おむすびころりんはっけよい
おにぎり好きにぴったり!特に具の畑に注目です‼子どもに戦争と平和について教える機会に。
☆3つのおすすめポイント
- さんかくおにぎりとまんまるおにぎりが両者の【プライドと大切なおにぎりの具の畑】をかけて”すもう”で勝負します。クライマックスは2人が1人に・・・合体!?
- おにぎりの具の畑は、我が家に欲しい!!!これなら畑してみたくなる!!
- おにぎりの世界のはずが、人間の世界とも重なるような。戦争を平和的に解決する考え方を教えてくれる絵本です。
☆あらすじ
そこに・・・!突然、塩気の多い『さんかくおにぎり』の若者達がアルミホイルで壁を作ってしまいました。
『まんまるおにぎり』達は畑に入れなくて困ってしまいます。米粒とばしてカンカンに怒りました。悔し泣きで塩味が流れ出てしまう子ども達・・・どうしたものか、
まんまる殿様が考えます。「そうだ!!すもうや!」ひらめきました。「さんかくの奴らに果たし状を送ろう!」と・・・すもうで決着をつけようと作戦を立てたのです。
さてどうなるのやら。どちらが勝つのか、畑を取り戻せるのか、”さんかく”も”まんまる”も仲良くなる方法は無いものか・・・相撲の勝負が始まります。『はっけよ〜い のこったー!!』
☆書店員の感想
本書には、400個のおにぎりが登場します。400個のおにぎり達、見た目がまんまるなのか さんかくなのかの外見の違いだけで、お互いを嫌い・けなし合い、悪口を言っていました。
今回の事件は、もともと”さんかく”も”まんまる”も、一緒に仲良く農業していた場所【畑】が、さんかくの若者によって占領され、出入りしていたまんまるの農家が入れなくなる所から始まります。仲良くしていた農家の方たちにとっては、とばっちりも良いところです。そこで、すもうの勝負!
武器を持った戦いではありませんが、互いの大将が土俵に上がり、相撲で勝負します。どちらがえらいとか、強いとか、どうしてこの世は優劣をつけて差別化しようとするのでしょうか。人間の世界と重なる部分があります。
最後は二人のおにぎり大将が、1つのおにぎりにまとまる所が最高です!!
本人たちは一緒になるつもりは、全くなかったのでしょうが、相撲を取っているうちにお互いの体の米粒が混じって、一つのおにぎりになってしまったのですね。
2つが一緒になればどちらが強いやら、どちらが偉いなんて優劣つけられませんね。どうでも良いことなのです。
大切なのは、「互いを認め合うこと」「一緒に生きている大切な仲間なんだと思うこと」なのではないでしょうか。
そう、さんかくでも、まんまるでも、かやくご飯でも混ぜご飯みんな仲良し、みんなそれぞれイイ味だしてる!なのです。
おにぎりの世界の話ですが、まさに今の人間の世界を暗示しています。同じ人間なのに、国の違い、人種の違い、肌の色の違いで、いがみ合っています。三角おにぎりと、まんまるおにぎりがいがみ合っているのと同じです。
おにぎりたちが、自分たちと形が違うと言って、お互いにいがみ合うのは滑稽ですよね。そんなことで、戦争までするなんて馬鹿げていると思います。
でも、自分の胸に手を当てて考えてみたら・・・どうでしょう。なんとなく、自分たちと違うと思える人を毛嫌いすること、誰にでもないでしょうか。
おにぎりの国みたいに、ケンカのあとは平和になれたらいいね。
子どもにも本書を通して、みんなが仲良くする方法について、何かしら感じてもらえたらいいな。
- 作品名:おむすびころりんはっけよい!
- 著者名:作 森くま堂 絵 ひろかわさえこ
- 出版社:偕成社