おばけでんしゃ
電車好きにも、おばけ好きにもピッタリ!おばけの世界に出かけましょう!
☆3つのおすすめポイント
- おばけ界と人間界の境界は、なんと美しい〇〇でした。
- おばけ1人ずつのストーリーが見えてくる。
- 人間界で降車する時には、おばけたちは変身する。どんな姿かな?
☆あらすじ
おばけの世界のおばけの電車。線路を走るのは龍のようなおばけ電車。口が大きく裂けて、ボディには稲妻が走っています。
でも、よく見ると実は車体の色が、車両ごとにカラフルに色分けされています。しかもキュートな目。しっぽもクルンと巻いて、可愛らしい雰囲気も持ち合わせています。
怖いのか可愛いのか。不思議な世界に、この「おばけ電車」が案内してくれます。
”ようかい駅”のホームで乗り込む乗客は、のっぺらぼうにガイコツ伯爵、からかさおばけ、ろくろ首など、世にも奇妙なおばけたち。
そこには、見送る人・お土産を買う人・電車と競争する準備をしている馬人!?様々な妖怪たちがそれぞれの出発までの時間を楽しんでいます。
おばけ電車が発車です。おばけの国の電車が進む先には、見たことのない妖怪たちの世界が広がります。
次の駅は”くらやみえき”。足元には要注意です!!
乗り込む妖怪に、下車する妖怪家族。電車と競争した馬人は汗を拭きながら屋台でまんじゅうを購入し、エネルギーチャージ!?
次の駅は”さむざむ駅”。雪女には要注意!!
ろくろ首は、きっと寒がりなんでしょう。電車の中から首を伸ばし、下車しなくてもホームのアイス売りの所まで。馬人の競争は一体どうなったのでしょう!?
次の目的地は”人間界”
さぁ、おばけ界と人間界の境目にあるものとは・・・!!!そして、おばけは人間界ではおばけとバレるので、変身します。どんな姿に変身するのでしょうか!!!
おばけ1人1人に注目して、ページを行ったり着たりして探してみてください。
☆際立った特徴
おばけ・妖怪をこれでもかー!!!と大集合させている本書です。
1ページずつの文章は短いけれど、1人1人にしっかりストーリーがあります。1人に注目して乗車時の様子と下車時の様子を観察してみてください。
変身している場合もあるので、洋服や持ち物まで注目です!
しかも、どこで降りたのかも分かりません。時間をかけて、ページを行ったり来たりして探して見てください。
クイズです。ようかい駅で乗り込んだ、頭が電球の家族はどこで降りたでしょう。
メドゥーサ(頭が蛇の髪の女性)は、人間界でどんな姿になったのでしょう。
この問題が分かったら、次は、絵本の隅々まで観察したくなること間違いなし・・・
「この妖怪はいつの間に乗り込んでいたの?浦島太郎がここにいるってことは、桃太郎もいるかな?」など、見れば見るほど、おばけの世界にどっぷりはまっていきます。
☆書店員の感想
本屋さんの書棚で、とっても目立って見えた、この絵本。見つけたとたん、目を離せなくなってしまいました。
のってる人はおばけ?ようかい??電車の後ろに大波だー‼そもそも、こんなラッピング電車があったら乗ってみたい!と一瞬で、あれこれ妄想が膨らみました。そもそも電車もおばけなのかな???
乗り込む乗客と見送る家族。人間同様一人ずつに注目すると、それぞれのストーリーが見えてきます。
私は本書を購入して5年ほどになりますが、まだまだ見飽きません。しばらく間を置き、再び開くと新たに発見があったりして。
我が家には、電車好きの長男と、妖怪好きの次男がいますので、ちょうど2人に好みが合っていました。
兄弟2人で、本の読み方が違います。
長男は電車の走る絵が好きです。「がたたん がたたん」と電車音を、ずっと真似していました。
次男は妖怪好きなので、「なんで雪女が、赤鬼に冷気を吹きかけているのかな??】などと考えて、自分なりの解釈を話してくれます。
それに対して私も「ここのページでこうなっているから、こうなんじゃない?」と持論を展開してみたり。
よく観察し、発見し、さらに想像を膨らませて、意見を出し合う、素晴らしい絵本タイムになりました。
- 作品名:おばけでんしゃ
- 著者名:内田麟太郎・文 西村繁男・絵
- 出版社:童心社