うるしー
あかちゃんの人気投票によって選ばれたキャラクター!クマの見習い手品師が、ハットからいろいろなものを取り出していきます。
☆3つのおすすめポイント
- 赤ちゃんの『アイトラッキング』で、人気ナンバーワンに選ばれたクマの手品師が、いろいろなものを取り出していきます。
- うるうるうる しーという独特の合言葉で、子どもたちの興味のあるものが飛び出します!
- クマの青色と、帽子から取り出すものとの色合いが目を引きます。一生懸命なクマの表情、温かい眼差しにもほのぼのします。
☆あらすじ
クマの見習い手品師が、「うるうるうる しー」という言葉のあとに、いろいろなものを取り出していきます。
まずはみんな大好き、バナナ。あれあれ、ハットから少し見えていたかな。ハットから少し見えているものがヒントです。
つぎはちょっと難しくなるよ。ハットの大きさに惑わされないでね。どんな大きさのものでも出してみせるよ!一生懸命頑張るから、応援してね。一緒に「うるうるうる しー」と唱えながら、何が出るか当ててみましょう。全部で8種類。最後には仲良しのステキな二人が登場しますよ。子どもの大好きなものがいっぱい詰まっています。
クマ手品師の、頑張っている表情にも注目です。
☆際立った特徴
この本は、「赤ちゃんの好きなキャラクターを使って絵本を作りたい」という想いから企画された本だそうです。赤ちゃんが原色を目で追うのは視覚の発達の影響。好きかどうかはまた別問題、ということから、赤ちゃんの視線の見つめる先を「アイトラッキング」という技術で追いかけ、専門的な統計処理をして出された、「赤ちゃん投票1位」のキャラクターの絵本です。
黒いハットを持った青いクマが、次々と色んなものを取り出していきます。出てくるものごとに背景が変わり、明るく楽しい印象です。
また、表紙の裏、裏表紙の裏にも、それぞれかわいい絵が隠れていますので、それも子どもと一緒に探してみると面白そうです。カバーをペラっとめくると現れますよ。
中のページの角は丸くなっていますので、赤ちゃんの手にも優しいつくりです。絵本の大きさは20㎝×20㎝で厚みは1㎝弱となっており、小さめで持ちやすいです。
☆書店員の感想
●赤ちゃんが選んだ、人気ナンバーワンのクマの手品師が、次々といろいろなものを取り出していきます。
見習いのクマの手品師です。
帽子からいろいろなものを取り出すのが得意で、「うるうるうる しー」という合言葉のあとに、いろいろなものを取り出してくれます。
まずはこれ。「うるうるうる しー」。
バナナの登場です。あれ?見えてたかな?けれど、こーんなに大きなバナナです!12本もついているので、家族みんなで食べても1週間くらいもちそうです。
次はなんでしょう。バナナより、うんと難しいです。けど、楽しくて乗りたくなっちゃう、みんなが大好き「アレ」です。
そう、三輪車!ハットより大きいけど、何でも出してしまいます。こちらを向いている三輪車。早く乗ってよ!と言わんばかりで、元気よく走り出しそうです。
つぎに出てくるものは、もっともーっと大きいです!
