パフィンちゃん どこにいるの?
隅々まで遊び心満載!パフィンを一緒に探してあげましょう!3歳頃から低学年のお子さんまで幅広い年齢のお子さんにピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- パフィンちゃんがママとパパに言わずに、巣穴から出て冒険へ出かけました。ママとパパは大慌て!「どこへ行ったの?!」と探して回ります。すると、次々に島の動物達がパフィンを見かけた場所を教えてくれるのです。パフィンはみんなにとても良い事をしてあげていたのです。
- 見つけだした時には、パフィンはお気を目指すボートの中!ママとパパでは助けられません。しかし、親切にしてくれたパフィンの為に、島の動物達は力を合わせてパフィンを救出します。「みんなが大切な仲間!」と思わせるシーンです!
- ママとパパがパフィンを探している物語の前半は、どのページにも小さくパフィンが描かれています。登場する生き物が最後のページに集合していてそれぞれ名前が書かれているので、それを見ながら探し絵として読み進めるのも楽しいです!隅々まで遊び心満載です!
☆あらすじ
ここはアイルランドのスケリック島。お日様がのぼり、巣穴からヒナが飛び出してきました。
ヒナの名前は、パフィン。真っ黒なフワフワの毛をしたニシツノメドリの女の子です。
気持ちの良いお天気の日、パフィンは冒険に出かけました。
原っぱを通り、小道を渡り、ごろごろした岩を過ぎて、丘の上に着きました。
そんなことを知らないパフィンのママとパパは、巣穴が空っぽでビックリ!
ママとパパは、大声でパフィンを探して叫びます。
その声を聞いたカツオドリは、さっきパフィンちゃんが、とてもてきぱきと僕の巣を直してくれたこと、そして、大きな岩の方へ行ったことを教えてくれました。
ママとパパはパフィンを、大きな岩の方へ大声で探します。
するとウサギが、教えてくれました。
足が痛くて困っていたら、パフィンちゃんがとても上手に巣穴を掘ってくれたこと。そして、石でできたお家の方へ行ったことを。
ママとパパは、島中あちこちを大声で探し回ります。
すると、それを聞いた島の動物達が、次々にパフィンちゃんを見かけた場所を教えてくれました。
カモメのヒナが言いました。あっちの崖の方で、さっきパパとママを見つけてくれたことを。
イルカが言いました。さっき崖の上からお魚が泳いでいる所を教えてくれたことを。なんて目がいい子なんだろうと。
アザラシが言いました。さっき助けてもらったことを。そして足にからまったビニールを切ってくれことも。優しい子だねと。
そして、ようやくママとパパはパフィンを見つけました。そかし沖へ向かって進むボートの上に乗っています。パフィンはまだ空を飛ぶことが出来ません。ママとパパも重くて運べません。どうしよう・・・。でも、いいことを思いつきました。
ママとパパはアザラシに呼びかけました、すると、アザラシはカモメのヒナに、カモメのヒナはウサギに、ウサギは空を飛ぶカツオドリに力いっぱい大きな声で呼びかけました。
カツオドリは海に向かって急降下。ザブーンと海に潜ったカツオドリはイルカに、イルカは更に深く潜ってクジラたちの所まで行き、言いました。
すると・・・。
パフィンを乗せたボートはふわりと浮き上がりました。
パフィンちゃんをおうちまで送るよと、クジラたちは言いました。ママとパパに頼まれたからねと。
ゆーらゆーら、ボートはクジラたちの背中の上です。パフィンの家に向かって進みます。
スケリッグ島に、お日様が沈みます。
巣穴の中では、パフィンはママとパパに挟まれながら丸くなっています。パフィンは大きなあくびをしながら、明日も冒険に行かなくちゃと、目をつぶって言うのでした。
☆際立った特徴
アイルランドのスケリッグ島で生息している英名アトランティック・パフィンのヒナが主人公のストーリーです。アトランティック・パフィンは歩き方や見た目がペンギンにそっくり!そして先のとがったオレンジ・赤・黄色の鮮やかな色の口ばしを持っていてオウムにも似ています。日本では栃木県の那須どうぶつ王国でしか会うことが出来ない動物です。なかなか馴染みがない鳥の為、本書の後半に「パフィンはどんな鳥かな?」「スケリッグ島ってどんな所かな?」と子ども達に分かりやすく説明が書かれています。
そして、就学前のお子さんから、小学生まで、幅広い年齢に楽しめるように、読点はいれないなど、文章の書き方が工夫されています。
絵はガッシュペイントと呼ばれる水彩絵の具や色鉛筆・パステルを使用して描かれています。美しい島・海・空の中に沢山の生き物がいて、仲良く共存している様子が伝わってきます。「生物多様性」という言葉通り、生き物たちの豊かな個性の繋がりを感じる事が出来る物語です。
☆書店員の感想
