キャンプ!キャンプ!キャンプ!
冒険や探検が好きな子・キャンプやアウトドアが好きな子にピッタリ!インドア派も、この本だけで充分キャンプを満喫できる!
☆際立った特徴
- 年に1度の、この家族達のお決まりキャンプ。二つの家族の思い出の1日を描く。
- 家を出発する所から帰り道までを描く。
- 内容が盛り沢山なキャンプ遊び。寝ている暇なんて無い!
- インドア派も、実際行かなくても本書だけでキャンプに行った気持ちに十分なれる。
- 子ども達(大体小学生くらい)の目線で描いているから、読者もその中にいるような感覚になれる。
- 子どもなら夏に1度は体験してみたい事が詰まっている。
- 来年の約束を残して別れる二つの家族。来年(続編が見たくなる)が楽しみ!来年の彼らを見たい!
☆読み聞かせのポイント
- 実はアウトドア派の子にはもちろんピッタリな絵本ですが、インドア派の子も読んで欲しい1作です。夏に体験してみたい事をぜーんぶ、この絵本の中で疑似体験できます!子どもの目線で描いているので、この一員になれた気持ちで読むことが出来ます。
- 自然と遊ぶのには危険が必ずつきものです!そんな事も自然と話の中に出てくるので、「川は大人と一緒じゃないと絶対入ったらだめだよ」とか、「炭はこうやって火をおこすんだね。大人と一緒にするよ」と、話してあげると良いと思います。
- 「来年も、また会おうね!」と約束する子ども達。そしてある秘密と約束を交わします。ヒントは裏表紙。来年が楽しみだなと読者も思いながらお話が終わります。「またこの本読もうね」と、嬉しくてワクワクする気持ちを持ったまま、絵本を閉じる事ができます。
☆あらすじ
夜遅く、今からキャンプに出かける。僕はもう眠くてあくびが出ちゃうんだけど、お父さんはウキウキと荷物を車に詰めている。出発すると、僕はすぐ寝てしまった。
目が覚めると川辺のキャンプ場に着いていた。
お父さんの友達の山口さん家族がもう先についていた。「おーい!みんなおはよう!」
山口さんの子どもは4人、僕は兄妹2人。みんなと会うのは久しぶりだ。
荷物を下ろして早速テントの設営。それが終わったら、さっそく川遊びだ!
「あの岩から先には行ってはいけないよ。流れが急に早くなるんだ」
おじさんが教えてくれた。
手長エビが岩に隠れているらしい。みんなで探して、僕も採ることが出来た。やった!
川から上がるとご飯の支度。僕たちも火おこしの手伝いをする。うちわで仰いで…煙が上がった。やった!
採ったばかりの手長エビを素揚げにして食べたり、パンに焼いたハンバーグを挟んでハンバーガーにして食べた。トマトは苦手だけど、あれれ、食べられた!
夜は花火大会。沢山あったのにあっという間になくなっちゃった。
空を見上げると、満天の星空。あまりにすごすぎて、ずっと見ていたら空に吸い込まれそうだ。
明日もきっと晴れるね。さあ、明日も早起きして、沢山遊ぶぞ!
テントで寝ていると、お父さんが起こしに来た。まだ暗いけど、みんなで虫取りに行くんだ。
懐中電灯を持ったお父さんに皆がついて真っ暗な山に向かって歩いていく。ホントに虫がいるのかな?お父さんたちは、昨日のうちにいい場所を見つけたらしい。
着いた場所には大きな木。
そこには沢山のカブトムシやクワガタが樹液を飲みに集まっていた。やった!
ちょうどセミが羽化している貴重なタイミングに遭遇する事も出来た。この白いセミが昼にはあの姿になるなんて…信じられない。
帰った僕たちは、朝ごはんの支度をしていたお母さん達に採ってきた虫を見せた。
お母さんは少し困った顔をしたけど、エサにスイカの皮をくれた。
僕たちはまた、夕方までたっぷり遊んだ。
あっという間に帰りの時間。みんなで手分けして片付けると、すぐに片付け終わった。
子ども達は集まって、「来年もまた手長エビ採ろうね!カブトムシもね!」と話し、そしてみんなで『あの場所は僕たちだけの秘密ね』と約束した。
あっという間の2日間だった。
今から来年みんなに会えるのが楽しみだ!