なんと、象です。象が2ページいっぱいに登場、迫力がありました。そして巨大な象を一生懸命出しているクマの懸命な表情。他のページは大体涼しい顔をしているクマ手品師ですが、象となるとそういうわけにもいきませんね。クマも一生懸命な表情でハットから取り出します。
象を取り出したあとはどうするのでしょうね。子どもの想像力に働きかけてみたいです。
ちょうちょがひらひら飛んでいったり、雪だるまも出てきます。
ハットが植木鉢になって、そこから満開の桜の木が生えてきたりします。大きな桜の木の下に、クマがちょこんと正座でお茶を飲み、お花見をしている様子に、ほのぼのします。
背景がピンク一色で、桜の花びらがひらひら… 木は1本だけなのに、満開の桜並木がそこにあるような感じがして、子どもと一緒にお花見に行きたいような、ほがらかな気分になってきます。なんとも癒やされます。
桜や雪だるまのページでは、お子さんと一緒に冬や春の季節感も感じられますね。
最後の方には、なんと色とりどりの花火も打ち上がります。クマもついつい叫びたくなって何かを叫んでいますが、このときばかりは、「うるうるうる しー」ではなく、「たーまやー」ですかね。
信じられないような大小様々なものが、クマのハットから出てくるので、ハットの中身はどうなっているのかとても気になってきました。
最後は、ハットからクマの頭がちょこっと見えています。
どこかで見たことがあるような…
うるしーそっくりの、クマのぬいぐるみを持った子どもとお母さんの登場です。子どもが一番大好きなお母さんが最後に出てきて、お子さんもますます嬉しい気持ちになるように思いました。
クマだけでなく絵本全体が、赤ちゃんや小さな子どもが好きなもので溢れています。
あなたのお子さんは、何でも好きなものを出してもらえるとしたら、何を出してもらいたいでしょう?そんなことを親子のコミュニケーションの一つとして、楽しむのもいいですね。
●独特のかけ声、合言葉は「うるうるうる しー」!
「うるしー」というタイトルの本ですが、このクマの名前かな?とはじめは思っていました。かけ声にちなんだものでしょうか。「うるうるうる しー」、はじめて聞く言葉ですが、なんとなく、くせになるような、耳に残る感覚に思いました。
「うるうるうる しー」は、どんな感じで言いましょうか。お子さんが喜ぶ言い方があるかもしれません。「うるうるうる」を高い声と早い口調で言ってみたり、「しー」を少し小さく言ってみたり。はたまた低くゆっくり言ってみたり…。いろいろ試してみると楽しそうです。
「うるうるうる しー」と、一緒に応援してもらえたら、クマも喜んで、ますます色んなものを出してくれそうです。
●クマの青色と、帽子から取り出すものとの色合いが目を引きます。一生懸命なクマの表情、温かい眼差しにもほのぼのします。
青いクマは胸の白い部分以外真っ青ですが、描き方はベタッとしておらず、濃淡があって、ぬいぐるみのようなふんわり感です。大きなクマのぬいぐるみのようで、ぎゅっと抱きしめたくなります。
雪だるまの白色や象の薄い色など、いろんな所に陰影がついていて立体感があります。9匹のちょうが飛んででてくるところも、ピンクや白、水色に青とどれも違った色で、ちょうの可憐な雰囲気を漂わせ、舞っていました。
出てくるものごとに背景の色が変わります。背景の色は8種類、ほとんどパステル調です。表紙は緑ですが、他のページの背景同様ベタッと全面塗られておらず、少しムラのある感じが柔らかい雰囲気を作り出しています。その背景と、ハットから出てくるかわいいイラストの組み合わせによって、さらに優しい印象で、うるしーワールドへと引き込まれていきます。
また、花火のページでは、背景は暗いですが、ここも真っ黒のベタ塗りではなく、紺色が混ざっているような、本当の夜空のような、優しい夜空に感じます。全部で6色の3つの花火が、優しい夜空にパッと、ドーンと輝いています。
クマの表情は優しく、同じようでいて少し違って見えます。けれど、この本を読んでいる赤ちゃんや、小さいお子さんを温かく見守っているようにも見えます。時々見える表情に、一生懸命なときや、ほのぼのとしているときがあるので、そのほかにも、いろんな表情を見てみたくなりました。
赤ちゃんの好みから選ばれた、人気のクマの手品師に、かわいい配色と、不思議な合言葉「うるうるうる しー」。ハットから出てくるものの変化も引き付けられる、楽しい絵本です。赤ちゃんも幼児も、うるしーの魅力に釘付けになりそうだなと思いました。
- 作品名:うるしー
- 著者名:作 ロロン 監修 開 一夫
- 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン