おいもを どうぞ!
秋の読み聞かせにピッタリ!「お友達にもはんぶんこ」の優しい気持ちが、みんなに暖かさと幸せをおすそ分け♬
☆3つのおすすめポイント
- くまさんが掘った沢山のサツマイモ。自分だけで食べるのはもったいない。お隣のぶたさんに半分おすそ分けします。ぶたさんも、同じくお隣へはんぶんこ。その後もはんぶんこのおすそ分けが続きますが・・・。
- 最初においもをあげたくまさんに、ねずみさんから”おすそ分け”が届きます。くまさんはニッコリほほ笑みますが、どうしてでしょうか?
- おいもをおすそ分けする事が続いて最後はくまさんに戻ってくるという優しさの輪が繋がるようなストーリーの中に、相手を想う優しさを、いもとようこさんの優しくほっこりしたタッチの絵で描いています。心がほっと温まるような絵本です。
☆あらすじ
くまさんの畑で、サツマイモがどっさりとれました。山のように積み上げられたお芋を見ながら、くまさんは考えました。「こんなにいっぱいだもの。一人で食べてはもったいない!お隣のブタさんにも分けてあげよう。」
くまさんは、お芋が大好きなブタさんに、おいもを荷車に半分積んで、ぶたさんの家まで運びました。「私の畑でとれたお芋、どうぞ召し上がってください!」ぶたさんは大喜びです。
そして、お芋の山を見てぶたさんも考えました。「こんなにたくさん、一人で食べてはもったいない!たぬきさんにも分けてあげよう!」
ぶたさんは、いただいたおいもを半分たぬきさんの家に持って行きました。「いただきものです!どうぞ召し上がってください!」たぬきさん大喜び。
たぬきさんは、いただいたお芋を見て考えました。「こんなにたくさん、一人で食べてはもったいない!うさぎさんにも分けてあげよう!」
たぬきさんは、いただいたお芋を半分かごに入れて、うさぎさんの家へ持っていきました。「いただきものです!どうぞ召し上がってください!」うさぎさん大喜び。
うさぎさんは、4本のお芋を見て考えました。そして、戸棚からざるを出して、半分の2本をねこさんの家へ持っていきました。「いただきものです!どうぞ召し上がってください!」ねこさん大喜び。
ねこさんは、いただいた2本のお芋を見て、ネズミさんへ半分おすそ分けしに行きました。
そして1本をもらったねずみさんは大喜び。「丸々太ったおいも、一人で食べてはもったいない。お隣にも分けてあげよう!」ねずみさんは、お芋を真ん中からさくっと包丁で切りました。そしてお隣さんのくまさんへ、おすそわけを届けに行きました。
そして、いただいた半分のお芋を見て、くまさんは嬉しそうにうなずきました。
でも、おかしいですね。どうしてねずみさんのお隣がくまさんだったのでしょう?それは、丸いお池の周りを囲うように輪になって順番に暮らしていたからです。
その日の夕方、お池の周りどの家からも、お芋をふかす美味しい匂いが匂ってきましたよ。
あなたもおいもをどうぞ!
☆際立った特徴
「こんなにたくさん、一人で食べてはもったいない!〇〇さんにも分けてあげよう!」ともらったお芋を独り占めすることなく、誰かにも美味しいお芋ともらった嬉しさをおすそ分けしていく、とっても優しい心を持った動物たちのお話です。嬉しい気持ちがどんどん連鎖していくのですが、分け合うことでその喜びは倍増していくようにも感じます。最後は「あなたも、おいもをどうぞ!」と私にもお芋をおすそわけ★読者をどんどん幸せな気持ちにさせてくれるストーリーです。
☆書店員の感想
最初においもをあげたくまさんに、ねずみさんから”おすそ分け”が届きます。くまさんはニッコリほほ笑みますが、それはどうしてでしょうか?
くまさんは、最初たブタさんへ半分おすそ分けに行ったのですが、ブタさんからたぬきさん、たぬきさんからうさぎさん・・・ねずみさんへと皆がおすそわけしていくことを、最初から予想していたのでしょうか?ねずみさんからおすそ分けをもらった時に初めて、「みんなも自分と同じ気持ちでお隣におすそ分けしてくれたんだ」と気づいたのでしょうか。私は後者ではないかと思いました。ねずみさんから半分のサツマイモを受け取った時のくまさんの表情が、私にはそんな風に見えたのです。
くまさんはきっと、誰よりも何よりも、その半分のおすそ分けをもらった事が、とっても嬉しかったと思います。だって、自分が掘ったお芋をみんなが喜んでくれて、「お隣にも分けてあげよう!」と分け合ってくれたのです。とっても優しい気持ちの連鎖ですよね。夕方、お池の周りのどの家からも美味しそうなお芋をふかす匂いがしてきたのですが、動物たちの住む家の煙突からモクモクと丸みのある煙が描かれています。きっとその周辺は甘くて温かい、優しくてほわっと空気だったのでしょうね。
動物たちと一緒に考えてみましょう!
お芋を見て動物たちが「考えました」とあります。ストーリーが繰り返えされていることに子どもも段々気づくのですが、ここであえて「自分ならどうするかな?」と考える間を作るように読んであげても良いかもしれませんね。保護者も一緒に考えて話しても良いと思います。とっても素敵な答えが聞けるかもしれませんね。
ストーリーが終わり、作者紹介のページに、質問が書かれていました。「さて、くまさんの畑でお芋はいくつとれたでしょうか?」これはちょっと難しい算数の問題にもなりますね。くまさんから順番に半分ずつおすそ分けしていったので・・・。さて、何本とれたのかな?一緒に考えて見ましょう!