うさぎマンション
それぞれの部屋・住人に物語あり!24部屋を覗いてみましょう。どんな住人がいるのかな?どんな暮らしをしているのかな?
☆特徴
- 「マンション」に住むうさぎたちの暮らしと繋がりを描いている。
- 観音開きできるしかけページあり。
- マンションの断面が見えるように描かれている。(24部屋の中が丸見え)
- ページをめくると時間が過ぎていく、朝から夜までの一日。
- それぞれの生活に物語がある。一部屋ごとにピックアップして読み進むことが出来る。
- 他の部屋と見比べて楽しむ事が出来る。
- 探し絵の問題ページあり。
- ホームページに無料ダウンロードできる塗り絵付き。
※絵本のおまけに【絵本のたから箱】という見開き2ページの冊子がついています。こちらには、作者 のはなはるかさんの本書に込めた想いや登場人物一覧が描かれています。
☆読み聞かせのポイント
- 最初は引っ越してきたばかりのウサギ家族に注目して読み進めましょう。次は気になる部屋の住人を順番にピックアップして読み進めてみましょう。どんな家族なのかな、何をして過ごしているのかな?
- この時間帯は、「この部屋では体操していて、この部屋ではコーヒータイムしているね。」など、各部屋を見比べるのも楽しい。
- アパートやマンションに住んだ経験がないお子さんは、きっとどんな場所なんだろう?不思議に思うかもしれません。絵本を通して沢山の家族が住んでいる場所なんだよと教えるきっかけに。
- アパートに訪れたお客様が、一体どの部屋のお客様なのか探してみてください。「踊りの先生だったんだね!」と知る事ができます。物語にさらに深みも持たせてくれますよ。
☆あらすじ
ある日の朝、うさぎマンションにうさぎの家族が引っ越してきました。
うさぎマンションは屋上付きの5階建てマンションで、24部屋あります。マンションには色んな趣味や特技のある住人が住んでいます。
うさぎの家族は、朝ごはんのサンドイッチを食べてからあいさつ回りをします。
次にお部屋作り。引っ越しの荷物も届いて一日中大忙しです。
その頃他の住人たちは何やら屋上で準備を始めています。飾りつけをして、料理を運んで・・・
夕方になったら屋上にきてね!と招待されていたうさぎの家族が時間になり屋上にくると、
家族を歓迎する美味しい料理と、出し物と、それからそれから・・・☆
楽しいパーティが始まりました。
☆書店員の感想
●うさぎマンションは5階建てで24部屋。うさぎの家族が引っ越してきた1日を描いています。
うさぎのお父さんとお母さんと子どもが5匹、朝早くに引っ越してきました。
「どの部屋に引っ越してきたのかな?」と読者に向けて語りかけているので、まずはどの部屋に住むのか、全ての部屋を覗いて発見しなくてはなりませんよ。
タイトルが書かれている冒頭のページでは、マンションの外観がドーンと描かれています。しかし、マンションの窓はほとんど開いておらず、人影も見えません。カーテンだけが見えます。
観音開きでめくると、マンションの断面図になっています。どの部屋の中も丸見えです。
パッと開いた時、読者の子ども達は、マンションの壁がなくなったインパクトに驚くでしょう。目の前に広がる住人たちのそれぞれの暮らしがハッキリ見えることに「すごーい!」と感動するかもしれません。
本自体も縦30.5㎝×横21.5㎝と縦長なので、ページを開いた時の迫力は大きいですよ!
しかし、しかけをめくる前の、外観からマンションを見た絵からも、この部屋にどんな人が住んでいるのか、カーテンだけで何となく想像が膨らんでいくのが不思議です。
あなたはどんなお家が好みですか?ぜひ中を見る前に外観からも選んでみると楽しいと思います。中の住人はどんな人かな??ウキウキした気持ちで、しかけをめくってみましょう♪
●カバーにもおまけ
実は、表紙の内側部分(カバーの折り返し部分)に、マンションの掲示板に紙を貼る住人(大家さんかな?)の姿が描かれています。ここにしか描かれていないキャラクターです。
ここは、ぜひ見逃さずに皆さんにも見て欲しいですね。
住人たちの、アパートに新しい仲間が増えるという喜びが伝わる掲示物なんです!みんなが引っ越してきてくれるのを待っていたんだねと読み取ることが出来ますよ♪
●一部屋一部屋に、こだわりを感じます!それぞれの暮らし方を想像すると楽しい。
私たち人間は、一人として全く同じ考え方をしている人はいないでしょう。好みや趣味、特技や仕事など絶対どこか違っていますよね。それと同じように暮らし方も違ってきますよね。
本書では24部屋に住むうさぎ達の暮らしが、それぞれ全く違っているのが楽しいポイントです。
時系列で1つの家族だけを追って観察するのも楽しいし、この時間帯のそれぞれの家の様子を見比べる見方も面白いと思いました。
私は最初気になる家族を一つ決めて見ていったのですが、例えば恐竜さんと同居している家族の部屋では、「重みで床がぬけちゃったね。大変だ。」「下の部屋の住人と協力して部屋を直したんだな」と、絵を見て感じ、描かれていない時間帯の事も想像をしながら楽しむ事が出来ました。次はこの家族。次は…と、どんどん各家庭の様子が気になりましたよ。
開いたページの中だけで、各部屋を見比べる見方も楽しいですよ。朝ごはんを食べるうさぎがいる一方で、まだまだ眠いと本をアイマスクのようにして寝ているうさぎ、赤ちゃんのお世話に苦労している夫婦もいます。ちょうど外から帰ってきた魔法使いのうさぎもいます。
生活も違えば性格も違う。みんなもそれぞれの過ごし方があるんだなと、感じますね。
※本書の最後に【さがしてみよう!】のページがあり、探し絵の問題が描かれているので、本書を見返しながら探していくと、見落としていた楽しいポイントに出会えるかもしれません。
●マンションの楽しさ
マンションには魅力がいっぱいあるなと思いました。私は前に2階建てのアパートに住んでいたのですが、隣の部屋の玄関のドアが開く音や階段を上る音、車のエンジン音が聞えて、「隣の人の車だな。」「上の人が帰ってきたな」と、挨拶しか交わさない間柄なのに自然と覚えているという事がありました。
部屋ごとに暮らしがあって、個々に過ごしている。だけど時間はみんなに同じように流れていく。繋がっているようで繋がっていない。誰かが隣の部屋にいて助け合う時もあれば、家族だけでいたい時は家族だけの時間を楽しんで・・・というアパート独特の世界観が、本書には楽しいHAPPYな目線で描かれていると思いました。
参考文献【コピック公式サイト のはなはるかさんインタビュー】
くもん出版YouTubeチャンネルより