りんごが コロコロ コロリンコ
りんごがコロコロ…可愛い動物たちの上を転がっていきます!楽しい音が耳に響き、小さいお子さんと一緒にコミュニケーションが広がります。動物やりんごが好きな子にピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- りんごがいろんな動物たちの上を転がっていきます!どこまで転がっていくのかな?一緒に追いかけている感じがする楽しい描写です。
- りんごが転っていく動物に合わせて、『~りんこ』、と言い回しが変化していくようすが、読んでいてもリズムよくワクワクしてくるようです。声に出して読んで楽しんでみましょう!
- 切り絵で作られたような絵、大きくてインパクトがあります!動物の名前を覚えたり、動物から色の名前を覚えることもできます。ページによって動物の色が違うことで雰囲気が変わって、つぎつぎ楽しめます。
☆際立った特徴
切り絵で作られたような絵で、見開き2ページにわたって大きな動物が描かれています。パッと見たときの動物のインパクトがあり、その上をどんどん転がっていくりんご。どこへ行くのか、このあとどこまで転がっていくのか気になってきます。また、りんごが転がるようすを動物ごとに『~りんこ』といろいろな表現をされていて、どんな風に変化してくのか読んでいくのが楽しいです。
絵本の大きさは、縦26.5㎝×横22㎝で、大きめの絵本の中に可愛い動物たちがドーンと登場してきます!
☆あらすじ
ぞうさんがりんごを取ろうとしたそのとき、つるり!と手が…いや、鼻が滑りました。
そのままぞうさんの体の上を、りんごが コロコロ コロリンコ、と転がって行きました。
誰かりんごをつかまえて!
ぞうさんのうしろには、きりんさんがいました。
そのきりんさんの上を、りんごはさらに転がっていきます。
そして、きりんさんのうしろにいたかばさんの体の上を、りんごがまたまた転がっていきます。りんごはどこまで行くのでしょう。
かばさんの後ろには、らくださんがいました。ふたこぶありますが、こぶの上もコロコロと転がっていきました。
さらに後ろにはフラミンゴさんが。
フラミンゴの上を転がっていきます。りんごがフラフラ フラリンコ。
お次はおさるさんです。おさるの上を、ウキウキ ウキリンコ、と転がって行きました。
おさるさんの次にはやまあらしさんがいます。ちくちくのとげのような体をしていますが、りんごはその上も器用に転がっていきます。りんごが チクチク チクリンコ。
りんごはまだまだ転がります。
次はわにさんがいました。ごつごつした体の上を転がるりんご。ゴトゴト ゴトリンコ。長い体の上を転がっていきました。
わにさんの次に長いへびさんがいます。波打っているような長い体の上を、りんごがニョロニョロ ニョロリンコ、と転がっていきました。
へびさんから転がった先には、『わたし』がいました。
わたしのところへりんごがコロコロ…。りんごをつかまえたわたし、りんごをパクリといただきます!
☆書店員の感想
●りんごがいろんな動物たちの上を転がっていきます!どこまで転がっていくのかな?一緒に追いかけている感じがする楽しい描写です。
表紙にはどどーんとかばさんが描かれています!頭からりんごが転がり始め、しっぽのほうに…けれど本を開くと、表紙と裏表紙の体がつながっていないので、頭から転がってきたりんごが体のほうへ転がっていき、また頭のほうへ転がっていくのかな…?そんな感じにも思えてきます。
動物の上を、赤いりんごがどんどん転がっていきます。動物たちは横向きの姿がほとんどで、大きなぞうさんのなだらかな背中から、きりんさん、かばさんの長い・大きな背中を通り、らくだのふたこぶもらくらくと転がっていきます。チクチクとしたやまアザラシさんや、わにさんのゴツゴツとした背中の上も転がっていき、なんだかりんごが楽しそうに転がっているようにも見えてきます。
そういえば、この絵本を読みながら、自宅で手を滑らせてりんごがころころと転がったことがあったな…そのときちょうど次男が見ていて、りんごが転がるようすが面白かったようで、まだ言葉が少ししか話せないときでしたが、「りんご、ころころしたねぇ」とにこにこの表情でわたしに話してくれたのをふと思い出しました。何気ない育児のやりとりの時間が、この絵本を読んで記憶をよみがえらせてくれました。転がして遊ぶわけではありませんが、ちょっとしたことで起こる現象が子どもの目には楽しく不思議にうつっていることがあるんだろうな、と感じます。
動物と転がるりんご、この組み合わせが楽しく、子どもにとっても好きなもの同士の組み合わせのように思いました。
●りんごが転がる動物に合わせて、『~りんこ』、と言い回しが変化していくようすが、読んでいてもリズムよくワクワクしてくるようです。声に出して読んで楽しんでみましょう!
