おおきなかぶ

3歳頃からの読み聞かせにピッタリ!繰り返されるリズミカルな文章が楽しくてマネしたくなる!一緒に「うんとこしょ!どっこいしょ!」
☆際立った特徴
- ロシアの昔話。
- 日本では1962年に発行された。半世紀以上日本の子ども達に愛され続ける物語。
- 家族と動物達の助け合いの物語。
- 大切に育てたカブ。力を合わせて抜きます!そしてみんなで分け合って美味しく食べる。
- 人数が増えるごとに何度も同じフレーズが繰り返される。リズミカルでテンポが良い。
- ロシアの民族衣装が素敵!
- 夫婦で肩を抱き合い踊りそうなシーンや、大きなカブを見てグッドとカブに向かって親指を突き出すおじいさんの姿が、陽気で明るい国民性を表している。
☆読み聞かせのポイント
- 人数が1人ずつ増えていく展開が繰り返されます。小さな子でも覚えやすい簡単な内容のお話です。
- 「カブをおじいさんがひっぱって、おじいさんをおばあさんがひっぱって、おばあさんを孫娘がひっぱって・・・・・」とだんだんカブを引っ張る人が増えていく所の面白さは、スピードを上げて読むと、さらに繰り返しの文章が活かされていくように感じます。
- 「うんとこしょ どっこいしょ」は何かを引っ張るジェスチャーを加えながら読んであげると、絵本の家族の一員になったような気持ちになります。カブが抜けた瞬間は嬉しい気持ちになりますよ★
※出版社の本書紹介文に『力強いロシアの昔話』と書かれています。その通りで、絵から寒いロシアで暮らす人や動物の生きる力強さを感じる作品だと思いました。
☆あらすじ
おじいさんがある日、カブの種をまきました。
「おおきくなあれ。甘くなあれ。」
おじいさんは毎日カブに声を掛け、水をやりました。
カブはグングン育ち、おじいさんの背よりも高くなるほど、大きなカブに育ちました。
おじいさんは抜こうとしました。「うんとこしょ どっこいしょ」
しかし1人の力では全く抜けそうにありません。
おばあさんを呼びました。おばあさんはおじいさんの背中をひっぱり、声を合わせて「うんとこしょ どっこいしょ」
まだまだ抜けないカブ。そこで孫娘を呼びました。孫娘はおばあさんの背中をひっぱり、全員で声を合わせて抜こうとしますが抜けません。
そこで孫娘は犬を呼んできました。犬は孫娘の背中をくわえひっぱり、全員で声を合わせて抜こうとしますが、抜けません。
犬は猫を呼びました。猫は犬のしっぽをひっぱり、全員で声を合わせて抜こうとしますが、抜けません。
猫はねずみを呼んできました。ねずみは猫のしっぽをひっぱり、全員で声を合わせて抜こうとします。
「うんとこしょ うんとこしょ・・・もう少し!うんとこしょ うんとこしょ・・・!」
やっとカブは抜けました。
みんなは体より大きなカブを見て大喜び!!
☆書店員の感想
50年以上前から日本中の子ども達に愛され続ける本書の「おおきなかぶ」。表紙に描かれる彼らの服装から外国のお話なんだろうなと見当がつくと思います。
こちらの絵本はロシアの昔話なんだそうです。今では日本の大人も子供もほとんどの人が
知っているポピュラーなお話の一つですよね。
さて、おじいさんの植えたカブの種。「大きくなあれ 甘くなあれ」と毎日声を掛けながら育てました。植物も生きているから声を掛けたり歌ってあげると、上手に育つと聞いたことがあります。愛情いっぱい育ったカブは、もしかするとおじいさんの気持ちに答えようと「大きく甘く育つぞー!」と頑張ったのかもしれませんね♬
おじいさんより大きく立派に育ったカブ。葉っぱの緑色も生き生きとした色で、根っこの白さも美しい。もう完璧なカブです!おじいさんがこのカブを見た時、左足をヒョイとあげ、カブに向かってグッドサイン。「よくやった!グッジョブ!!」と言わんばかりに喜んでいます。
大きなカブを抜こうとしますが・・・
さて、おじいさんより大きなカブ。どうやって抜きましょう。おじいさんだけの力では歯が立ちません。おばあさんを呼んできて、カブをおじいさんが、おじいさんをおばあさんが引っ張りました。全然抜けそうにありません。次に孫娘を呼び、おばあさんを孫娘が引っ張って息を合わせます。全く抜けそうにないカブ、その後犬・猫・ねずみと次々呼んできて順番に並びます。ねずみが加わった時ようやくカブが抜けます。まだまだ抜けそうにないなーと思っていたところに、ねずみが加わって急に抜けるなんて・・・「そんなバカな!」
な展開ではありますが、そこが面白い部分でもあります。
有名なストーリー。ぜひ絵に注目して何を話しているのかな?と想像してみましょう!さらに面白いですよ!
