くすのきだんちへおひっこし

くすのきだんちは10階建て!素敵な住人に会えますよ☆4・5歳頃の読み聞かせにピッタリ!

☆特徴

  • くすのきだんちは10階建て。8階の部屋だけが空き室になっている。
  • 個性的な住人ばかりのくすのき団地。シリーズ全9作の第二弾。
  • 個性を認め合い助け合う姿が描かれる。多様性。
  • 空いている8階の部屋を見学に来たのはカエル。
  • 他者を見た目やイメージだけで決めつける事のもったいなさを痛感する出来事あり。

※本書のあとがきに作者の武鹿悦子さんの本書紹介の文が書かれています。

最後に「住人たちの優しさに輝いて、くすのきだんちは野原に立っています。一つ、一つの窓を『どうぞ』開いて。」武鹿さんの本書への想いが伝わる一文です。

●参考文献 「くすのきだんち」シリーズ情報 KUMONがうた・読み聞かせを応援【ミーテ】

☆読み聞かせのポイント

  • くすのき団地にどんなひとが住んでいて、どんなお仕事をしている人なのかお話の中で紹介しています。「サルさんは大工さんなんだね」「リスのレストランへ行ってみたいね」など、読みながら感じた事を付け加えてあげても良いと思います。
  • カエルさんはどうして越してくるのを最初嫌がったのでしょう。カエルさんらしい考えがあります。幼くてお話だけでは理解できない子には「カエルさんは鳥が苦手なんだね。食べられるかもしれないと思ったのかな?」と言葉を付け加えると分かりやすいと思います。
  • 見た目やイメージだけで嫌ったり遠ざける事って、本当はとってももったいない事だなと最後に感じる事が出来ます。ぜひ登場人物のそれぞれの立場でお話を見守って、考えてみてください。きっと今後の人間関係にプラスになる事でしょう。
  • 引っ越しを決めたカエルの為に、管理人のモグラさんと住人のサルさんもカエルにピッタリで使いやすくなるように部屋をリフォームしてくれます。さあ、どんな部屋でしょう。どんな風に使うのかな?考えてみましょう♩
くすのきだんちへおひっこし 表紙

☆あらすじ

春の風に浮かれたカエルが、野原へやって来ました。

あの大きな木はなんだろう?と、カエルが近づくと「くすのきだんち」と入り口のドアに書いてありました。見とれるカエルさんに管理人のモグラさんが声を掛けました。

1階は音楽家のキツネさん、2階3階はウサギさんの看護師姉妹。4階は大工のサルさんで、5階6階はリスさんのレストラン、そして7階はカケスさんですよ。と説明しました。

カエルさんと8階まで上って来ましたが、9階がフクロウさんだと聞いたことと、だいぶ階段を上らないと部屋に辿り着かない事が気に入らず帰ろうとしました。

カエルさんは階段を降りるのが面倒になり、手すりに登ってすーいすーいっと滑るうちにバランスを崩してドタンバタン!!6階のレストラン入り口前で倒れました。

「誰か来てー!」とモグラさんが大きな声を出すと、ウサギさんの看護師姉妹が駆けつけ、おんぶで3階のウサギさんの部屋へ運びました。

気絶しているカエルさんの頭を冷やし、傷に薬をつけ、足を包帯でぐるぐる巻きにしました。

目を覚ましたカエルさん。モグラさんにランプを壊してごめんなさと謝りました。サルの大工さんも駆けつけ、「ランプはすぐ直るって!心配せずに休みな!」とカエルさんに声を掛けました。

体が痛いカエルさん。お見舞いにやってきたカケスの4羽の子ども達にカエルは一瞬ビックリしました。カケスのお母さんが作ったプリンを、お見舞いに届けてくれたのです。

そして、夜はウサギさん姉妹が仕事でいない代わりに、キツネさんが付き添いをしてくれます。バイオリンをカエルさんの為に弾いてくれました。するとカエルさんは痛みを忘れて、ぐっすり眠る事ができました。