パフィンちゃんがママとパパに言わずに、巣穴から出て冒険へ出かけました。ママとパパは大慌て!「どこへ行ったの?!」と探して回ります。すると、次々に島の動物達がパフィンを見かけた場所を教えてくれるのです。パフィンはみんなにとても良い事をしてあげていたのです。
ママとパパからしたら大事件です!巣穴から子どもがいなくなったら心配で心配で仕方がありません。二人は一生懸命に大きな声を出して探して回りました。「パフィンちゃん、どこにいるの?」周りは海です。波の音や沢山の生き物達の声もしている事でしょう。二人はそんな音よりも大きな声で呼び、必死で探すのです。
すると、「さっき見たよ!」と教えてくれる生き物たちに出会います。最初はカツオドリ、そしてウサギ、カモメのヒナ、イルカ、アザラシです。
みんな困っていたところをパフィンに助けてもらったと話しています。口ばしが尖っている鳥なので口先を上手に使って巣を直してあげたり、目が良い事を利用して魚の居場所を教えてあげたり、足に絡まったビニールを切って外してあげたり・・・。
ママとパパからしたら幼い子どもでしかなかったパフィンでしたが、なんとみんなの役に立って、手助けをしていたのです。
ママとパパはとても驚いたことでしょう。そしてみんなから感謝される我が子をとても誇りに思った事でしょう。みんなから聞けば聞くほど、きっと「早く抱きしめてあげたい!早く見つけてあげたい!」と思ったでしょう。そう強く願いながら、探していたのではないでしょうか。
見つけだした時には、パフィンはお気を目指すボートの中!ママとパパでは助けられません。しかし、親切にしてくれたパフィンの為に、島の動物達は力を合わせてパフィンを救出します。「みんなが大切な仲間!」と思わせるシーンです!
ようやく見つけ出した時、パフィンはボートの中でした。好奇心でボートに自ら乗り込んでしまったのでしょうか。しかもボートは沖に向かって進み始めてしまいました。幼いパフィンはまだ泳ぐことが出来ません。ママとパパもパフィンを持ち上げて運ぶことが出来ません。絶体絶命のピンチ!このままでは家に二度と戻って来れないかもしれません!
さあ、どうしよう。そう思った時です。二人は良い事を思いつきました。島のみんなに助けてもらう事にしたのです。
アザラシに呼びかけて、アザラシがカモメのヒナに、カモメのヒナがウサギに、ウサギがカツオドリに、カツオドリがイルカに、イルカがクジラ達に助けを呼びかけました。「手を貸して!パフィンを助けよう!」と次々に言葉のバトンを繋いでいくかのよう!
そして最後に呼びかけを聞いたクジラ達が海の中から海面に出てきました。そこはボートの真下です。ボートを優しく挟むようにして運んでいきます。もちろんボートを運転していたおじさんにも危害はありませんよ。カモメ達やイルカ達も側で嬉しそうに見守っています。
なんだかこの島に住む全ての生き物が、仲間なんだと感じるシーンでした。
ママとパパがパフィンを探している物語の前半は、どのページにも小さくパフィンが描かれています。登場する生き物が最後のページに集合していてそれぞれ名前が書かれているので、それを見ながら探し絵として読み進めるのも楽しいです!隅々まで遊び心満載です!
とても遊び心のある絵本で、探し絵としても楽しめる作品だと思いました。パフィンのママとパパと一緒に探してあげましょう!そして、この島に住む他の生き物たちの一覧が最後に(裏表紙の内側)描かれています。どこで登場した生き物だったかな?何て名前だったかな?親子で一緒に探したり名前を覚えたり出来ますよ。
●【環境破壊】や【絶滅危惧種】という言葉に触れるきっかけにもなる絵本。お子さんにもぜひ、この事を聞かせてあげて、一緒に考えてみましょう。
アザラシの足に絡まったビニールをパフィンがパチンパチンと切って取ってアザラシを助けてあげたというエピソードが書かれていました。人間が使うビニールが、どうして海に住む生き物たちを困らせているのか・・・小さな子ども達は考えもしない事かもしれません。しかし、「どうしてかな?」と親子で話す事で、美しい環境と動物達を守るにはどうしたらいいのか、一緒に考えるきっかけになると思いました。
そして、主人公のモデルのなっている”アトランティック・パフィン”は、絶滅危惧種にしていされているそうです。理由は色々あるでしょうが、まず「絶滅危惧種」って何だろう?から聞かせてあげると良いのかもしれません。
さあ、パフィンはお家に戻ってきましたよ。ママとパパの間に挟まれながらあくびをしています。ママとパパの温もりの中で安心して眠っていく瞬間ですね。二人から元気とパワーをチャージしたパフィンは、眠りそうになりながら言いました。また冒険に行かなくちゃと。
あらら、ママとパパの心配はつきないですね(笑)
- 作品名:パフィンちゃん どこにいるの?
- 作名:エリカ・マッギャン 原作:ショーン・デイリー 絵:ジェリー・デイリー 訳:寺田伸一
- 出版社:鳥影社