わたしのあくびみなかった?
眠る前の読み聞かせにピッタリ!君が眠ってしまう前に、ミリーと一緒にあくびを探す冒険へ出かけよう!
☆際立った特徴
- 作者ピョン・ユジョンはアメリカの作家。
- 主人公があくびを探しに世界中を冒険!
- 誰もがよく知る世界中の有名人・建造物に聞いて回る。
- 連鎖するかのように、ミリー以外のみんながあくびをする面白い繰り返しの展開。
- 気球や気球、ロケット、らくだに乗るシーンあり。
- ミリーの冒険自体が夢なのかな・・・?と思えてしまうけど、どうやら現実のよう。このあやふやさが面白いポイント!
- 4コマで描いてあるページもあれば、見開きいっぱいで大きく描く部分などミックスされていて、読者を最後まで飽きさせず、楽しませる構成。
- 自由な子どもならではの発想が、読者を楽しませる。
☆読み聞かせのポイント
- 「寝たくても眠れない時ってあるけど、どうして眠れない時ってあるのかな?」と考えてみませんか?そんな時はどうしてる?と話してみると楽しいですね。
- あくびを探しに世界中を探して回るミリー。世界の素晴らしい景色を楽しめ事と、有名な絵画や建造物、なかなかお会いできない動物の、いつもと違う姿を見ることが出来るのが本書の面白い部分!
- あくびをする姿を見ていると、読者も自然とあくびが出ちゃうかもしれません!思い切ってあくびして、読んだ後はストンと寝てしまいましょう!
☆あらすじ
ミリーはどうしても眠れません。なんでだろう?
いつもやっている事は全部やりました。お風呂に歯磨き、寝る前の絵本タイム、ぬいぐるみのミロにおやすみのキスもしたのに・・・あっ!そういえばいつも寝る前にあくびが出るのに今日は出ていないわ!そうか。あくびを無くしちゃったんだ。
「そうだ!」と、ぬいぐるみのミロを連れてあくびを探すことにしました。
犬のバーレイに聞いても、ネコのモーリーに聞いても、ハトのダラダスに聞いても、誰もミリーのあくびを見ていないと言います。
さて、ミリーのあくびは一体どこへ行ってしまったのでしょう。
ミリーは気球に乗ってあくびを探す冒険の旅に出かけることにしました。
自由の女神さんやモアイ像さん、絵画の中のモナリザさんにも聞きますが、だれもミリーのあくびは見ていないと言います。
ミリーはまだ諦めません!次は船に乗り換えて、あくびを探す冒険の続きです!
北極のペンギンさんや、ジャングルのカバさん、エジプトのスフィンクスに聞いても、だれもミリーのあくびを見ていないと言います。
世界中を見て回ったのに・・・。こうなったらもっと遠くへ探しに行くしかない!と、ロケットに乗ったミリーは、宇宙服に着替えて、月へ向かいました。
月ではうさぎたちがチーズを掘るのに忙しそうです。(月がチーズで出来ている)
そしてやはりミリーのあくびは見ていないと言いました。
ここまで来たのに、あくびを見つけることが出来なかったミリーはしょんぼり。
パラシュートで家に帰ることにしました。そーっとそーっと家の前に降りたミリーは、静かに家に入り、自分の部屋へ行き、ベッドに入り夜空を眺めました。
美しい星がキラキラと輝いています。冒険で出会ったみんなを思い浮かべると、ミリーにはみんなが星座に見えてきました。
そうしているうちに、急にミリーのとびきり大きなあくびが「ファァァァァァ~」と出ました。ミリーはストンと眠りに落ちました。
☆書店員の感想
「眠れない理由は、自分のあくびをどこかで無くしたからだ。探しに行こう!」と、このまさかの展開が面白い作品です。
自分が眠れない理由を考えた時、まさかどこかにあくびを無くしちゃったからだ!とは、きっと皆さんも思いつきませんよね。いつものように寝る前の準備をして、寝る前に読みたい絵本を聞かせてもらって、温かい布団に入って・・・。
私だったら「今日はお昼寝したからだな。」とか、「さっきまで映画を見たから興奮しているのかも?」とか、思うんじゃないかと思うのですが、ミリーは全く違った考え方をしていました。本書を初めて読んだ時、とってもユニークで面白い展開だなと思ったし、子どもらしさがあって、素直な少女だなと感じました。
「あくび」って自然現象。しかもあくびは伝染するから面白い!「あくびマジック!」
誰かのあくびを見たら、自分もあくびが出ちゃったなんて事、経験ありませんか?
