でんしゃにのって(うららちゃんののりものえほん 1)

ユーチューブ動画で保育士書店員が詳しく解説しています

なかなかお出かけ出来ない日の読み聞かせにピッタリ!電車に乗って一緒に旅をするような気分を味わえます。乗り物好きにもオススメです。

☆3つのおすすめポイント

  1. うららちゃんを乗せた電車が走っていきます。駅の名前が特徴的!目的にそった名前になっています。
  2. 同じベンチ席に、次々お客さんが座っていきます。満員になってしまった時には助け合い。誰に対しても親切にする事、思いやりを持つ事の大切さを感じます。
  3. 「ガタゴトーガタゴトー」と鳴る電車の音や、文章の雰囲気、口に出して読んだ時の音の響きが心地がいいです。ゆっくりとのんびりと走っていく電車に自分も乗れているような気分を味わう事が出来ます。
でんしゃにのって 表紙

☆際立った特徴

1997年に発行されて20年以上、子ども達に愛され続けている作品です。26㎝×23㎝ 36ページ。

ほとんど電車の中だけでお話が展開していきます。大きめの絵本なので、乗車する動物達が目の前にいるかのような臨場感があります。

動物達が「はい、おじゃましますよ」と言って電車に乗り込んでくるのは、作者のとよたかずひこさんが子どもの頃に見た光景がもとになっているとか。うららちゃんのおばあちゃんが待つ「ここだ駅」は、宮城県の小牛田(こごた)駅が由来だそうですよ。(制作エピソード インタビュー記事はこちら

※お出かけ用に14cm×13㎝の小さなサイズ「おでかけえほん でんしゃにのって」もあります。お出かけ時に持ち運びしやすいです。

うららちゃんが降りた「ここだ駅」。その次の駅は「おばけだ」駅です。裏表紙の内側に、おばけだ駅で待つおばけのお客さんが描かれていてストーリーは終わるのですが・・・。本書についている帯に実は電車に乗ったうららちゃんとおばけ達の姿が描かれています。

