はやおきおばけ
おばけなのに早起きが大好き!朝からいろんな子どもたちをビックリさせて起こしていきます!こんな目覚めもたまにはいいかも!?早起きが苦手な子にも、得意な子にもピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- 寝坊している子はいるかな?おばけが起こしに行きますよ!夜のおばけが、朝に起こそうとする発想の転換が面白いです。
- せなけいこさんのちぎり絵と、背景の色との組み合わせ。絵のタッチも可愛らしく、お話がますます楽しく感じられます。
- おばけのように、早寝早起きを心がけましょう!おばけより早く起きれば、「めざましやー」は来ないはず…?
☆あらすじ
早起きが大好きなおばけがいました。
けれど、早起きが大好きだから夜にはすぐ眠たくなって、うらめしや~と驚かすことができないことが残念でした。
そこで、おばけは考えました。
夜ではなく、朝に驚かそう!「目覚ましおばけになってやろう!」
そう思いついたおばけは、朝になっても、まだ寝ている子をつぎつぎ驚かせて起こしていきます。
驚かす言葉は、「うらめしやー」ではなく、「めざましやー」。
うさぎやねこ、いぬのもとへ順番に行き、ビックリさせて起こしました。
最後にくまが寝ているところへやってきて、「めざましやー」と言いますが、起きません。
何度言っても起きないので、おばけは頭を磨いてみることにしました。
きゅっきゅっきゅー。
すると、おばけの頭はお日様みたいにぴっかぴか!
明るさに、くまくんもついに起きました。
ビックリして、かたまってしまうくまさんでした。

☆際立った特徴
18㎝×16㎝の大きさのボードブック絵本で、大人の片手を軽く広げたくらいの大きさです。
絵本の角が丸くなっており、中のページもすべてかたいボードブックとなっていて、丈夫で、小さいお子さんにも優しい作りの絵本となっています。
絵はせなけいこさんで、めがねうさぎなどでおなじみのおばけが、子どもたちを驚かせて起こそうと奮闘しています。せなさんのちぎり絵・切り絵・貼り絵の技法で、おばけや動物たちがチャーミングに描かれています。
お子さん、朝は得意ですか?朝、たまにはこんな目覚めもいいかもしれませんね。(笑)朝におばけがやってくる、びっくりなお話です。
☆書店員の感想
●寝坊している子はいるかな?おばけが起こしに行きますよ!夜ではなく、朝に起こそうとするおばけの発想の転換が面白いです。
おばけといえば夜、ですね。けれど、この絵本に登場してくるおばけは、夜が苦手です。どうしてかというと、朝、早起きするのが好きだから。朝早く起きるので、夜長く起きていられません。朝日を見ながら手を大きく伸ばし、清々しい顔をしているおばけが、おばけではなく人間の子どものように見えてきます。(笑)
おばけらしからぬおばけですが、早起きが好きなんて、素晴らしいですね。
けれど、やはりおばけなので「うらめしやー」と驚かせて、「キャー」と言わせたい。でも、夜は眠たいし、早起きが好き…。
おばけは考えます。
じゃあ、朝のおばけになればいいんだ!!
なんて可愛い発想だろうと思いました。(笑)力こぶを作るようにして腕を曲げ、上を向いて力強い顔をしているおばけに、本気さを感じます。
うさぎ、ねこ、いぬ、と、思った通りに「キャー」と言わせることができました。しかし、黒いくまは大物です。ちょっとの声では起きません。
そこで、おばけはさらに怖く驚かせるのではなく、自分の頭を磨き始めました。
どうなるのかな、と不思議に思っていましたが、なんと平和な起こし方でしょう。
自ら朝日のように光り輝いて、まぶしさで起こすことにしたおばけ。起きたくまも、怖いという表情というより、何が起こっているのか分からないといった、きょとんとした表情をしています。朝が大好きなおばけならではの、すてきな「めざましやー」に思いました。
●せなけいこさんのちぎり絵と、背景の色との組み合わせ。絵のタッチも可愛らしく、お話がますます楽しく感じられます。
おばけの体は、白い紙をちぎって作られています。ほかの細かいところは切って貼り付けて絵が作られていて、動物の表情や、布団の質感など豊かに表現されています。
おばけの目は黄色の和紙のようですが、紙の繊維が混じっているためか、赤い細かい線が入っているようで、自然と目が血走っているようなちょっとおばけの怖い要素も取り込まれているように感じました。けれど、おばけのそれも含めた表情はとても可愛らしく、怖さより親近感を感じます。
驚かす時も、予想通り驚いてくれて、だんだん楽しさが増しているような顔をしています。
頭を磨いているときの、ひょうきんな表情もいたずらをしている子どものようで、なんだか愛らしくも見えてきます。
うさぎがビックリした時の表情から、とっても怖さを感じているようすが感じられます。目が赤くて、大きな口を開けて「キャー!!」と、本気でビックリしているんだろうな、と思いました。赤い目がちぎり絵で表現されていて、怖さを引き立たせているようです。
また、お話の内容は、短い文章が1ページに1,2つあるくらいなので、小さいお子さんにも分かりやすいですし、「めざましやー」「キャー」と言っているところのやりとりも繰り返して続くので、絵を見て内容を把握し、どんな文章か理解して楽しむことができると思いました。
●おばけのように、早寝早起きを心がけましょう!おばけより早く起きれば、「めざましやー」は来ないはず…?
我が家の男児はなかなか寝ないのが悩みです。長男は習い事の宿題があったりでちょっと遅くなってしまうこともあるのですが、それにつられて次男もなかなか寝ようとしません。喧嘩もしますが、お兄ちゃんに遊んでもらいたいようです。
布団に入ってもちょっかいを出し合ったりしているし、私が真ん中に入ってもすぐ何かしらで遊び始めてしまいます。
けれど、次男はおばけがこわいので、この絵本を読んで「早く寝ないと、夜か朝かにおばけがきちゃうかもよ~」と話してみたいと思いました。
あまり眠れないときは、「もうおばけの時間だから、早く寝よう」とか、「大きくなれなくなっちゃうよ」というと、今のところはきゅっと目を閉じて寝ようと頑張っています。
そのレパートリーの中に、このお話も仲間入りさせてみようかな、と思いました。
けれど、この絵本のおばけはとても可愛らしいですね。おばけと一緒に早起きしよう、という声かけも、肯定的で楽しく早起きできるように思います。その子その子にあった寝かしつけや、朝の起こし方を見つけていきたいですね。我が家はまだまだ試行錯誤中ですが…。(笑)
早起きおばけのように、「早起き大好き!」と、早起きの気持ちよさを感じて身につけてもらえたらいいなと感じました。