ミリーは沢山の人や動物、有名な建造物などに「私のあくび見なかった?」と聞いて回るのですが、みんなは「あくび」という言葉を聞いたからなのか、ミリーの質問に答えた後、必ずあくびをします。
不思議な現象ですね。私もあくびの事を考えるだけであくびが出そうです・・・(笑)
聞かれたみんなは今日1日どんな事があったか話すと、「こんなに今日頑張ったんだな。疲れたな。」と、どっと眠気が襲うというか・・・あくびがしたくなるというか。これはもう、「あくびマジック」と勝手に名前を付けてもいい位の、自然現象ですね!
「あくびを見なかった?」とまずは身近な友達に、そこから乗り物に乗って世界中の有名な方々に聞きに行き、やがてロケットで月のウサギに聞きに行きますよ!
近所の犬や猫、ハトに聞きに行ったミリー。そこまでは普通なのですが、ぬいぐるみのミロと二人だけで気球や船、ロケットに乗ってあくびを探す冒険へすぐに出かけてしまいます。すごい展開ですよね!
まずは気球に乗ってニューヨークの自由の女神、そしてイースター島のモアイ像、パリのルーヴル美術館のモナリザへ会いに行き、見つからないから船に乗り換え、今度は北極のペンギン、ジャングルのカバに、エジプトのスフィンクスに会いに行き、どうしても見つからないからとロケットで月のウサギの所まで行きます。
どんなに遠くまで探しに行っても、見つからないミリーのあくび・・・。
仕方がない。そろそろ戻るか・・・と思ったミリーは、最後はパラシュートで自宅へ戻ります。そーっとそーっと、家の人に気づかれないように部屋に戻ったミリーは、仕方が無いからと、自分のベッドに入りました。
ベッドに入っても眠くならないミリー。しかし、夜空の星を見ながら、今会ってきた友達を思い浮かべました。
すると、キラキラ輝く星とみんなが重なって、なんだかみんなが星座の形に見えてきました。きっとミリーは、「みんなの所に会いに行けて最高だったな。楽しい冒険だったな」と思い浮かべているのかもしれません。
そうしているうちに、なんだか急に眠くなったミリーは・・・大きなあくびを「フワ~!」としました。そして、ストンと眠りにつきました。急に⁉と突っ込まないであげて下さい。きっと冒険ですっかり疲れてしまったのでしょう。眠れて良かったね☆
実は、ミリーの部屋。よーく見てみると・・・
壁や棚の上にこの日会いに行った自由の女神やスフィンクス、ペンギンやモナリザなどのポスターや置物が揃っているんです。船やロケットもあります。きっと、もともとミリーのお気に入りの物ばかりだったのでしょう。そう思うと、今までの冒険は全てミリーの夢の中・・・だったという事でしょうか?ここが少し謎の残る部分でもありますが・・・
今ようやく眠れたミリーです。それが1番のハッピーエンド☆
可愛い寝顔を見ると「みんなに会いに行くことが出来て良かったね。」とおやすみのキスをしてあげたくなるのは、私だけでしょうか。
- 作品名:わたしのあくび みなかった?
- 著者名:作 ヨン・ユジョン 訳 三辺律子 (英語でお仕事する人の応援サイト「Hi!Career」インタビュー)
- 出版社:絵本塾