ちいさなともだち

ちいさなともだち 表紙

女の子の冒険の旅です。身近な場所も体が小さくなったら全く違った世界に見えます。昆虫好き・冒険好きな子にピッタリ!小さな彼らとお友達になれますよ!

☆3つのおすすめポイント

  1. お庭で、カエル・トカゲ・ヒヨドリ・ちょうちょに誘われて、瓶の中の粉をなめたみちこ。体がなんと小さくなってしまいました。小さくなったみちこは、彼らの庭に出掛けます。見慣れた道路や草むらを、小さい彼らの目線で歩くと、そこには危険もあるし、美しく素敵な物がありました。
  2. ずっと前から遊びたいと思っていたみちこ。実は小さな生き物たちも同じことを思っていました。同じ気持ちだったんだね!とわかると、気持ちが通じ合い、もっと仲良くなりました。
  3. そろそろ帰らなくてはいけません。戻る前に・・・みちこは良い事を思いつきます!そして元の庭に戻る前にと、最後にみんなでクッキーパーティを開きました。そして大きく戻ったみちこは、小さなお友達と素敵な約束をします。

☆際立った特徴

黄色い粉の入った瓶。みちこが中身の粉をなめると、なんと3センチ位に小さくなっちゃった。『小さくなるでしょう』に当選しちゃったのです。カエル・トカゲ・ヒヨドリ・ちょうちょと”小さな世界”を楽しみます。実はみちこは、前々から彼らと何度も遊びたいと思っていました。そして彼らも、前からみちこと遊びたいと思っていました。

ただ、みちこの体が大きくて、遊べなかったのです。そんなお互いの望みがなんと叶った1日です。小さな世界をたっぷりと楽しむ、旅が始まります・・・♩

☆あらすじ

お皿の上にクッキーが一枚残っています。

みちこが庭で食べようとすると、向こうから黄色のちょうちょが飛んできて、手に止まりまり、そしてみちこの足元に降りていきました。そこにはカエルとトカゲとヒヨドリがいて、みちこを見ています。小さな瓶を指さしています。中には黄色い粉が入っていて甘い花の香りがします。蓋を開けてちょっとなめると、みんなが”うんうん”とうなずき、少し甘い黄色い粉をみちこは全部なめてしまいました。

すると・・・。みちこは3センチくらいに小さくなってしまいました。

あなたは僕たちの『ちいさくなるでしょう』に当選しました!と、今まで聞こえなかった声が聞こえました。

さあ、僕たちの庭に行こうぜ!カエルがジャンプしました。

みんなと一緒に車が通る道の端を歩き始めました。「みちこちゃんは車に気をつけて!」トカゲが優しく言いました。コンクリートの塀の下の穴をくぐると、そこは家も何もない広い庭でした。小さくなったみちこよりも大きなタンポポの花、大きなクローバーの葉っぱの林、なんて素敵なんでしょう。

ヒヨドリの背中にみちこが乗ると、空に飛び立ちました。

青い青い空。ヒヨドリはゆっくり大きく空を飛び、それから一回りすると柳の木にみちこを降ろしました。

木の下でカエルとトカゲが待っています。ふわーんって風にのるのよと、ちょうちょが励まします。みちこは柔らかい柳の枝を持ち、ひらひら ふわーんと下に降りてきました。そこにはカエル・トカゲ・ヒヨドリ・ちょうちょのみんなが待っていました。

今日は、小さくなれてみんなと遊べて良かったなと思ったみちこでした。そして、沢山遊んだ後に、みんなとお昼寝です。そして、眠りから覚めたみちこは『そろそろ帰ろうかな』と言いました。

みちこは思いつきました。そして、大事に瓶を持ってみんなと一緒に元の家の庭に戻ってきました。そして、みんなでクッキーパーティです。小さいままならみんなでたっぷり食べられます。ありんこもてんとう虫も寄ってきました。そして、クッキーを食べ終わると、みちこは蜜をなめました。あっという間に大きくなり、元に戻りました。

ちいさなともだち 裏表紙

☆書店員の感想

お庭で、カエル・トカゲ・ヒヨドリ・ちょうちょに誘われて、瓶の中の粉をなめたみちこ。体がなんと小さくなってしまいました。小さくなったみちこは、彼らの庭に出掛けます。見慣れた道路や草むらを、小さい彼らの目線で歩くと、そこには危険もあるし、美しく素敵な物がありました。

