みたらみられた
動物達の”目”に注目!!目が合うとドキッとしてしまう迫力とダイナミックさがあります。
☆際立った特徴
- 作者の竹上妙さんは、木版画家。
- 版画ならではの色彩豊かな作風。
- 自然界の1年を描いている。(春夏秋冬を感じさせる景色。)
- 独特のアングルで、目の前に動物が寄ってくるような迫力あり。
※出版社ホームページに「みたらみられた」エピソードを募集しています。本書にハガキがついています。
☆読み聞かせのポイント
- 登場する生き物を、遠くのアングルから見て、貢をめくるとアップシーンの展開が繰り返されます。まずは、「ネコさんがいるね」などお子さんの視線を注目させてから、貢をめくって下さい!『目が合った!』という事がさらに強調されると思います。
- 「このページに何か生き物がいるね。どこにいるかな?」と、ぜひお子さんが探すのを待ってみて下さい。「この生き物の名前は何かな?」と名前を聞くのもいいですね!
- 貢をめくるごとに、登場する生き物に変化が見られる部分が楽しい絵本です。ぜひお子さんにめくってもらいましょう!何度も同じページを行ったり来たりするのも楽しいと思います。
☆あらすじ
屋根の上を歩くネコ。
じっと見てたら、目があっちゃった。
満開のチューリップの中で、そっと獲物を狙うカマキリ。
じっと見てたら、目があっちゃった。
草原で草を食べる牛たち。
じっと見てたら、目があっちゃった。
秋の木を見てたらねずみ?りす?
じっと見てたら、目があっちゃった。
夜の野原に光る目…。なんだろう。じっと見てたら目があった。タヌキだ。
あれは何だろう。高い木の巣穴の中から何かがこっちを見ている。
目が合ったら、急に飛んできた。モモンガだ。
真っ白く積もった雪の中、何かが木に止まって休んでいる。
あれはなんだろう。・・・
あっあれは!
☆書店員の感想
●読者の目線から見える景色や動物達を描いています。そこに添えられている文章も読者の心を表しています。
フッと無意識に何かをじっと見てしまう事ってありますよね。そしてその私の目線に気がついた相手がこっちを向いて目が合う…、ビックリする…というような。
視線って時にすごい力をはなっているのでしょうかね。面白いですね。
本書では、読者の目線から見える景色や動物達を描いています。そこに添えられている文章も読者の心を表しています。(読者の視線に立って見えた物に対して感じた事思った事が素直に声に出てしまった感じで書かれています。)
●リアリティーと迫力を感じる作風です。
動物達を見つけた時の驚きや、「あれは何だろう?」と正体が気になる気持ち、そしてじっと見ていたことで相手が視線を感じ振り返って、目が合ってしまった照れくささなど、さまざまな感情を自然と味わう事が出来る作品だと思いました。
私は現実世界でも何かと目が合うと、なんとなく気まずい気持ちになってしまう事があるのですが、本書でも、目が合って嬉しい気持ちと、恥ずかしい気持ちと、目をそらしたくなる気まずさ…この全てを感じることが出来ました。
本物の動物と目があったようなリアリティーがあると、言ってもいいと思います!
そして、何といっても迫力があると思いました。
例えば牛と目が合ったシーンでは、次のページで目の前まで牛が来て、鼻の穴の中まで見えてしまうような距離でベロンと舐められそうになります。絵本の世界なのに「舐められる!危ない!!(笑)」と思ってしまう程。
夜の森の中で見つけたモモンガも、急にこちらに向かって飛んできます。
暗いし本当は何者か近くまで飛んでこないと分からないし…と思っていた所で飛んできますから、目の前にホントに急スピードで飛んできたように描かれていて、「わーお!」と驚いてしまいます。
他にも、屋根上を歩くネコの鋭い目や、目力の強いカマキリの威嚇ポーズ、夜道に光るタヌキのミステリアスな雰囲気、最後に登場する真っ白い鳥の生命力の強さ・・・などなどそれぞれの動物から感じるものがあります。
版画と頭では分かっていても、どれも本物のようなリアリティーな部分と迫力を感じると思います。
●表紙のインパクトの強さが、中でも続いています!!
牛が描かれた表紙ですが、描かれた絵にも関わらず、本当に見られているような気分になりませんか??まさか本物??と錯覚をしてしまう程。
牛に意思があるような、何かこちらに向かって言いたいことでもあるかのような…。
どうしてこんなに目に注目してしまうのか、とても不思議な気持ちなのですが、見ずにはいられません!目があったら最後。離せません。
それだけ生命力のある絵だと思いました。
- 作品名:みたらみられた
- 著者名:たけがみたえ
- 出版社:アリス館