ぎょうれつのできるすうぷやさん

お料理が大好きな子にピッタリ!動物も沢山登場し、隅々まで色彩が温かく美しい絵本★

☆特徴

  • 「ぎょうれつのできる」シリーズ7作中の1作。
  • 温かみのあるタッチの絵で、隅々まで丁寧に描かれている。
  • 食いしん坊の若い動物達と、年老いてなかなか昔のようには動けないおばあさんトカゲ。
  • 互いに助け合う事で、美味しいスープが食べられて、素敵なスープ屋さんができた。
  • 見ているだけで美味しい匂いが、本から溢れ出てきそう。
  • よだれが出そうになる程美味しそうに、野菜やスープが描かれている。
  • 動物達の毛1本1本を丁寧に描いていて、それぞれの動物が生き生きしている。
  • 「さわやかおまめのすうぷ」レシピ付き。

☆読み聞かせのポイント

  • 「おそろしいまじょのいえ」と書かれた看板。中からいい匂いがするものの、いばらで中が全く見えない。でも見えない物はなおさら中を覗いてみたいもの。どんな場所なんだろうね?想像が広がりますね。
  • おばあさんトカゲは、本当は1人で食事している方が良かったのかな?本当は誰かを招いて一緒に食事をしたかったのではないかな?どう思いますか?
  • 野菜達が畑でとっても美味しそうに実っています。野菜が苦手な子にも、そうでない子にも、「こんな風にトマトは育つんだね」など、話してあげるとよいのではないかと思います。
  • お子さんと本書を読んだ後、スープ作りにチャレンジはいかがでしょう?切るのが難しければ洗ったり、房から豆を出すお手伝いしてもらっても◎そしてトカゲのおばあさんのように「美味しくなあれ!」と呪文を唱えれば、野菜が苦手でも、きっと食欲も湧きますよ♬食べれなくても◎
ぎょうれつのできるすうぷやさん 表紙

☆あらすじと書店員の感想

なぜ、とかげのおばあさんは門を閉じていばらで家の周りを囲ったのか。本当に誰かに入って来られるのが嫌だった?

トカゲのおばあさんはわざわざ門に【はいるべからず。おそろしいまじょのいえ】と看板を門に掛け、動物達を遠ざけようとしていました。

それはどうしてなのでしょう。

ハリネズミが入ってしまった時、おばあさんはこう言いました。「森の動物達はくいしんぼうだから、お客に来られたらトカゲの小さな鍋で作っても足りないに決まっている。」と。

きっとここにおばあさんの真の気持ちが込められていると思いました。その後、動物達が門の中に入って来た時の行動を見てもきっとこういう事だと私は感じました。

【誰かに食べさせてあげたいけど、年をとった自分の力じゃ沢山の野菜を収穫したりカットして煮込んだり出来ない。美味しいスープを作ってあげたくても自分だけではもてなしてあげることが出来ない。】と考えたのではないでしょうか。

1人だけとか2人だけとか制限する訳にもいかないし、だったらいっそのこと、誰も来ないようにと怖がる看板を立て、いばらで中に入れないようにしたのではないかと思いました。ハリネズミを始め、他の動物が入って来た時に、おばあさんは少し驚いた表情でしたが、嫌そうにしたり追い出そうとはしませんでした。

「仕方がないね。」と少ない量だけどみんなに食べさせてあげるんです。

みんなに沢山のスープを食べさせてあげるにはどうしたらいいでしょう?

トカゲのおばあさんは、みんなに「私の手伝いが出来るかい?」と訪ねました。もちろんみんなは大賛成!おばあさんは座ったまま、みんなに指示を出して手伝いをさせます。そして最後の仕上げである味付けは、「これだけは私の仕事よ!」と言わんばかりに、鍋の前にやってくるのです。そして、魔法のように美味しいスープに仕上げたのでした。

最初にハリネズミがおばあさんの家に招かれた時、キッチンの様子が背景に描かれています。私はこの家の人は絶対料理が大好き!!そして絶対味も抜群に美味しい!!と直感しました。

ぜひ皆さんもチェックしてください!こだわりのハーブや調味料がそろえてありますよ。おばあさんの料理好きがよーく分かるキッチンです。

おばあさんは、みんなが来るのが嫌だった訳ではなく、年をとって力があまりないから沢山作ることが出来ないだけ。おばあさんはお料理が大好きで、本当は森の食いしん坊たちに沢山食べさせてあげたかったのです。

だって畑には1人で食べきれないほどの野菜が育てられていますよ。どうしてでしょう?

それは「いつか誰かが訪ねてきたら作ってあげよう!」と思っていたに違いありません!

次の日から、門の前におばあさんのスープが食べたい動物達の、行列が出来るようになりました。いつの間にはいばらで閉じていた門は開きっぱなしになり、誰もが入れる場所になりました。

トカゲのおばあさんは、動物達がスープを飲みに来る事に対して、もう心配はしていないようです。だって他の動物達がスープを作る手伝いをしてくれるから。森の動物達はまったく嫌がらずに次の日もその次に日もお手伝いを続けた事でしょうね。畑を耕し、必要な野菜を収穫し、調理も手伝ってくれます。

もう一人ではありません。

おばあさんは、みんなの力を借りて、大好きなスープでみんなをもてなすことが出来るようになり、とても嬉しかったのではないでしょうか。

そうでなければラストシーンで、おばあさんは穏やかな顔をしてスープを飲んではいないでしょう。沢山の動物に囲まれて、おばあさんは嬉しそうな表情ですよ★ぜひ皆さんもチェックしてみてくださいね!

そして、行列が出来るほどのスープ屋さんです。きっととっても美味しいんでしょうね。絵からそれが伝わってきます。きっと野菜が好きな子も苦手な子も、味見をしたくなる事でしょう。絵本だから味見が出来ない…と心配はいりません!

裏表紙の内側におまけで、「「さわやかおまめのすうぷ」のレシピが載っていますよ★

ぎょうれつのできるすうぷやさん裏表紙
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。