残ったクッキーを1枚持って縁側に出て靴を履くみちこです。お庭の椅子に座ると、どこからともなく黄色いちょうちょがやってきました。そして、何かを誘うかのようにみちこの手に止まり、足元に降りていきました。そこにはカエルやトカゲ・ヒヨドリがいて、みちこをじーっと見ていました。実はよく観察すると、みちこが縁側に出た時にはすでに彼らは「来た来た!来たよ!」と、みちこを見ていました。そして、気が付かないみちこにどうにか気が付いて欲しくて、ちょうちょが「ここにいるよ!僕たちに気が付いて!」とアピールしました。ようやくみちこと目が合い、言葉はか合わせないものの、手を振ったり、うんうんとうなずく事で、気持ちを伝えます。そして、小さな黄色い瓶をプレゼントするのです。

その中には体を小さくする花粉が入っていました。なめてしまったみちこは、3センチ程の体になってしまいます。なんて驚くような展開でしょうか。これはイタズラ?魔法?彼らは何者??ちょっぴりハラハラする場面ですが、どうやら悪さはしないようです。むしろ、みちこを花の咲く素敵な庭や、広い大きな空の旅へ案内してくれます。

さて、彼らの目的は一体何だったのでしょうか?

ずっと前から彼ら遊びたいと思っていたみちこ。実は小さな生き物たちも同じことを思っていました。同じ気持ちだったんだね!とわかると、気持ちが通じ合い、もっと仲良くなりました。

実は、みちこは彼らを知っていました。前から遊びたいと思っていたのに、すぐに逃げてしまうから、遊べなかったのです。それを話すと、実は彼らもみちこと遊びたいと思っていたことが分かりました。ただ、みちこは彼らに比べて大きいから、驚くこともあるし、踏んず蹴られそうだし・・・と思っていました。お互いに遊びたいと思っていたんだねと、笑い合っているようです。気持ちが通じ合うと、一緒にいる時間がとても楽しくて、とても幸せに感じてきます。

今回みちこを小さくしたことは、イジワルでも何でもない、『みちこと一緒に遊んでみたい!』と思う素直な気持ちからの事でした。それが分かると、読み手も素直に「小さくなって遊べて良かったね!」と安心して見守ることができますね。

そして、いよいよ帰る時、カエルが”体が大きくなる蜜”をくれました。ちゃんと大きく戻れるように用意してくれていたんですね。そこまで考えて、【ちいさくなるでしょう】のプランをたててくれたなんて、みちこと遊びたいと強く思っていたんだなと伝わってきます。

そろそろ帰らなくてはいけません。戻る前に・・・みちこは良い事を思いつきます!そして元の庭に戻る前にと、最後にみんなでクッキーパーティを開きました。そして大きく戻ったみちこは、小さなお友達と素敵な約束をします。

最後に、みちこの家の庭に戻ってクッキーパーティを開いたみちこです。もっと遊んでいたい。もっとお話がしたいと、お別れが名残惜しいのでしょうか。もしかすると、小さくしてくれた今日のお礼にと思ったのかもしれませんね。お腹がいっぱいになって、いよいよ”大きくなる蜜”をなめました。たちまち大きく戻ったみちこです。目の前には小さなカエル・トカゲ・ヒヨドリ・あり・てんとう虫がいます。今まで一緒にクッキーを食べていたのが、うそのように感じたのではないでしょうか。

夢を見ていたのかな?もしかして今体験したことは全部夢だったのかな??でも、自分の足元には小さな彼らがいて、こっちを見ているし・・・みちこはきっと不安に思った事でしょう。「ねぇねぇ、また小さくなって一緒に遊べる?」みちこは聞いてみました。すると、みんなはみちこを見上げて、うんうんと笑顔でうなずいています。

きっとみちこは、「やっぱり夢じゃなかったんだ。お友達になれたんだ!嬉しい!!」と思った事でしょう。いつかまた、小さくなって遊べたらいいね!と読者も心が温かくなったエンディングでした。今度はみちこをどこに連れて行ってくれるのかな?

小さな冒険の旅に、私も行ってみたくなりました。

あなたの足元にカエルさん達はいませんか?手にちょうちょが止まったら、ぜひ、目で追って見てください。もしかしたら”小さくなる黄色い粉の入った瓶”を持って、彼らが見ているかもしれませんよ♩でも、焦らないで! ゆっくりゆっくり歩いて、踏まないように気をつけて下さいね。(笑)

  1. 作品名:ちいさなともだち
  2. 著者名:作 片山令子 絵 かわかみたかこ
  3. 出版社:そうえん社
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。