☆書店員の感想
●本書は、実は私にとって思い出の1冊です。
子どもが「キャンプに行ってみたい!」と言い出した頃、次男が年長さんだった頃の話しです。
もともとインドア派の私と主人、そして私が妊娠でツワリ・・・といったタイミングの夏でした。「じゃあ行ってみようか!」とはならず、でも「行きたい!」と言う息子に何かしてあげたくて、家でバーベキューや花火はしたのですが、どうしてもキャンプに憧れを持っていた彼にしてあげられる事は・・・と探していた時に、本書に出会いました。
表紙を見ただけで息子は「これ!!」と喜び、何度も何度も読んで聞かせました。
季節もあっという間に秋になったことも重なったからか、本書に出会ってから、「キャンプに行きたい!!」と息子は強くは言わなくなったように思います。
もしかしたら本書の中で何度もキャンプを体験し、想像し、満足したのかもしれません。
実際に体験させずに絵本に任せた事が、いい事だったか悪いことだったのか…今となっては分かりませんが、それだけ本書に入り込んで、登場人物の1員になって読んで楽しんだという面で言うと、私は本書との出会いは彼にとって素晴らしい出会いだったなと思っています。
妊娠中の母にとってもとってもお世話になっし、助けられたと感謝しています★
●もし、同じような理由があって、キャンプに連れて行ってあげられない保護者の方がいたら、私は本書をぜひお子さんと楽しんで欲しいと思います。
あえてキャンプ系の絵本を遠ざけるのではなく、『行ったつもり』を楽しめたら、きっとそれはそれで良い思い出として残ってくれると思います。(実際にキャンプに行けなくても)
連れて行ってあげられない代わりに、絵本の中で色んな想像を膨らませて、「こんなことして遊んでみたいね。」「エビ採れるんだって!すごいね!食べたいね」「川の水って冷たそうだね!」と、遊んであげて欲しいと思います。本の良さはそこにあると思います。実際にできない事も、絵本の中で楽しむ事がきっとできます!
ちなみにそんな次男ですが、この絵本を読んであげていた時から5年経つのですが、今でも表紙を見ただけで「この本よく読んだよね。この本好き。」と言ってくれます。
キャンプに連れて行ってやれなかったけど、ちゃんと楽しかった思い出だけは残してあげることが出来たと…安心しています。
●私達のそんな思い出からも言えると思うのですが、私はアウトドア派の子にはもちろん、インドア派の子にオススメしたい本なのです。
実際キャンプに行くのは嫌だけど、どんな事をするのか見てみたい。外で寝たり、虫を捕まえるのは怖いけど、それが一体どんな物なのか疑似体験してみたいと思っている子にぜひ読んで欲しい作品です。子ども達の目線で描かれているので、実際に川に入って手長エビを捕まえるシーンや、高い所から川に飛び込む場面もあり、自分もその一員になって遊んでいるような感覚を楽しむことが出来ます。
もちろんアウトドア派の子には、かなりオススメの絵本です。
遊ぶ事だけでなく、テントの設営や火おこしの大変さ、そして自然には必ず危険な事もあるという事も知ることが出来るので、実際に行った時は手伝わないといけないな。ちゃんと大人の言う事を聞かないといけないなと、子どもながらに感じることでしょう。
さあ、登場する子ども達は帰り際、早くも来年の話をしています。今年はなんとあの虫が集まる秘密の場所を発見しました!川遊びも最高に楽しかったようです。
「来年も絶対行こうね!遊ぼうね!」
日に焼けた子ども達。今から一年後が楽しみだなんて、とっても素敵な約束ですね☆
- 作品名:キャンプ!キャンプ!キャンプ!
- 著者名:青山友美
- 出版社:文研出版