しろくまきょうだいのケーキやさん

あらすじと書店員の感想がYouTubeで見られます

☆3つのおすすめポイント

  1. 今日はケーキ屋さんを開く日です。兄弟力を合わせてお家で卵たっぷりのスポンジケーキをたくさん作ります。【ポール&ノエルCAKE】が広場でオープンします!
  2. お客さん1人1人に合わせてポールがケーキを作ります。着ている洋服・話す言葉・特徴をよく捉えて、その人だけの特別ケーキです。行列のできるケーキ屋さんです。
  3. せっかく並んだのに弟ノエルのケーキが品切れで作れません。大泣きするノエル。兄ポールが考えたアイデアとは。兄弟愛が詰まったストーリー★

☆あらすじ

今日はケーキを焼くことにした、しろくまの兄のポールと弟のノエル。美味しいケーキを作るぞ!2人は朝から卵たっぷりのフワフワのスポンジケーキを沢山作ります。焼き終わると広場に行きマーケットを開きます。ノエルの呼び込みでどんどんお客さんが集まってきました。

最初のお客は白い体に赤のポンチョを着たウサギさん。出来上がったのは2段重ねのスポンジに生クリームとイチゴをのせて、ウサギの耳の形のプレートが乗っています。「きゃあ!私みたいにかわいい!」

次はミント色のポーチを肩に掛けたキツネさん。ケーキにはオレンジとミントをトッピング。大きくカットしたオレンジにはクリームを乗せて完成。「僕みたいに爽やかだね!」

黒いベレー帽のワニさんにはメロンのヘタを帽子に見立てて飾ったゼリーのケーキ・黄色ハットのぞうさんにはごまクリームとバナナを使ってバナナの皮をハットに見立てたケーキ。どれもみんな大満足!

ノエルもなんだかポールが作ったケーキが食べたくなってきました。お客さんの後ろに並んで順番を待ちますが・・・なんとスポンジケーキが売り切れちゃった。どうしよう。「僕のケーキ〜」と大声で泣くノエルに、ポールはアイデアをしぼって、残りの材料で素敵なポールだけのケーキを作ってあげました。それは生クリームいっぱいフルーツいっぱいのノエルの顔をデコレーションした特別ケーキ★ノエルは大喜びです♬

☆際立った特徴

レモン色の背景に主人公のしろくまの兄弟が描かれます。

全体的に白の混じった色で、パステルカラーを多く使っています。まるで、生クリームやメレンゲに色を混ぜたような色です。優しく美しく人物と背景を描き、ふんわりとした色合いのケーキ達をさらに美味しそうに見せます。

お兄ちゃんのポールは料理が大の得意。弟のノエルはお兄ちゃんが今日オープンさせるケーキ屋さんをお手伝いします。ポールの料理の腕はパティシエのように一流!そしてノエルは、お客さんとのコミュニケーション力がピカイチ!お客さんを楽しませながら、お客さんピッタリのケーキを聞いてから作り始めるケーキ屋さん。よーくお客さんの服装や雰囲気を

感じ取ってから作り始めます。ノエルがお客さんとコミニュケーションをとっている間の様子をポールは観察しているのかもしれまえんね。niceな役割をして頑張ったノエルのご褒美のケーキがない!!エンエンと大泣きするノエルにポールが作ったケーキは、なんとノエルの顔を描いた、ノエルだけの特別ケーキ★他のお客さんのケーキのいいとこ取りです!お兄ちゃんの愛情が伝わるエンディングに、心がホッと優しくなれる絵本です。

しろくまきょうだいのケーキやさん 表紙

☆もっと詳しくストーリーを深堀り

しろくまのお兄ちゃんポールが朝からケーキ作りの準備をしています。エメラルドグリーンのメガネと首に同じ色のスカーフを巻いてカッコイイお兄ちゃんのポール。前髪がくるりんと渦を巻いているのがなんだかとってもチャーミングです。

卵とバナナとイチゴと、牛乳にお砂糖とバター、それからそれから・・・と、まずは材料をキッチンに広げています。そこに、「おはよー」弟のノエルが目をこすりながら、自分にそっくりのしろくまにオレンジのスカーフを首に巻いたお人形を手に持ってキッチンにやってきました。ノエルの前髪がツンッと上に向かって跳ねています。今日も元気いっぱいなのかな。

スポンジケーキを作りますよ。卵を割って、小麦粉と合わせて混ぜ合わせたら、型に流し込んでオーブンで焼きます。こんがりきつね色に焼き上がれば、かんせーい!!フワッフワで甘い匂いがキッチン中に広がります。スポンジケーキを何個も作ったら、広場へ向かいました。

広い公園は、今日は青空マーケットが開かれています。ポールとノエルはテントを張り、お店の看板を飾ると、ケーキ屋さんをオープンします。お店の名前は【ポール&ノエルCAKE】おしゃれな看板と、ノエルの元気な呼び込みで、お客さんが沢山並び始めましたよ。

