ぶららんこ
あったらいいな、こんなブランコ♬ファンタジックな絵本を読み聞かせしたい時にピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- 現実のようなファンタジーの世界。ブタが公園のブランコに乗ってきたらどうする?空を飛ぶブランコ、雲まで上って、海の中まで沈んで、ブランコを楽しみますよ。
- 雲なら「くもぶらんこ」海なら「うみぶらんこ」ブタの上に着地は「ぶうらんこ」。言葉遊びを楽しみながら、お話を楽しみます。
- 声色を変えたり、抑揚をつけたり、読み方次第で楽しみ方が変わっていきます。
☆あらすじ
ブランコがあります。そーれ!と漕ぎ出したら豚が乗ってきました。1匹かと思ったら次から次に豚が乗ってきて、ブランコがグシャッと壊れてしまいました。
沢山の豚が1人に1台で一気に乗れる並んだブランコやメリーゴーランドのようなブランコ。豚たちは一斉に飛び乗って遊びます。
その間に女の子はミツバチ達にチェーンを持ってもらいハチのブランコ”ぶんらんこ”を楽しみます。
雲の中に入ったり出たりする”くもぶらんこ”。
海の中では、ぼっちゃんと息を止めて入って、ギリギリで海面に出てスリルいっぱい!の”うみぶらんこ”を楽しみます。
花畑が見えてきたらミツバチ達がチェーンを手放しちゃった!残ったのは2匹のミツバチ。落ちちゃうよー!と女の子。2匹のミツバチも頑張りますが、ゆっくり降下。ぶらんぶらんと降りたのはさっきの豚たちが待つ公園。
ちょうど着地したのが豚の上で”ぶうらんこ” 「着陸成功!」豚の頭にたんこぶ出来て”ぶらんこぶ” 女の子はおちゃめに一言「ごめんね!」
☆際立った特徴
小さい子から楽しめる、言葉遊びの絵本です。声色を変えたり、抑揚をつけたり、読み方次第で楽しみ方が変わっていきます。
そして、これは現実のようなファンタジーの世界、メリーゴーランドのような「めりーごーらんこ」ミツバチに乗せてもらうなら「ぶんらんこ」雲の中なら「くもぶらんこ」と、言葉遊びを楽しみます。お話がどんどん展開していき、女のコが気持ちよさそうだったり、慌てたり、様々な表情を見せてくれ、次から次に、面白さが展開しています。
アクリル絵の具で描かれた世界に、ブランコの金属質な所は貼り絵をして、よりリアルに感じられるように描かれています。よーく見るとブランコの鎖が浮き出ているようにみえるけど、そうでもなく背景に調和しているような、不思議な感覚です。
☆もっと詳しくストーリーを深堀り
女の子が、今からぶらんこをこいで遊びます。「いくよー!」片足で高ーく蹴って「そーれ!」大きく揺れだしました。すると・・・女の子が乗ってる、ぶらんこの座面の上に、もう一つ座面が出来て、小さめのブタが乗っています。あれ、いつの間にそこに乗れるようになったんだっけ??ぶーぶーぶーぶーと「僕も乗りたいな〜乗りたい乗りたい!!」と他のブタ達もだんだん寄ってきました。総勢13匹。
ちょっと待ってよ!!と思った瞬間、女の子の下に座面がもう一つ増えてブタたちが一斉に飛び乗ったものだから、ブランコがぐしゃーと潰れちゃいました。「もう!壊れちゃったじゃない!」「ぶぅ・・・(ごめーん)」
そんなに乗りたきゃこちらにどうぞ!と女の子が指を指したのは、大きな広場に60台のブタ専用ぶらんこ。13匹かと思ったらまだまだお仲間がいるようです。1人1台ずつ乗れるように出来てます。その名も”ぶらららららららららららららららららららららんこ”。
林と林を結ぶように60台のブランコが連なっています。はい、今度はメリーゴーランドのような”めりーごーらんこ”。ブタ達みんなで大はしゃぎ。「ガンガンまわせー!」とすっごい勢いで回します。
そのすきに、私はみつばち達と・・・みつばち達にぶらんこのチェーンを持ってもらって私は空で、”ぶんぶんぶんぶん ぶーらんこ”。豚たちは「ずるいぞー!!」と下から叫んでいるようです。
女の子は気にせず「いってきまーす!」お日様に向かって高く高く登ります。
雲が見えてきました。もっこもこの雲の中。”ぶふぁん・・・ぽ”雲の中は、「はー♬いい気持ち」まさにこれは【くもぶらんこ】雲を抜けると、下には真っ青な海が広がっています。
今度は海まで行っちゃおう!さあ、潜るぞ!と大きく息を吸って止めてっ!「ぼっちゃん・・・ん・・・」 息が辛くなってきた。急いで水を両手でかいて、「んんんーぽおっ!!!」はー気持ちいー!!しょっぱーい!【うみぶらんこ】
ミツバチたちが必死に上にひっぱり上げてくれたようです。次はどこにいこうかな?あっお花畑!と思ったらミツバチ達が一斉に手を離して「お花の蜜を集めるぞー!」と、お花に向かって・・・持っていたぶらんこのチェーンを離しちゃった。2匹だけでなんとか持ってくれてるけど時間の問題。 みんなで支えてくれないと、落ちちゃうよー ふらふら ふらふら 【ふらふらんこ】
2匹で持つのも限界だ。もうだめだ、おっこちちゃうー!とゆっくりゆっくり降下して、行き着いたのは豚がいる公園。「あっ!帰ってきた!」ブタ達が騒いで女の子の所に集まってきます。おっ丁度いい所に!【ぶうらんこ】1匹のブタの上に無事に着陸成功!ブタの頭にぷっくぅーと大きなたんこぶ。【ぶらんこぶ】 女の子はおちゃめに一言。「ごめんね」
☆書店員の感想
表紙と裏表紙の裏に主人公の女の子の住んでいる世界が地図のように描かれています。その中には、ブタに潰されたブランコや、60台のブランコ、ストーリーには登場しませんでしたが、建物より明らかに大きい大男のようなブタも地図の所々にいます。この地図を見ているだけで、どんな世界で、どんな人が暮らしているんだろう?と考え込んでしまいそうです。
そして海・雲・花畑などの景色が素晴らしく美しいです。海の中から出てきた女の子から水しぶきが上がりますが、一粒一粒が太陽の光と海の中の色を反射し、飛び跳ねているようです。
他にも、、雲ブランコをしている女の子に雲がモッタリと包み込むようにして遊んでいるようにも感じます。小さな時に夢見ていた”雲の中に入りたい!”を、主人公の女の子は経験できて羨ましい!真っ青な雲の中を、雲の中を、海の中を、花畑の中を、私もブランコしてみたい!!
そして、本書は声色を変えたり、抑揚をつけたり、読み方次第で子どもと笑ったり、ハラハラ・ドキドキしたりと楽しみが変わると思います。
隠れた面白さも読めば読むほど発見できます。例えば裏表紙の3匹のブタの中に氷嚢を頭に当てて遊ぶブタがいます。理由は何でしょう。ヒントは【ぶらんこぶ】になったブタ。
子どもにとって身近な公園の遊具であるブランコだからこそ、小さな子どもにも本書の言葉遊びは、わかりやすく出来ているように思いました。帰ってきた女のコが着陸したのがブタの頭の上。”ぶらんこぶ”の最後の終わり方も最高です!ちょっと痛そうなブタだけど、「ごめんね」って女のコ。最初にぶたがぶらんこを壊したから、”おあいこ”って事ですね★