ねこはるすばん
実は人間が知らないだけで、ねこの裏の顔があるのかも?!衝撃的な猫の実態とは・・・⁉
☆特徴
- 主人公のねこは人間の前では四足歩行。人間がいない場所では二足歩行。
- 物語に関係する登場人物は表紙のネコのみ。
- 会話文は無くナレーションのみ。
☆読み聞かせのポイント
- 1ページに書かれた文章が少ないので、「猫舌だけどコーヒー飲んでるね。猫舌って熱いのが苦手って事だよ。」「釣り行ってるね。お寿司屋にも行ったね。どうしても食べたかったのかもね。」など、気がついたり感じた事を話に加えながら読み進めると、じっくり絵を楽しむ時間も増えて良いと思います。
- 読んでいる最中でも読み終わってからでも、留守番中と飼い主が帰った後のネコの違いを見比べて下さい。「なんか違うよね。どう違うかな?君はどう思う?」と、話すとネコの魅力が増すかもしれません!
☆あらすじ
今日もネコのご主人は出かけていった。
ネコは一人でお留守番…かと思いきや、タンスの中に。どこかへ行くらしい。
そしてどこかの広い野原に到着。
ネコ、急に人間みたいに歩き始めた。
ネコはまずコーヒーショップで休憩するらしい。
お次は床屋でヘアセット。舌でペロペロッと毛を舐めてもらってセット完了。
その後は本屋で本を堪能し、映画館でスリルを味わった。
つりぼりで今夜のエサを狙うが断念しお寿司屋さんへ。
バッティングセンターで汗を流したら、ゆったり銭湯で温まって「極楽だぁ~」
さてそろそろ帰ろうかな…と、初めに訪れた公園へ。
ねこは暇でいいねって?
そうでもないよ。ネコのるすばんは忙しいんだから・・・。
☆書店員の感想
なんてリアルな絵なんでしょう!!
本書を初めて見た時の率直な感想です。
表紙のネコは本物と同じ位の大きさではないでしょうか。
フワフワした細い毛並み、口周りのネコ独特の形、柔らかそうな肉質、どれをとってもリアルに感じます。そしてなによりネコの目の描写がスゴイですよね!
黄緑混じりの黄色の眼球の中に細い細い黒目。こちらを睨んでいるのか、観察しているのか、このするどい眼差しと一度目を合わせてしまうと離すことが出来なくなるような力強さと引き付けられる魅力がこの目にはあるように思いました。
表紙だけで、こんなにも私の心をぐっと捕まえられてしまった…。中身は一体どうなっているのでしょうね。
●素人の私だからこそ感じる、絵・画材の素晴らしさと面白さ。
おそらく油絵で描かれているのではないかと私は思っているのですが、麻布のキャンバスに塗られた絵の具の表面が、紙とは違い、ベタッと塗っているようで、点々と繊維の中に色が落ちているような感じがします。単色のように見えるけど複数の色がまじりあっているのがわかります。
私は油絵の具を使って絵を描いたことが無いし、知識も無いホントのド素人なのですが、その分、ここはどんな風に塗っているんだろう。色は重ねているのか混ぜているのかどうしているんだろう?と興味が湧きました。
水彩絵の具とはまた一味違った、いい味を出していますよ。
絵の具の他にもキャンバスの素材もこの絵本の面白さをさらに深めていると思いました。先ほども言いましたが、絵の具が繊維に落ちてその部分が細かな黒っぽい点々に見えるんです。それが絵の中の影の部分だったり、古びた汚れのようにも見えて、ネコが住むリアルな情景の中に溶け込んでいるように感じました。
●飼い猫としての時間と、プライベートな時間に大きな違いあり!!
ご主人が外出から帰る時間を見計らって、元いた家へとネコは帰って行きました。そして玄関で帰りを待つシーンがラストに描かれます。実は先ほどのプライベートな時間とは全く雰囲気が違うんです。
何が違うのか、見比べて紹介していきたいと思うのですが、
ご主人の前ではネコといえばの4足歩行。しかし、プライベートな時間は二足歩行して移動するのです。ネコを抱っこした事がある方は想像しやすいかと思うのですが、案外ネコって胴体が長くて手足が短いですよね。もしその体を直立させたらどうなるでしょう。
お店へ入ったりバッティングセンターでプレイするネコは、なんとこの起立状態なんです!!その時のネコの胴長の体と短足さ…もうたまらん!!と言えるくらい可愛らしいんです!!
そして、目にも注目です!!プライベートな時間のネコは眼球が黄緑混じりの黄色で、縦長の黒目が描かれているのですが、ご主人を目の前にした時の目の色はほとんどの黒なんです!!表紙のネコの目とは全く違って、「ご主人様!帰りをずっと楽しみに待ってたよー☆あそんで!」と甘えているかのような目なんです!!
私はネコは飼った事が無いのですが、もしこんなクリンクリンの目をして玄関で私の帰りを待っていてくれるとしたら…考えただけで、私はネコの虜です♪
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