ちょっとだけ

ちょっとだけ 表紙

赤ちゃんが生まれ、お兄ちゃん、お姉ちゃんになる子にピッタリ。お子さんが増えたお母さんにも、とっても心に響くお話です。お兄ちゃん、お姉ちゃんにも、赤ちゃんにもみんなに「大好き」と伝えたくなります。

☆3つのおすすめポイント

  1. なっちゃんのお家に、赤ちゃんがやってきました。その日から、なっちゃんはおねえちゃんになりました。けれど、ママはとっても忙しそうです。そんな様子を見たなっちゃん。いろんなことを自分なりに頑張ります。
  2. お兄ちゃん、お姉ちゃんになったお子さんの目線から書かれているお話です。忙しい育児で見逃しがちな瞬間を見つめなおすことができるような、お母さんに向けたメッセージもたくさんこめられた絵本です。
  3. 小さい子でも、一生懸命頑張っているのがとても伝わってきます。そして、頑張るのはお母さんが大好きだから。お子さんみんなに「大好き」と伝えたくなります。

☆際立った特徴

赤ちゃんが生まれ、お姉ちゃんになったなっちゃんが、忙しいママのようすを見て自分なりにできることを頑張ります。頑張って「ちょっとだけ」自分で身の回りのことができていくなっちゃん。ママに甘えたい気持ちと、お姉ちゃんだから自分でできるよ、という気持ち、そしてママが大好きだから自分で頑張ってみようという気持ちがなっちゃんからたくさん伝わってきます。

赤ちゃんが生まれ家族が増えたお母さん方にも、おすすめしたい1冊です。きっと共感することが多くあるように思います。

絵本の大きさは27㎝×20㎝で、縦長のかたちの絵本です。

☆あらすじ

なっちゃんのお家に、赤ちゃんがやってきて、なっちゃんはお姉ちゃんになりました。

お母さんとなっちゃん、赤ちゃんの3人でお買い物にでかけます。

なっちゃんはママと手をつなごうとしましたが、ママは赤ちゃんを抱っこしていて手をつなげませんでした。

なっちゃんは、「ちょっとだけ」ママのスカートをつかんで歩きました。

家に帰りました。

のどが渇いたなっちゃん。ママに牛乳をついでもらおうとしましたが、赤ちゃんもミルクタイム。ママは忙しそうなので、なっちゃんは頑張って牛乳を冷蔵庫から出し、はじめて自分でコップに入れようとしました。ちょっとこぼれたけれど、「ちょっとだけ」入れることができました。

夜になりました。なっちゃんがパジャマに着替えようとしましたが、ボタンがうまくとめられません。ママにお願いしようと思いましたが、ママは赤ちゃんのお世話で忙しそう。

その様子を見たなっちゃんは、もう一度ボタンをつけようとチャレンジしました。

なっちゃんはにっこり、「ちょっとだけ」成功しました。

朝になり、身支度をしているなっちゃん。ママに髪の毛を結んでもらおうと思い、なっちゃんのお気に入りのゴムを持ってお母さんのところへ行きましたが、ママは赤ちゃんのおむつの取り替え中でした。なっちゃんは椅子に乗り、鏡を見ながら自分で髪をふたつに分けて結びました。

いつもママがしてくれているようすを真似して、「ちょっとだけ」うまく結ぶことができました。

なっちゃんはいつも遊びに行く公園に行きました。すると、公園の近くで仲良しのお友達のふみちゃんに会いました。

ふみちゃんはママと一緒ですが、なっちゃんは一人です。

ママは赤ちゃんのお世話で忙しいから…と、ふみちゃんと、ふみちゃんのママに答えたなっちゃん。

なっちゃん、お姉ちゃんになったんだね。赤ちゃん、可愛いでしょう?と聞かれたなっちゃん。

「ちょっとだけ」、頷きました。

公園で、なっちゃんはブランコに乗りました。いつもはママに背中を押してもらいますが、今日は一人です。

つま先でちょんちょんと地面をけると、「ちょっとだけ」ブランコが揺れました。

公園からお家に帰ったなっちゃん。たくさん遊んで、たくさん頑張ったなっちゃん。だんだん眠くなってきました。

お姉ちゃんになったから、お昼寝しない…というなっちゃんですが、だんだん目が閉じてきてしまいそうです。

なっちゃんは、ちょっとだけ、抱っこして…とママにお願いしました。

するとママは、ちょっとだけじゃなくて、いっぱい抱っこしてもいい?と、優しく微笑み、なっちゃんに聞きました。

なっちゃんはにっこり笑い、いいですよ!と言いました。

なっちゃんはママとたくさんぎゅっとしてもらって、ママの匂いをいっぱいかぎました。

その間、赤ちゃんには「ちょっとだけ」我慢してもらったようです。そのあとには、なっちゃんは赤ちゃんに黄色のお花を見せてあやしています。すっかりお姉ちゃんの顔のなっちゃんです。

ちょっとだけ 裏表紙

☆書店員の感想

●なっちゃんのお家に、赤ちゃんがやってきました。その日から、なっちゃんはおねえちゃんになりました。けれど、ママはとっても忙しそうです。そんな様子を見たなっちゃん。いろんなことを自分なりに頑張ります。

弟や妹が生まれ家に帰って来てから、赤ちゃんとの新しい生活が始まりますね。家にやってきた赤ちゃんを見ているなっちゃん。「お姉ちゃんになったんだ」、という気持ちが湧いてきているのかもしれません。優しい眼差しで、お母さんと一緒に赤ちゃんを見ています。

