パンやのろくちゃん
短いお話だから、用途に合わせて読み聞かせしてあげられます。隙間時間にもたっぷり時間ある時にもピッタリ!パン屋のろくちゃんの楽しい毎日を覗いてみましょう! 「おもしろすぎて、お腹がぱんぱん!」
☆3つのおすすめポイント
- 短いながらも内容の濃いお話が4話収録されています。パン屋のろくちゃんの毎日には、小さなトラブルや、大きな楽しみがいっぱいです。
- パン屋のろくちゃんは、優しい家族や商店街のみなさんに支えられながら、育てられながら、成長しています。ろくちゃんの住む町は、とても素晴らしい人ばかり。
- お子さんの今日の気分や集中力に合わせて、1話だけ読む事も、全話一気に読むことも出来ます。「おもしろすぎて、お腹パンパン!」になりますよ!
☆際立った特徴
書店街のパン屋のろくちゃんは幼稚園に通う可愛く元気な男の子。いつも元気で顔がパンパン。さあ、今日はどんな楽しい事が待っているのかな?
泣いたり笑ったり、驚いたり、困ったり、優しい家族や商店街のみんなに支えられ、育てられながら過ごしています。ろくちゃんの楽しい毎日を描いたストーリーが短いお話になって4話収録しています。1話1話が短編と言えない位の内容になっています。私は、ぞれぞれで絵本を4冊出してもいいんじゃないかな?と思えるくらいの内容の濃いストーリーだと思いました。そんなストーリーが4話なんて、とてもお得感!!
プラス4コマ漫画がおまけで表紙と裏表紙の内側に全部で5話描かれています。
☆あらすじ
1、おつかいにいくの巻
今晩のメニューの買い物のお手伝いをお母さんにお願いされたろくちゃん。カレーに入れる牛肉200gを買いに出かけました。が、急いで走って道路で転んでしまったろくちゃんは、何を買うのかすっかり忘れてしまいました。
八百屋の前を通った時に「なんのにくだったっけ?あれれ?にくにく・・・」と言ったら『はい!にんにくね!まいどあり!』
”にんにく”一つ買っちゃった。
「にんにくじゃないと思うけど。しょうがないか・・・」と言ったら『ショウガね!あるよ!』
”ショウガ”も一つ買っちゃった。
にんにくでもショウガでもないのにな・・・と涙と鼻水が出た。そしたらくしゃみが「はっはっはくしょん!」それを聞いた八百屋の大将。『白菜も欲しいの?あるよ!』
とうとう、白菜も買っちゃった・・・。
やっと肉屋に来たときにはカゴが重くなっていました。八百屋で使った分、お金が少しになっちゃって、仕方ないからひき肉を200g買って帰りました。
今夜のメニューはカレーじゃなくて餃子になった。大好きな餃子を30個も食べちゃって、ろくちゃんますます顔がパンパンパン!
2、しょうてんがいでおこられるの巻
ろくちゃんは、ボールをもって商店街に遊びに出ました。書店街の真ん中でボールをポーンと蹴ったら、ビューンと飛んで行っちゃって、タコみたいな顔をした魚屋の大将に大当たり。『こ、こらっ!なにすんだ!!」と、ゆでダコみたいに真っ赤になった大将に怒られたろくちゃん。胸がドキドキして、驚いて逃げちゃった。「ごめんなさーい!」
泣きながら歩いていると、お菓子屋のおばちゃんが『どうしたの?誰かに叱られちゃったの?』と聞いてきて、もっと泣いちゃって、『あらら』と、あられを一袋、ろくちゃんにくれました。
ボールとあられをもって歩いていたら、肉屋の大将が優しく声を掛けてくれて、またろくちゃん泣いちゃった。そしたら『もぉーいいから!ハイチーズだよ!』とチーズを一本ろくちゃんにくれました。その後も、花屋のお姉さんがみかんを1つ、カレー屋のおじさんがリンゴを1つくれました。
あられとチーズとみかんとりんごで両手がいっぱいになって、とうとうボールが持てなくなってコロコロコロ…
すると黒い長靴が目の前にデンと現れて、ごっつい手がボールをつかみました。そして、『ろくちゃん、後ろに乗りな!』と、魚屋の大将が自転車にろくちゃんを乗せて家まで送ってくれました。
涙でしぼんだろくちゃんの顔が、パンッと少し膨らみました。
3、おみせばんをするの巻
今日は、初めてのお店番です。おばあちゃんがレジ打ちをして、ろくちゃんが袋に入れる役目です。「楽しみだな。早くお客さん来ないかなぁ」
しかし、なかなかお客さんは来ません。ろくちゃんは考えました。
パン屋の帽子をかぶって、アンパン2つ手に持ったろくちゃんは、お店の前に出て「パンパンパカパカ!美味しいパンだよ!寄っといでー!」とお店の前で踊りました。
すると、カレー屋のおじさんがやってきて、聞きました。お父さんお母さんの一休みしている間に、お店番のお手伝いをしているろくちゃんの話を聞いた人が、みんなパンを買いに来てくれた。お店の中は人でぎゅうぎゅうで、レジもてんてこまい。奥からおじいちゃんも出てきて手伝った。
賑やかなお店の様子にお父さんもお母さんも起きてきました。『ろくちゃんが頑張ってくれたお陰で、パンは全部売れちゃったよ。』とおばあちゃん。
だけどろくちゃんは、悲しそう。どうしたのかな??
