しろい しろい ころわん

しろい しろい ころわん 表紙

寒い季節だけど、雪って不思議!外でいっぱい遊びたくなります。寒くて外に出たくないなと思っている子にピッタリ!元気に遊んでいる子にもピッタリ!

☆3つのおすすめポイント

  1. 初めて雪を見たころわんは、最初何だか分からず、タンポポの綿毛と勘違いします。でも、今まで経験したことのない雪の感触に、驚き、そして何だか不思議な気持ちです。
  2. 静かに降り続いた雪は、朝になると、一面を銀世界にしました。どこまで雪が続いているんだろう?ところわんは出掛けます。そして、仲良しのちょろわんと一緒に雪の世界を堪能するのでした。
  3. 二人そろってくしゃみをすると、「あっ!朝ごはん食べていなかった!」と急に気が付きます。そして急いでお家に戻り、お母さんに今の楽しい遊びを自慢するのでした。知っている場所も雪が降れば別世界。小さな冒険に行ってきたかのような気持ちだったのかな?

☆あらすじ

冬のある日の夕方です。ころわんとお母さんがお家の前で過ごしていると、空から白くて細かい物が降ってきました。ふわり ふわり・・・。

「わん。たんぽぽの綿毛かな?これなあに?」

お母さんは「これはゆ、き。初雪よ」ところわんに教えました。雪は、とっても冷たくて、鼻の上につくとすぐに溶けて消えてしまいます。

その晩外は、ゆき。ゆき。ゆき。静かに静かに外は雪が降り続きました。

朝になって目を覚ましたころわんは、外を見て驚きました。辺り一面雪で真っ白です。

「お母さん、これぜーんぶ雪なのね!どこまで雪か見に行ってきまーす!!」

とことこ さくさく。歩いていくと、ポストがありました。ポストの頭には雪が積もっています。「僕もかぶってみたいなぁ」

とことこ さくさく。「やあ!真っ白くんだ。おはよう!」それは朝早く誰かが作った雪だるまでした。「よおし、僕も真っ白くんになるぞ!」ころわんは雪の上を転がります。ころころころころ ごろん ごろん。楽しくてたまりません。

そこへ、おともだちのちょろわんがやってきました。「やぁちょろわん、僕白い?」嬉しそうにころわんが聞くと、『うん、白い白い!』

今度は二人で雪の中で遊びました。そして、雪だるまと並んで座りました。雪だるまと同じように二人は全身真っ白です。「くふふ・・・ゆきゆき、もっと降れ!」

その時です。「はっくしょん!」と同時にくしゃみがでて、その弾みで全身の雪が飛んでいきました。そして、我に返ったころわんは、朝ごはんをまだ食べていなかった事に気が付きます。そして、走ってお家に戻りました。「お母さん、ぼく、真っ白になったんだよ!お腹すいたー!」

そして、朝ごはんを食べたころわんは、さらに元気で、また遊びに出掛けました。

☆際立った特徴

人気の「ころわん」シリーズ、最後の作品です。

月刊絵本でのシリーズ誕生から数えると36年にわたり愛されてきました。そして、27冊目の本書が最後の絵本となりました。

初めて見る雪におどろいて、はしゃぐころわん。子ども達と重なる部分もあるし。大人も、自分が幼い頃雪が降れば嬉しくて、寒さなんて気にせず遊んだ楽しかった日を思い出すことでしょう。

黒井健さんの繊細で温かみのある絵は、日本の美しい四季が表現されています。季節も味わいたくなるころわんシリーズの中で、本書は雪が降る寒くて楽しい一日を描いています。

☆書店員の感想

初めて雪を見たころわんは、最初何だか分からず、タンポポの綿毛と勘違いします。でも、今まで経験したことのない雪の感触に、驚き、そして何だか不思議な気持ちです。

ころわんが初めて”雪”に出会った冬のある日、それはまるでタンポポの綿毛のようで、ふわりふわりと空から降ってきました。白くって細かくて、ふわふわして、綿毛と違って触るととても冷たい雪。そして、すぐに消えてします。ころわんはきっと不思議に思った事でしょう。ころわんはお母さんに聞きました。すると、お母さんは「これは、ゆ・き。今夜はつもるかしら・・・」と答えました。初めて聞いた”ゆき”という言葉と、冷たくてすぐに溶ける雪を体感したころわんは、この時はまだ、不思議な気分だったのではないでしょうか。お母さんの「今夜はつもるかしら・・・」という心配した気持ちに気が付いていません。