「美味しいケーキはいかが?卵たっぷり とろける美味しさだよ! 僕たちしろくま兄弟のケーキだよ!」しろくま兄弟の作って持ってきたスポンジケーキが、お店の台に重なって置いてあります。広場中にあまーい匂いがふわーんと広がっていきます。

最初に並んでのは赤いポンチョを着たウサギさん。「私にピッタリのケーキを作ってちょうだい」『かしこまりました!今、お作りします。』2段のスポンジにたっぷりの生クリームをかけて、イチゴとパステルカラーのシュガーボール、真ん中には、ピンクのうさ耳の形のトッピングまで!「きゃあ!私みたいにかわいい!」ウサギさん大満足です。

お次はオレンジイオのバンダナを首に巻いたミントカラーのポシェットを肩に掛けたおしゃれなキツネさん。【僕にピッタリのケーキをちょうだい!」『かしこまりました!』クリームチーズに扇形のオレンジと四角いミントとミント色のシュガーチップのトッピング。大きく1つだけオレンジを立てて先にはクリームをたっぷり掛けたら、きつねさんのしっぽをイメージしたケーキの出来上がり!「うん、僕みたいに爽やかだね!」

黒いハンドバッグに黒い帽子をかぶったマダムなワニさん。首元には真ん中に大きなエメラルドの宝石が光る真珠のネックレスをつけています。「わたくしにもケーキをちょうだい!」『かしこまりました、今お作りします。』出来上がったのはスポンジケーキの上に大きなドーナツ型の黄緑色のゼリー、中にはミントとメロンが入ってキラキラと反射しています。周りはツンッ!と立った生クリームとメロンとマスカットをぐるっと一周してトッピング!メロンのヘタをベレー帽に見立てて一番上に乗せて出来上がり!「うふふ、わたくしみたいにキラキラだこと」

黄色いハットをかぶった黄色い蝶ネクタイの紳士風のゾウさん。「私にピッタリのケーキをくれんかね」待ってる間はノエルを首に乗せて一緒に遊んで待っています。小さいのにお手伝い偉いねって褒められているのかな。出来上がったのはスポンジの間にギッシリとバナナとカスタードクリームを挟んで段になった土台に、ごまの効いた薄いグレーのごまクリームをドーム状になるように塗って、さらに上からトロトロの濃いグレーのゴマクリームとチョコレートをたっぷり上からかけ、バナナの皮をてっぺんに乗せたら、まるでゾウさんのハットみたい!ケーキの周りにチョコレートの板を貼り付けたらなんだかビシッと決まった大人な雰囲気!「うむ、わしみたいにかっこいいな」

いいなぁ、僕もポールのケーキ食べたい・・・『お客さんが先だぞ!食べたいならお客さんの後ろに並ばなきゃ!』そこでノエルは一番うしろに並んで待ちました。只今12番目。

まって、まって・・・ようやく僕の番。と思ったら、ケーキが売り切れ!!

「僕のケーキ〜!!!(大泣き)」11番目のお客さんが全部買っていってしまったそうです。「僕のケーキ〜!!!」泣き止まないノエル。ポールは考えます。仕方がないな・・・。

余っているケーキの材料と、フルーツ、チョコレート、生クリームを集めて・・・顔を書いて・・・。出来上がり!! ”しろくまふう、いろいろフルーツ もりもり生クリーム”です!!オレンジ色のお皿に生クリームをたっぷり乗せて、周りはイチゴにオレンジ・バナナ・マスカットにメロン。「わー僕にそっくり!!」ノエルは大満足。やったー!!とニッコリ笑顔です。ポールが作ってくれた、僕だけのケーキ。

「おいしい!ポールまた作ってね」『もう泣かないって約束できたらな!』可愛い約束が出来ましたね。

☆書店員の感想

本書を読んでいると色んな気付きに出会いました。まずはポールの作るケーキが、お客さんの特徴をしっかりとらえて、表現していること。美味しそうなだけではありません。おそらく味もちゃんと計算されています。私が食べたいのは、ゾウさんのケーキ。ごまが効いたクリームがバナナとカスタードクリームのサンドされたスポンジの土台にたっぷり乗っています。ゾウさんの体の色に似せたごまクリームを持ってきたか!と驚きました。私が料理評論家だったら、特典がグーンと上がるポイントです。(評論家ではないのですが)

私だったら、子ども達だったら、どんなケーキを作ってくれるのかな。どんな特徴を表現してくれるのかな。そして、ノエルがお客さんとコミニュケーションを取ることで、ポールのインスピレーションが膨らんでいくのだろうと思いました。ポールにとって大事な相棒のノエルなのでしょね。

そして兄弟愛がたっぷり表現されています。ポールはクールでノエルにはお兄ちゃん風をふかせているようですが、最後はノエルの可愛いケーキを作ってあげます。ノエルの喜びがすごく伝わってきます。読んだ後は、ほっこりと優しい気持ちになりました。

  1. 作品名:しろくまきょうだいのケーキやさん
  2. 著者名:絵 serico    文 たきのみわこ
  3. 出版社:白泉社
しろくまきょうだいのケーキやさん 裏表紙
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。