「おやつに食べたかったクリームパンまで無くなっちゃったー!うえーん!」
お父さんが優しく言いました。
『大丈夫!泣かなくっていいよ!すっかりパンも無くなったし、今日は特別早めに店じまいして、ろくにご褒美だ!好きな物をみんなで食べに出かけよう!』
ろくちゃんはすっかり泣き止むと、「何を食べようかな。」とろくちゃんは、期待で胸がフワッと膨らみました。
4、いぬをかいたいようの巻
今日は幼稚園のお友達の家に遊びに行きました。ゆきちゃんの家では犬を飼っています。ろくちゃんも犬を飼いたくなりました。帰ってから夕ご飯の時、ろくちゃんはお父さんとお母さんに言いました。しかし、ろくちゃん家はパン屋さん、衛生的に生き物は飼えないのです。
納得できなくて泣いたろくちゃんに、お父さんは『ダメと言ったらダメ!』と、お父さんに怒られた。
『そう怒らんでも、お前も子どもの時に同じようなことが・・・』おばあちゃんがお父さんを見て笑いました。
布団で泣いているろくちゃんに、おじいちゃんは、『うちはおじいちゃんの代からパン屋さんで、お父さんも昔は犬が飼いたいとろくちゃんと同じ歳の頃に泣いたことがあるんじゃよ。』
そうだったんだと驚いたろくちゃん。
『その時泣きながら寝たろくちゃんのお父さんは、次の日大きなおねしょをしてね。わはは。』
おねしょと聞いたろくちゃんはドキッとしました。『さあ、おねしょしたくなかったら、もう泣きやんで寝なさい。』
次の日の朝、ろくちゃんはおねしょはしていませんでした。良かった・・・と一息ついた時です。「いぬがいる!!」と驚いたろくちゃん。
なんと枕元に犬がいます。
よく見るとパンで出来た犬の顔でした。お父さんがろくちゃんの為に作ってくれた犬のパン。フワフワして温かい、美味しい匂いの犬でした。ろくちゃんはゆきちゃんに、そのパンを見せに行きました。
パン屋のろくちゃん家のパンの犬。ろくちゃんと一緒でフワフワでパンパン!
☆書店員の感想
1話目の「おつかいにいくの巻」では、ろくちゃんが転んじゃって、記憶もどこかに飛んで行っちゃって、買う物を忘れちゃう所から始まります。何だったかぁ?肉だったかなぁ?ニクニクニク…と口に出しちゃって、八百屋の大将が聞き間違えてニンニクを用意し、「しょうがないか・・・」と言った言葉も聞き間違えてショウガを用意して・・・。挙句の果てに「はくしょーん!」とくしゃみをしたのを聞き間違えて白菜を用意しちゃう・・という。
ろくちゃんは、うすうす「なんか違うんだよな・・・」と気づいているのですが、せっかく準備してくれたから・・・と、本当の事は言い出せずに買ってしまいました。ろくちゃんとってもお人よしな性格ですね。
2話目の「しょうてんがいでおこられるの巻」では、魚屋の大将にボールを当ててしまって怒られてろくちゃんは逃げちゃいます。ちゃんと誤まる事が出来たら良かったのに、怖さに負けて逃げちゃったんですね。でも、心は正直です。ろくちゃんは、悪いことをしたのに謝れなかった事を後悔しながら歩いています。でも、それじゃいけない・・・でも戻って魚屋さんの顔を見るのが怖い・・・。そんなろくちゃん商店街のみんなに慰められます。そして、魚屋の大将が迎えに着て、ボールの件はもう言わず、家まで送ってくれました。ろくちゃんの涙でしぼんだ顔を見て、ろくちゃんがいっぱい反省した事が分かったからなのでしょうね。優しい魚屋さんです。そして、商店街のみんなに愛され見守られている事がよく伝わるストーリーです。
3話目の「おみせばんをするの巻」では、ろくちゃんのナイスアイデアが光ります!そして、頑張ってるろくちゃんと、パン屋の大将(ろくちゃんのお父さん・お母さん)の為だ!と商店街のお客さんたちがパン屋さんに来てパンを買ってくれました。賑わうお店って何よりもお店側にしたら嬉しい事だし、疲れが吹き飛ぶような事です。
そして、パンが全て売れて大喜び・・・な、はずが。ろくちゃんは悲しんでいます。おやつのパンが売れちゃったってね。素直でかわいいろくちゃんです。でも大丈夫!いっぱい頑張ったろくちゃんに、今からろくちゃんの好きな物をみんなで食べに行くご褒美が待っています。何を食べにいくのかな? ろくちゃんいってらっしゃい!
4話目の「いぬをかいたいようの巻」です。食べ物屋さんで動物を飼うのは衛生上ムリなことのようです。しかし、ろくちゃんはまだ小さいから、あまり理解できていないようでした。シクシク布団の中で泣くろくちゃんを見て、おじいちゃんは話をしました。お父さんも昔犬を欲しがって泣いたことを。そしておねしょしたことを。
ろくちゃんはおねしょしないようにと驚いたのもあるでしょうが、お父さんが昔自分と同じように犬を欲しがって我慢した事を聞いて、僕とお父さんが一緒の気持ちだった事が嬉しかったのではないかと思いました。「僕だって、我慢できるよ!」そんな思いで涙をぬぐって眠ったのではないでしょうか。
朝方、我慢したろくちゃんに、お父さんから素敵なプレゼントが枕元に置いてありました。
パンの犬です。ふっくらで温かい焼きたての犬のパン。ろくちゃんだけの特別メニュー♩ろくちゃんの嬉しい気持ちが最後の文章に現れています。
【パン屋のろくちゃん家のパンの犬。ろくちゃんと一緒で顔がこんがりパンパンパン!】