”帰りの電車もワクワクドキドキ”と書かれているので、どうやらうららちゃんが家に帰る様子なんですね。

参考文献】KUMONがうた・読み聞かせを応援【ミーテ】「イチオシ絵本情報 でんしゃにのって」

でんしゃにのって 帯表
でんしゃにのって 表帯

☆あらすじ

うららちゃんは、電車に乗っておばあちゃんの所へ一人でお出かけします。

おばあちゃんへのお土産と、手には切符をしっかり握って。

降りたい駅は「ここだ」駅です。

ガタゴト ガタゴト。電車が走ります・・・。

電車はわにだ駅で停車しました。すると、ワニのお客さん達がゾロゾロと電車に入って来ました。

1人のワニさんが、うららちゃんと同じベンチ席に座りました。

ガタゴト ガタゴト。電車が走ります・・・。

電車はくまだ駅で停車しました。すると、くまのお客さん達がゾロゾロと電車に入って来ました。

1人のくまさんが、うららちゃんとワニさんが座っているべンチ席に座りました。

ガタゴト ガタゴト。電車が走ります・・・。

電車はぞうだ駅で停車しました。すると、ぞうのお客さん達がゾロゾロと電車に入って来ました。

1人のぞうさんが、うららちゃんとワニさんとくまさんが座っているベンチ席に座りました。

ガタゴト ガタゴト。電車が走ります・・・。

と、言いました。

電車はうさぎだ駅で停車しました。すると、うさぎのお客さんが電車に入って来ました。

あれ、満席だわ。

するとぞうさんが、お膝の椅子にうさぎさんを座らせてあげました。

ガタゴト ガタゴト。電車が走ります・・・。

電車はへびだ駅で停車しました。すると、へびのお客さんがニョロニョロと電車に入って来ました。

頭の上を失礼します。

と、荷物棚へ登りました。

ガタゴト ガタゴト。電車が走ります・・・。お客さんはみな、ウトウトしています。

次は、ここだー ここだー

アナウンスに気がつかず、眠ったままです。

電車がここだ駅に停車しました。すると、みんなの目が一気に覚めて、

おじょうちゃん。ここだえきだよ!と教えてくれました。

慌てて降りようとしたうららちゃん。切符を落としたことに気がついていません。

うさぎさんが拾って渡しました。

ありがとう。

うららちゃんは無事に電車から降りることが出来ました。おばあちゃんがうららちゃんをホームで待っていました。

良かったね。と、電車の中で見守るお客さんは、ニコニコ。

まもなく電車が発車しまーす!次は、おばけだーおばけだー。

ガタゴト ガタゴト。電車が走ります・・・。

でんしゃにのって 帯裏
でんしゃにのって 帯裏

☆書店員の感想

うららちゃんを乗せた電車が走っていきます。駅の名前が特徴的!目的にそった名前になっています。同じベンチ席に、次々お客さんが座っていきます。満員になってしまった時には助け合い。誰に対しても親切にする事、思いやりを持つ事の大切さを感じます。

うららちゃんが最初から電車の乗っていて、ベンチ席に座っている所からお話がスタートします。アナウンスが「次はわにだーわにだー」と流れました。私は変わった名前の駅だなと思ったのですが、その”わにだ駅”で乗車してきたのはワンピースや制服を着たワニさん達でした。次に停車した駅は”くまだ駅”です。乗車してきたのはサラリーマンや買い物へ行く姿のクマさん達でした。そうです。駅の名前と乗車するお客さんに関連がある事が、この物語のキーポイント!

読者はアナウンスを聞きながら、「次はゾウさんが乗るのかな?」「次は何駅かな?誰が乗ってくるのかな?」と楽しみながら物語を読み進めることが出来ます。

うららちゃんが降りる「ここだ駅」には、一体どんな意味があるのかな?親子で考えを話し合いたいですね。

そして、最初はうららちゃんしか座っていなかったベンチ席に、1人また1人とお客さんが座っていき、満員になります。そんな時に横にずれてあげる姿があったり、膝の上に乗せたり、「みんなの頭上で失礼します」と空いている荷物棚にヘビさんが登っても、怒ったりしません。

電車に乗ったら座りたい気持ちはみんな一緒。だから、出来るだけみんなが座れるようにと互いに思いやり、自然に親切にする心が伝わってきました。

「ここだ駅」についた時、うららちゃんは気がついていないのですが、周りのみんなが「ここだよ!」と教えてくれました。しかし、急いで降りようとして落とした切符に気づいていません。教えてくれたみんなにお礼も言わずに降りようとしています。

読者はお礼言わなくていいのかな・・・?と心配になる展開です。

しかし、落とした切符に気がついたうさぎさんが、うららちゃんに手渡ししてくれました。そこでようやくみんなに「ありがとう!」と言うことが出来ました。

お行儀よく電車に乗っていたうららちゃん。ちゃんと見えてもまだまだ幼さの残る女の子。親切にしてもらったお礼の言葉言うのを忘れかけたけど、お礼が出来て良かったね。安心したラストシーンでいた。

うららちゃんを笑顔で見送る乗客達。おばあちゃんに会えて嬉しそうに駆け出すうららちゃん。とっても素敵な姿だなと思いました。

「ガタゴトーガタゴトー」と鳴る電車の音や、文章の雰囲気、口に出して読んだ時の音の響きが心地がいいです。ゆっくりとのんびりと走っていく電車に自分も乗れているような気分を味わう事が出来ます。

まるで自分がこの電車に乗っていて、反対側に座るうららちゃん達を見ているかのようなアングルで描かれています。ガタゴトーガタゴトーと電車が走る音が心地よく聞こえてきます。駅について乗客が乗ってまた電車が走り出すという繰り返しのストーリーの中に、ほんのり小さな変化を加えています。読者はゆっくり、のんびり、電車の旅気分を味わう事が出来るのではないかと思います。

「どこまでいく?」「何駅があると思う?」「どんなお客さんが乗るんだろう?」

本書を読んだ後には、親子で自由に想像の線路を伸ばしましょう!そしてのんびりと電車の旅に出かけませんか?

でんしゃにのって 裏表紙
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。