次の朝、モグラさんが部屋を訪ねると、カエルさんは、すっかり元気になりました。そして、「ここの人達みんな親切だね。僕ここへ引っ越してきたいな。」と言いました。

大歓迎です!とモグラさん。カエルさんが引っ越してくる前に、カエルさんが住みやすいように模様替えしておきますね。と言いました。

引っ越してきたカエルさんは、部屋からの景色が良く見えるし、自分にピッタリの部屋に模様替えされている事に驚き、とても喜びました。

その晩、リスさんのレストランでカエルさんの歓迎パーティーが開かれました。住人たちはカエルさんの引っ越しをとても喜びました。

ところで、カエルさんのお仕事は何でしょう?なんと水泳のコーチなんですって。

くすのきだんちへおひっこし 裏表紙

☆書店員の感想

くすのきだんちシリーズの第1弾は7階にカケスさんが引っ越してきたお話でした。そして第二弾である本書は、8階の空き部屋を見に来たカエルさんが、最初は嫌だと感じたのですが、住人に助けられ優しさに触れていくうちに安心し、この住人の一員になりたいと思って、引っ越しを決める話でした。

引っ越しとは、楽しい気持ちだけではなく、ここに住んで大丈夫だろうか。他の住人と仲良くなれるだろうか。住みやすい環境だろうかと考えて慎重になるもの。

最初見に来た時のカエルさんはまさにそうでした。まず8階で階段を沢山上らないと部屋に辿り着けない事と、8階の上下がカケスさんとフクロウさん。カエルさんの天敵とも言える鳥さんで、カエルさんは怖いからと、震えて嫌がります。(本書の世界観では鳥がカエルを仕留めて食べる…と言った事は起きない、動物達がみな共存している世界なのですが、おそらくカエルさんの本能が「鳥は危険だ!」と言っているのでしょう。)

引っ越しを断ったカエルさんは、階段を降りるのが面倒になり手すりに乗ってお尻ですーいすーいと降りてしまいます。ここで事件が起こりました。

螺旋階段なのにお尻で降りたカエルさんは、スピードが出すぎて曲がり切れず、曲がる弾みで横に飛ばされて、壁に激突!そして気を失って倒れてしまいました。なんてこった!と驚きの展開。見ていたモグラさんも読者もビックリする出来事です!

気絶したカエルさんを助けたのは誰でしょう。

モグラさんだけではありません。モグラさん・ウサギさん姉妹が看病し、そしてサルさんが壁に激突した時に壊れた電球を直してくれ、カケスさんの親子がお見舞いのプリンを作って持って来てくれ、キツネさんが夜にバイオリンを聞かせて安心させてくれました。フクロウさんも心配で窓の外からそっとカエルさんを見に来ていました。

みんながカエルさんを心配し、住人達が協力し合って自分に出来る事を探して、看病してあげるのです。カエルさんはそんなみんなに少しずつ安心感を持てるようになっていきました。そして自分もここの一員になりたいと思ったのです。

素敵ですね☆優しい気持ちが伝わって、カエルさんも優しいみんなのように、誰かに優しくできるひとになりたいと思ったのかもしれませんね☆

これは憶測なのですが、もしかするとカエルさんは、鳥が苦手であるという事は、鳥であるカケスさんやフクロウさんも本能的に知っていたのかもしれません。

だからカケスのお母さんは、お見舞いに直接行かずプリンを子ども達に持って行かせてたのかもしれません。(まだ子ども達の方が安心できるかなと身を引いたというか。)そしてフクロウさんも直接部屋に見舞いにはいかず、外からそっと見守っていました。もしそうだとしたら、カケスさんとフクロウさんの優しさや気遣いを感じますね。

それにしても様々な特技や仕事を持っている、くすのきだんちの住人達。引っ越してきたカエルさんはどんな特技があったのかというと…水泳のコーチですって!さすがカエルさんですね!

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。