それから、どこへ行くにも何をするにも赤ちゃんと一緒です。

そして、どうしても赤ちゃん優先になることが増えてしまいますよね。なっちゃんはお外でママと手をつなぐのも我慢して、ママのスカートをちょっとつかんで歩きました。

牛乳も、ちょっとこぼしてしまいましたが、ちょっとだけ、入れることができました。

牛乳パックから牛乳をコップに入れるのって、子どもには意外と難しいなと思うときがあります。冷蔵庫から出すのも重たかったり、口を開けるのも難しい。コップに注ぐ時も、液体の落下点がつかみにくく、こぼしやすい…。口を閉じるのも意外とコツがいるようで、わが子も何回か練習が必要でした。こぼすのが当たり前と思って何度かチャレンジさせて、今では自分で自由に飲んでいますが…。(笑)そんな難しいことも、自分で頑張ってみたなっちゃんです。自分でできたよ、という表情をしながら牛乳を飲んでいるような絵に見えます。

ちょうど、自分でいろいろしたい時期と重なっているのかもしれませんね。

パジャマのボタンや、髪の毛の二つ結びも自分で頑張ります。公園へも一人で行きました。ママと一緒に来ているお友達に会ったなっちゃんですが、「赤ちゃん、可愛いでしょ」と聞かれ、「ちょっとだけ」頷いたなっちゃんでした。後ろ姿で描かれているなっちゃんが、この様子からちょっと切なく感じてくるように思いました。

公園で少しブランコをして、帰ったなっちゃん。眠くなってきたので、お母さんにちょっとだけ抱っこして、とお願いします。

なっちゃんのママは、そんななっちゃんに「ちょっとだけじゃなくて、いっぱい抱っこしてもいいですか」と聞きます。なっちゃんはニコニコで、「いいですよ!」と答えました。

なっちゃんのママも、忙しい合間に、なっちゃんの頑張る姿を見ていたのでしょうね。ママとなっちゃんはぎゅっと抱き合います。二人がぎゅっと抱き合っている姿を見て、胸がぎゅっと熱くなりました。お母さんもなっちゃんも、お互いが大好きで思い合っているのがとても伝わってきます。

●お兄ちゃん、お姉ちゃんになったお子さんの目線から書かれているお話です。忙しい育児で見逃しがちな瞬間を見つめなおすことができるような、お母さんに向けたメッセージもたくさんこめられた絵本です。

赤ちゃんが生まれて、お子さんが増えたお母さん、とっても忙しいですよね。上の子にも寂しい思いをさせないように…と気を張り詰めてしまうときもあるかもしれません。

上のお子さんと年が近ければ、さらに育児の忙しさは増しますし、年が離れていたら今度は精神的なサポートが大切になってくるのかもしれません。

私自身、この絵本を次男が生まれた時期に長男に読み、読みながら泣いた記憶があります。けなげに頑張るなっちゃんと、ちょっと赤ちゃん返りしながらも頑張る長男とが重なって見えて、涙腺が崩壊しました。(笑)

この絵本を読んで、お子さんはお母さんの温かさを改めて感じるように思います。一緒に読む親御さんは、読む人によってそれぞれ感じることは違うように思いますが、お子さんとの時間を改めて考え、お子さんへの大好きの気持ちがより一層高まるように感じました。

●小さい子でも、一生懸命頑張っているのがとても伝わってきます。そして、頑張るのはお母さんが大好きだから。お子さんみんなに「大好き」と伝えたくなります。

絵は、色鉛筆の線に水彩画の着色が加わったような、優しいふんわりとした雰囲気です。

文章と絵が別々のページで描かれていることが多いですが、なっちゃんが頑張るページの次のページに、なっちゃんが「ちょっとだけ」できた、と、嬉しそうな、凛とした表情をしている絵があり、なっちゃんの頑張った様子が伝わってきます。頑張って満足そうななっちゃん、けれどどこか寂しく思っているかもしれないなっちゃんの表情に、応援したくなる気持ちになります。

なっちゃんがママのようすを見て、自分で頑張ろうとしているシーンでは、ママの目線が赤ちゃんのほうに行っていて、後ろ姿のお母さんが多く描かれています。私も次男出産後は長男が4歳だったのでわりと自分のことは自分でしてもらっていて、顔を見ずに「あれしてこれして」と言い、何かお願いされたら「ちょっと待ってて」が常だったように思います。今までお母さんを独り占めできていた長男なのに、次男が家に来てからは一変した生活になり、弟をあやしてくれるときもあれば、わざと泣かせて反応を見るというときもありました。

反応を見る、というのは、弟に対しても、母親である私に対してもあったのかもしれません。4歳のお兄ちゃん、しっかりしてそうでまだ4歳だったんだなぁ、といま思い返せばそう感じます。

現在はもうすぐ4歳の年少の次男と、8歳の小学2年生の長男です。次男は、たまに突然「お兄ちゃん、大好き!」と言っています。けんかして、大っ嫌い!という日もありますが、今はけんかしてもいつの間にか仲直りして、一緒に遊び始めることが多いです。

どういう関わりが正解か分かりませんが、この絵本を読んで、子どもたちみんなにたくさんぎゅーっとして、愛情を伝えていきたいと思いました。

我慢することは「ちょっとだけ」にして、たくさん甘えたい時期に甘えさせてあげたいなとも思います。

裏表紙のなっちゃんは、乳母車を一生懸命押して、ママと赤ちゃんとの3人でおでかけです。お姉ちゃんとして頑張っているなっちゃんの姿がまた可愛らしいです。二人のこれからの成長が楽しみですね。

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にむさん
  • にむさん
  • 現在8歳と3歳の男児の育児に奮闘中です。
    兄が弟に絵本の読み聞かせをしてくれることもあり、そこから学ぶことも多い日々です。
    短大で介護の勉強をし、介護福祉士を持っています。