ふたをぱかっ
あけてびっくり!お鍋のしかけえほん!食べるのが大好きになる、フタを開けてみるのがドキドキ、楽しい絵本です。美味しさと笑顔があふれる絵本です。
☆3つのおすすめポイント
- お鍋の中身はいったい何かな?想像して、めくって楽しい仕掛け絵本です!どんどんめくってみましょう!
- 湯気やたくさんの具材が美味しさを引き立てます。フタを開けて食べたくなるようなごちそうがいっぱい!
- いないいない遊びのようで、とっても楽しいです。文章がリズミカルでテンポよく展開していきますので、絵と合わせて弾むように読み進められます。笑顔と美味しさがいっぱいつまっています!
☆あらすじ
表紙には、赤いお鍋と5種類の野菜たち。裏表紙には、4色の重ねたフライパンと、4枚のホットケーキがあります。
表紙をめくると、裏表紙に出てきたフライパンたちがフタをぱかっとあけて、焼きたてのホットケーキをお披露目しています。
まずは、赤いお鍋の登場です。ページを開いて2枚分のページいっぱいに大きく鍋が描かれています。さらに仕掛け絵本になっていて、上にめくると美味しそうなシチューが現れました!たっぷりのシチュー、美味しそうです。
今度は黄土色のお鍋。フタを開けてみると…。
あつあつで美味しそうな、おでんが!味が染みていて、じゅわっと美味しそうです。
次は黄色のフタの、平べったい鍋です。鉄板かもしれません。
フタを開けると、みんな大好き、ハンバーグ!目玉焼きも一緒にのっています。香ばしいにおいがしてきそうです。
今度はホットプレートのようです。じゅうじゅう、ぱちぱち、とにぎやかな音が聞こえてきますよ。フタを開けてみますと…
皮パリ!のギョーザが焼きあがっていました!何個食べられるかな?
次は、魔女のような顔をして、フタは帽子になっている、ちょっとあやしげな雰囲気のお鍋です。フタを開けてびっくり!
魔女のお鍋でした。不思議なものがたくさん入っていて、まるで闇鍋状態です。
今度は赤いお鍋と、立派なおかま。フタを開けると…
美味しそうなカレーライスと、ほかほかごはん!いますぐごはんにかけて食べたくなりますね。
一緒に、いただきまーす!
☆際立った特徴
お鍋が、見開き2ページ分に大きく描かれていて、その2ページ分がつながっているページをさらに下から上にめくることができる仕掛け絵本になっています。
仕掛けのページをめくると、お鍋の中身が見えて、より大きな鍋の絵になってインパクト大!です。食べるのが大好きな子も、そうでない子も、つい食べたくなってくるような絵になっています。仕掛けをめくることで鍋の中身が見える「いないいないばぁ遊び」のようで、子どもたちが楽しくなること間違いなしです。
絵本は14㎝四方の正方形で、大人の片手を広げたくらいの大きさです。お子さんの小さな手でもめくったり閉じたり、楽しみやすい大きさです。
☆書店員の感想
●お鍋の中身はいったい何かな?想像して、めくって楽しい仕掛け絵本です!どんどんめくってみましょう!
フタが閉まっていて中身が見えないものって、何が入っているのかなんとなく気になりますよね。夕飯の支度をしていても、作っている自分自身は中身は分かっているけれど、息子たちは途中から見に来ると何か分からないので、「今日の夕飯、なに?」「これ、何入っているん?」と聞いてきます。言うより見せたほうが早いと思ってフタを開けて見せてみると、「わーい!これ、ぼくの大好きなやつや!」と喜ぶ時と、「ふーん」と反応が明らかに薄いときがあって、後者の時はこちらもちょっとしょぼーんとなってしまいます。(笑)
どちらにせよ、中身が気になるお鍋!中を見る楽しみが楽しい絵本となっています。
次男はこの本が気に入ったようで、自然と手に取って読んでいることが多いです。毎日1回は必ず見ていました。そして、「これは、美味しいかな~?」「美味しそう!いただきま~す!」と、食べる楽しみの想像が広がっているようでした。不気味な魔女のシーンでも、「これは食べられるかな?不思議なものが入っているねぇ~」と、興味津々です。
もうすぐ4歳の次男が初めて仕掛けのページをめくるとき、思ったより大きかったのでどこが広がるのか分からずちょっと試行錯誤していましたが、一度めくれるとそのあとは閉じることもできていたので、初めてめくるときは大人の方が一緒にやって教えてあげると、ページが破れたりすることも防げて良いように思いました。慣れたらどんどんめくって楽しんじゃいましょう!