カブを抜き始めてから抜けるまで、かなり時間がかかったように思えますね。
さて、おじいさんやおばあさんは元気よく力を出し続けたかというと、そうではなさそうです。落ち込んだり、励ましたり、寝転んで休んだり・・・描写が大変リアルです。自分が登場人物なら、きっとこんな感じだと思います。
彼らはどんな話をしているのでしょう?想像するとさらに面白いと思います。夫婦がカブの根元でしょんぼりとして「おじいさん、あと少しだから頑張りましょう」と励まし合っていたり、夫婦と孫娘が「もう抜くのは無理かも―。力が残ってないよ。」と言っているかもしれないねと、ぜひお子さんと会話を想像してみてくださいね★
ねずみが助っ人に来た時は、カブを囲んで会議をしています。真剣そのものですよ!
カブがようやく抜けた時の全員の喜ぶ姿が素敵です!最後まで頑張り続けたからこそ、達成できた収穫♬
おじいさんの愛情でこれほど大きく育ったカブですが、どうして小さなうちに収穫しなかったのかを、考えたことありますか?
もしかしたら、みんなが沢山食べれるように、こんなに大きくなるまで育てたのかもしえませんね。しかしどんな野菜も丁度良い大きさがあります。私はカブがこんなに大きくなったのを見た事が無いのですが、例えばさつまいもの話です。
私は普通に店頭に並ぶさつまいもの2倍ほどのさつまいものを収穫した事があります。でも、正直味は・・・「甘くなくて美味しくないな」と思いました。
必要以上に大きくなれば、栄養や甘さが分散されるのか、甘さが薄くなるような感じがしました。適度な大きさを超えると美味しいままではいられないのかなと思いました。
ここで考えたいのが本書のカブです。おじいさんより大きく育ったカブ。美味しく育ってくれたのでしょうか?普通ならきっと美味しくはないように思います。
しかし!!!ここで思い出してください。「甘くなあれ」とおじいさんは、何度も何度もカブに声を掛け育てていました。
何のために??大きくて甘ければ、動物を含め家族全員、お腹をいっぱいにすることが出来るからです。昔々のロシアを私はあまり知りませんが、この家族の様子を見ているときっと裕福ではない事が伝わります。
植物は声を掛けるとそれに答えようとする習性があると、口頭でお話しましたが、そんな習性を知るおじいさんの、みごとな知恵が働いたのだと思いました。
なんだかこんな風に視点を変えると、このおじいさんの賢さが伝わりませんか?
カブを抜くために力を合わせた団結力。人間だけでなく動物達も協力して生きていこうという力強さが伝わる絵本だったと思います。
ロシアの昔話が今では日本人のほとんどが知っているお話になったように思います。「うんとこしょ どっこいしょ」と、お子さんと一緒に声を出して読んで楽しんでください♬読者もこの家族の一員になって一緒に引っ張っている気持ちにもなります。この時、実際に何かを引っ張るようにジェスチャーを加えるのが私のおススメの読み方です。
- 作品名:おおきなかぶ
- 著者名:再話 A.トルストイ 訳 内田莉莎子
- 出版社:福音館書店