大人はみんな雪が積もることを嫌がります。寒いし、積もったら大変だと知っているからです。でも、子どもはきっと違った感情を持っています・・・。ころわんの場合はどうでしょうか?その夜は、温かいお母さんに包まれながら、ぐっすり眠ったころわんです。

静かに降り続いた雪は、朝になると、一面を銀世界にしました。どこまで雪が続いているんだろう?ところわんは出掛けます。そして、仲良しのちょろわんと一緒に雪の世界を堪能するのでした。

目が覚めたころわんは、外を見てビックリしました。いつもは地面が土だったりコンクリートですが、今日は一面が真っ白い雪のじゅうたんです。この雪はどこまで続いているのかな?好奇心旺盛なころわんは、一人でお散歩に出掛けました。最初に見かけたのはポストです。白い景色の中に赤色が映えています。そして、ポストにも雪が積もっていてまるで白い帽子をかぶっているみたいです。そして、次に出会ったのは、誰かが作った雪だるま。雪だるまを初めて見たころわんは、真っ白くんと名前をつけました。そして、自分も真っ白くんみたいに真っ白になってみたいな!と思ったのです。そこへやって来たお友達のちょろわんと、体中真っ白にして雪遊びを楽しみます。

寒さ何てほとんど感じていないようですね。とにかく嬉しいし、真っ白になるのが楽しい様子です。真っ白い雪に体全体が覆われた二人は、まるで”雪だるま犬”です。(表紙の二人)

二人そろって急にくしゃみが出ました。そしてころわんは急いでお家に戻り、お母さんに今の楽しい遊びを自慢するのでした。知っている場所も雪が降れば別世界。小さな冒険に行ってきたかのような気持ちだったのかな?

急に二人そろってくしゃみ!それと同時にくしゃみの勢いで体中を覆っていた雪が飛び散りました。そして、「はっ!」と朝ごはんをまだ食べていなかったと気が付くころわんです。

急いでお母さんの待つお家へ戻ると、「僕、真っ白になったんだよ!」と楽しかった雪遊びの話をするのでした。それはまるで冒険にでも行ってきたかのようです。

話が脱線しますが、私は雪深い町に生まれて育ちました。雪が降れば、雪の壁が出来るような年もありました。毎年雪が降るのが当たり前の環境でも、初雪はやっぱり嬉しくて、積もっていく雪が大好きで、よくスキーウエアを着て庭で遊びました。

降ってくる雪がどこからくるのかと見上げただけで、空に吸い込まれていきそうになります。(本書は、雪が静かに降り続ける描写がとにかく素晴らしいです。雪がころわんのお家を、町をゆっくりと包み込んでいくかのよう。このページのアングルは空から見下ろしていますが、おそらくこの時に空を見上げれば、きっと吸い込まれそうな空だと思います。ころわんたちは寝ているから、気が付いていませんけどね。)

積もった雪の景色は、自分の知っている町ではなく、別世界に迷い込んだかのように感じる事さえありました。そんな中、雪って冷たいのに、寒さよりも楽しさが優先して、寒さはそっちのけで外で遊んでいた事を思い出します。(今では寒すぎて・・・。子どもの頃とは違いますね・・・。)

本書は、そんな不思議で、でも心がウキウキして遊ばずにはいられない雪の日を、子どもの目線で、上手に描いていると思いました。

雪を見た事のない子には、この景色の美しさや感動を、見た事ある子にも、自然ところわんと自分を重ねて、まるで一緒に遊んでいるかのように雪を楽しめるストーリーになっていると思います。

しろい しろい ころわん 裏表紙
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。