状態になるのは【男の子あるある】笑)

そんな日常の一瞬一瞬を写真にしたかのようです。「そうそう!こんなんだった」と読んだ子育て中の皆さんが思うことでしょう。

忘れかけている娘の「いっさいはん」を思い出させてくれました。

●私の娘も主人公にそっくり状態でした。

私の3歳の娘は今でこそエプロンいらずでフォークで食事するし、お風呂も溺れる心配なく入ることができるようになりました。しかし、ついこの間まで本書で紹介されている「ごはんつぶまみれ」「湯船で転んで突然ダイブ!!」って事もよくあったし、赤ちゃん返りもあり「お母さん、お母さん」と後をつけていたかと思えば、どこかでイタズラを発見して私に見えない所で実験中・・・大惨事(思い出したくない程の・・・)ってことも。

その時はイタズラに対してイライラしたり、私ばっかり苦労してと夫を恨んでみたりと、切羽詰まったminchiさんと同じように思い悩んだこともありました。

今となって思い返せば、そんな時には必ず、娘が笑わせてくれた事も思い出します。「まぁいいかぁ」と許してしまう、娘の笑顔と本書の女の子の笑顔が、重なって見えてくるようです。

私が娘に読み聞かせるたびに「これ〇〇ちゃん(娘)と同じだよーこんな風にしてたよー」と言っていたからなのでしょう。『これ私?これしてた?』と自分のアルバムを見るように、自分とかぶらせるようになった娘。

minchiさんによって描かれた絵本ですが、多くの親にとって、我が子の懐かしいアルバムとして、子どもと一緒に眺められる、そんな一冊だと思います。

いっさいはん 裏表紙

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。