スープに なりました
寒い季節にピッタリ!温かいスープはいかがですか?スープ好きの子はもちろん、お料理好きの子、食べることが大好きな子にオススメ!おままごと遊びも出来ますよ♪
☆3つのおすすめポイント
- このお野菜からどんなスープができるかな?想像してみましょう!温かさや冷たさも感じられるような、作ってくれた人の気持ちも伝わるような、美味しいスープ。めしあがれ!
- シンプルなストーリーが際立っています!ごくごくと飲んでいる様子や、グツグツと料理している真似っコも楽しめます。「あちちっ!」「つめたーい!」「甘ーい!」など、いろんな想像を膨らませて、お話もできます。
- 言葉のやり取りだけで、子どもの成長すら感じることが出来る、おままごとが出来る絵本。ぜひオススメしたい本書を使った遊び方・楽しみ方があります。
☆あらすじ
にんじんが、とろーりスープになりました。ごくっ。
じゃがいもが、とろんとろんのスープになりました。ごくごく。
トマトが、さらさらスープになりました。こくこく。
えだまめが、ひんやりスープになりました。こくり。
ほうれんそうが、ふわふわスープになりました。ごっくん。
とうもろこしは、とろっとろのスープにして、パンを切って、ちゃぽん。
ふーふー。ぱくっ! 「ごちそうさま!」
☆際立った特徴
材料の野菜が右のページに実物大で描かれて登場します。左のページには「にんじんが」とだけ書かれています。貢をめくると、左ページにどんなスープなのかの紹介と飲んでいる音が「とろーりスープ。ごくっ」と書かれています。全てのスープが全て違う言葉の表現になっています。そして、右のページには、その材料を煮込んで作ったスープがカップに入って描かれています。
シンプルなデザインと一見感じるのですが、右・左のページをトータルで見てみると、甘いのかな?温かいのかな?どんな食事と合うのかな?など、色んな事を考えて想像できちゃう不思議さがあります。
親子の食卓が楽しくなる、野菜とスープの、おいしい木版画絵本。(「浮世絵」の手法ですられた木版画絵本)
☆書店員の感想
このお野菜からどんなスープができるかな?想像してみましょう!温かさや冷たさも感じられるような、作ってくれた人の気持ちも伝わるような、美味しいスープ。めしあがれ!
最初に登場したのが、にんじんです。真っすぐに伸びた1本のオレンジ色のにんじんに、所々白い筋が入っています。もしかすると、お料理で見て食べた事はあるけど、実物の生のにんじんを見たことがない子もいるかもしれませんね。よく見てみましょう。よく見ると”真っすぐ”ではないんです。にんじんって真っすぐに見えるけど実は微妙に歪んで伸びています。そして、白い筋が無数に入っています。にんじんの茎は生き生きとした黄緑色です。美味しく育ったにんじんが、貢をめくるとスープになります。どんなスープかな?
煮込むことで、オレンジ色に白みが加わり、黄色とオレンジ色の中間のような色のスープになります。アクセントに細かく刻んだパセリがパラパラと乗っています。温かく、飲めばにんじんの甘味が口いっぱいに広がるような、そんな「にんじんのとろーりスープ」です。
次はじゃがいもです。ゴツゴツしたじゃがいも。大人の握りこぶしほどの大きさの立派な黄金色のじゃがいもです。さあ、どんなスープになるかな?じゃがいもはじっくり煮込むと水に溶けだして、軽い力で崩れてしまうほど柔かくなり、トロトロのスープになります。そして白色の「とろんとろんのじゃがいもスープ」になりました。温かいミルクのように見えるじゃがいものスープは、心も体も芯まで温めてくれるような優しい味です。
次はトマトです。ヘタの部分まで赤く染まっていて、赤くふっくらした部分にはツヤもあります。ヘタには細い葉がついています。真っ赤なトマトは甘くて栄養もあり、ヘタの緑色がついていることで、とても美しい見栄えがいいです。甘みと酸味があるトマトをスープにしたら、どんな味になるでしょうか?トマトは煮込むと少し酸味を残したまま、「甘くて舌触りのさらさらなスープ」になりました。
次は枝豆が3本登場!大きくふっくらした中の実が、皮をかぶった状態でもよく分かるほど、立派な枝豆。中の豆を取り出して、煮込んでスープにします。枝豆の採れるシーズンは夏です。口通りの良いスープをさらに冷やして、ガラスの器に盛りつけられました。夏バテも引きとぶような、「香ばしさが残る甘くてひんやりした枝豆のスープ」です。
次はほうれん草です。ほうれん草のをよく見てみましょう!根から真っすぐ伸びた茎から、フワッと大きく広がった葉っぱ。お湯に入れるとすぐに火が通って柔らかくなるほうれん草は、スープになるとどんな風になるのでしょうか。貢をめくると緑色に白色が混ざったような、抹茶色のスープになりました。白いカップに入れると優しい色に感じます。ごっくんと飲んでみると「ふわふわの触感のスープ」になりました。
最後はトウモロコシです。トウモロコシは重なった葉に実が覆われています。葉をめくると太陽の色のような元気のいい黄色の粒つぶが出てきます。そんなトウモロコシをスープにしました。そのまま飲んでも美味しいのだけれど、今日はフランスパンを用意して、人数分に切り分けて、スープにつけて食べましょう!「ふーふー。ぱくっ!美味しい!」
あっという間にスープ全部食べちゃった。 『ごちそうさま!』
ごくごくと飲んでいる様子や、グツグツと料理している真似っコも楽しめます。「あちちっ!」「つめたーい!」「甘ーい!」など、いろんな感想を想像してお話もできます。
私は3歳の娘と本書を読みながら、いつもスープを持って飲む真似っこを楽しんでいます。「温かいねー」などと私が言うと、私の真似をした娘が、『あ”ー!温かくて美味しい!』とプラスの表現をして返してくれます。そして、「味はいかがですか?」と聞いてみると「甘ーい!」「からーい!」「とろけるぅー」など、気分によって味も触感も替えて答えてくれます。
面白いので、私も子どもにのって、「今日はカレー粉を少し入れましょう!」とか「お塩をパラッとかけると美味しいかな?」など、出来上がったスープのページの絵の上から、調味料を加えるジェスチャーをすると、とても喜んでくれます。娘も真似っこして私の分のスープを作って『はい、どうぞ!』と手渡ししてくれます。私は本当は手には乗っていないスープのカップだけど、飲む真似をしているだけで、幸せを感じます★
本物ではないのだけれど、味を想像したり、作ったり食べたりする真似っこ遊びが出来る本書の読み聞かせは、私にとって、娘と一対一で遊べるとても楽しい時間です。
こんな言葉のやり取りだけで、子どもの成長すら感じられるので、私は絵本を通しておままごと出来る絵本が大好きだし、ぜひ、皆さんにもオススメしたい遊び方・絵本の楽しみ方です。
- 作品名:スープに なりました
- 著者名:彦坂有紀 もりといずみ 「彦坂木版工房」
- 出版社:講談社