タイトルは、『りんごが コロコロ コロリンコ』です。
このコロコロ、そしてコロリンコ、と変化する表現がまず楽しいなと感じました。りんごが転がっていくようすが楽しく、大人にも子どもの耳にもポップで弾むような印象に響きます。
このままコロコロ、と転がっていくのかと思いきや、ぞう、きりん、かばを経て、らくだに差し掛かったとき、こぶの上を転がるりんごの様子を、『コブコブ コブリンコ』と表現されています。このらくだのこぶの上を通っていったりんごのようすが、絵を見ながらさらに楽しめるように思いました。
そのあとは、動物ごとにどんどん言い回しも変化していきます。
フラミンゴは『フラフラ フラリンコ』、さるは『ウキウキ ウキリンコ』、やまあざらしは『チクチク チクリンコ』、わには『ゴトゴト ゴトリンコ』、へびは『ニョロニョロ ニョロリンコ』。響きも楽しい感じがしますし、なんだか一緒に声に出して言いたくなるようなワクワクしてくる表現に感じます。お話を聞いているだけでなく、一緒に言うことで楽しさが増すように思いました。絵も、りんごが転がるようすに合わせて、りんごの転がったあとに描かれている線のようなものがそれぞれ違うふうに表現されています。フラミンゴのところはフラフラ…としている感じ、おさるのところはウキウキと楽しく弾むよう、わにのゴトゴト…と転がる様子はわにの背中に合わせてギザギザになっています。
お話を読みながら、りんごはどんなふうに転がっていったのかな、と、転がったあとをたどってみるのもいいですね。
●切り絵で作られたような絵、大きくてインパクトがあります!動物の名前を覚えたり、動物から色の名前を覚えることもできます。ページによって動物の色が違うことで雰囲気が変わって、つぎつぎ楽しめます。
絵は見開き2ページにわたって、動物が大きく描かれています。その上をりんごがコロコロ転がっているのですが、絵は切り絵で作られているように見えます。色使いがシンプルで、大きく描かれている動物たちがパッと目に入ってきてインパクトが大きいです。
動物の名前をいろいろと覚えられて動物が好きな子にピッタリの内容にも思いますが、動物ごとに体の色が違いますので、ページごとに色の雰囲気が変わり、その点でも楽しめるように思いました。
ぞうは青、きりんは黄色でパッと明るいです!フラミンゴのピンクも可愛いですし、おさるの茶色、わにの緑色もその動物を連想させ、色と動物をパッと印象付けてくれるような描写に思いました。へびは本物はちょっとこわい印象ですが、薄い紫色に濃い紫色の丸い斑点の組み合わせが可愛らしい雰囲気に感じます。
また、ラストに近づくにつれ、りんごの描かれている大きさが少しずつ大きくなっているようです。最後『わたし』のところに転がってきたときには、おすわりしている小さな子どもとりんごの大きさが丁度よく、そのままパク!読んでいるお子さんもついついパク!としたくなりそうですね。
裏表紙の内側のページには、食べ終わったりんごの絵も描かれていて、遊び心たっぷりです。ころころ転がる可愛いりんご。登場してくる動物たちも愛嬌たっぷりで、親子の絵本タイムにピッタリだと思いました。
- 作品名:りんごが コロコロ コロリンコ
- 著者名:三浦 太郎
- 出版社:講談社