●湯気やたくさんの具材が美味しさを引き立てます。フタを開けて食べたくなるようなごちそうがいっぱい!
ぱかっとフタを開けると、そこには美味しそうな世界が広がります。子どもが大好きなメニューがつぎつぎと出てきます。星形のニンジンやウィンナー、ブロッコリーにじゃがいもが入ったほかほかシチュー、味がしみしみのあつあつおでん。丸いたまごに三角のはんぺん、餅入りきんちゃくや昆布も美味しそうで、どれから食べるか迷ってしまいます。
ハンバーグはジューっと焼きたての音がしてきそうなジューシーな感じが伝わってきます。フタを開けた瞬間のもわっと立ち上る湯気が、出来立ての美味しいにおいを感じさせます。
ホットプレートでギョーザも美味しそう!我が家も定番メニューで、手作りの時は何の具が入っているかもお楽しみになっていて、美味しくって楽しいですよ!
怪しげな魔女の鍋からはどんなにおいがしているのでしょう?フタを開けると、キノコやペロペロキャンディー、バナナにリンゴ、電車のおもちゃまで入っています!煮えている汁も紫色で、怪しい味がしそうです。鍋からは湯気のようにお化けも出てきていて、食べると不思議な魔法にかかってしまいそうな不気味さがあります。
子どもが大好きなカレーには、アスパラガス、ズッキーニ、ピーマン、トマト、玉ねぎも入っていて栄養満点です!ちょっと苦手な野菜でも、この本を読んでカレーライスにして食べると、不思議と美味しく食べられるかもしれません。
鍋も具材もにっこにこでお子さんを迎えてくれています。美味しそうで、楽しいイラストと展開が食べることをどんどん楽しくしてくれるようです。
●いないいない遊びのようで、とっても楽しいです。文章がリズミカルでテンポよく展開していきますので、絵と合わせて弾むように読み進められます。笑顔と美味しさがいっぱいつまっています!
フタが閉まっている状態から、ぱかっと開けると中身が見える、というのが、顔をかくしていないいない~ばぁ!として楽しむようすとなんとなく似ているような感じがします。
ぱかっとフタが開いて中身が見えると、今まで隠されていたものが姿を表す感じがしますね。そして、なんといっても、とっても美味しそう!今は秋なので、これから寒くなってくる季節にますますピッタリな温かい食べ物が詰まった絵本です。もちろん、どの季節でも美味しいですけれどね。
お子さんと一緒に、「どれ食べたい?」と話を広げてみたり、ごはんづくりのときにフタを「ぱかっ」と言って開けて見せてあげたりと、食事がもっと楽しくなる親子のコミュニケーションが増えるきっかけになるようにも思いました。
この絵本の作者の新井洋行さんは、湯気とともに閉じ込められたものが、フタを開けたときに広がるようすを描きたかったとインタビューで話されています。フタを開けるときのワクワク感と、フタを開けた時の湯気と匂いが立ち込める感動を伝えたかったそうです。新井さんは赤いもの(この絵本では鍋です)に顔が描かれているものが好きだそうで、それが表紙のメインになっています。また、ギョーザの焼き目の色や食感の表現にこだわり、色味を緻密に計算して描かれたそうです。そして、編集者さんとのやりとりで生まれた闇鍋が案として採用され、面白さを引き立たせていることなどがインタビューに書かれていて、新井さんのこの本に対する思いを強く感じました。子どもたちが楽しく、絵本から美味しさを味わってほしい、いろんなものを美味しく食べてほしいという新井さんの気持ちがぎゅっと詰まった絵本です。小さいお子さんから長く楽しめる絵本のように思いますので、ぜひ見て触って、絵本の凝縮された美味しさを味わってみてください。
- 作品名:あけてびっくりしかけえほん ふたをぱかっ
- 著者名:新井洋行(インタビュー)
- 出版社:角川書店