たんぽぽでんしゃ

たんぽぽでんしゃ 表紙

春の読み聞かせにピッタリ!入園や進級したばかりのお子さんにぜひ読んであげたい1冊!温かく優しい春の、遠足の日、タンポポに願いを込めたナナちゃんのお話です。

☆3つのおすすめポイント

  1. 恥ずかしがり屋のナナちゃん。いつも一緒のロコちゃんがいない遠足は寂しくて悲しくて…。だけど目の前のタンポポを編んで繋ぎながら、ロコちゃんへの気持ちを込めます。
  2. 繋がった長いタンポポのロープを周りのみんなが誉めてくれました。そしてみんなでナナちゃんに届けます。ひとりぼっちだったナナちゃんだったけど、タンポポのロープが他のお友達との仲を繋いでくれました。もう寂しくありません。
  3. ふんわりと温かく優しい描き方。恥ずかしがり屋のナナちゃんの悲しそうな表情・タンポポに気持ちを込めて願う真剣な表情・お友達と電車をして嬉しそうな表情、すべてが優しく、温かい光で見守っているかのようです。

☆際立った特徴

社交的なうさぎのロコちゃんと、恥ずかしがり屋のうさぎのナナちゃん。二人はとっても仲良しで、いつも一緒!しかし楽しみにしていた遠足の日にロコちゃんが風邪をひいてお休みすることに・・・。ナナちゃんは寂しくて不安でいっぱい。遠足へ行くものの、ロコちゃんがいないから、全然楽しめません。

しかし目の前に咲いているタンポポを見て、素敵なことを思いつきます!

「早く元気になあれ。」気持ちをいっぱい込めて、ロコちゃんへのプレゼント。

そしてその繋いだタンポポが、楽しくて嬉しくて、素敵な奇跡を起こします★

参考文献:KUMONがうた・読み聞かせを応援「ミーテ」 

作者ひろかわさえこあんインタビュー 【絵本の読み聞かせは、子どもの安心につながる】

☆あらすじ

グレーの毛色のうさぎのナナちゃんと、茶色い毛色のうさぎのロコちゃん。二人はとっても仲良しです。

もみのきえんへ行くときも、ままごとをする時も、ブランコで遊ぶ時も、お弁当を食べる時も、いっつも一緒です。

元気なロコちゃんは他のお友達とも仲良しです。しかし、恥ずかしがり屋のナナちゃんはなかなか他のお友達と遊べません。

今日は遠足の日です。

いつも迎えに来てくれるナナちゃんが、今日はなかなかやってきません。

その時ロコちゃんのお母さんがやってきました。

ロコちゃんは風邪をひいて、遠足をお休みするというのです。

ナナちゃんは、泣きそうになりました。ななちゃんが行かないなんて・・・。

遠足をお休みしたくなったナナちゃんは、なんとかお母さんに勇気づけられて遠足へ行くことにしました。

真っ青な空の良い天気。他のお友達は楽しそうに遊んでいます。

でもナナちゃんはちっとも楽しくありません。先生やお友達が誘いに来ても、下を向いて首を振ります。

ナナちゃんはみんなから離れて草の中にしゃがみました。そこには黄色いタンポポが沢山咲いています。

ナナちゃんはタンポポを1輪手に取って、良い事を思いつきました。タンポポを長く長く繋いで編み始めました。

夢中で編んでいるうちに、長く長く繋がっていました。友達もたくさん集まってきました。

とっても素敵なプレゼントを、みんなでロコちゃんに届けることにしました。長いタンポポのロープを、みんなで一列になって持ちました。まるでタンポポの電車のようなで、みんなは大喜び!タンポポでんしゃの先頭は、ナナちゃんです。みんなで歌いながら歩きました。

ロコちゃんのお家につくと、先生がナナちゃんのお母さんに話をして、風邪をひいているロコちゃんは、窓のカーテンを開けて外を見ました。すると・・・

みんなが窓の外で横に一列になってタンポポのロープをロコちゃんに見せました。

ロコちゃんは、笑って手を振りました。

ナナちゃんは、みんなの真ん中で、ロコちゃんに、一番大きく手を振りました。

たんぽぽでんしゃ 裏表紙

☆書店員の感想

恥ずかしがり屋のナナちゃん。いつも一緒のロコちゃんがいない遠足は寂しくて悲しくて…。先生やお友達が誘いに来てくれますが断ります。まるで自分から心を閉ざしてしまったかのように・・・。

ナナちゃんとロコちゃんはとっても仲良し!いつも隣で遊んでいます。そんなナナちゃんは、とっても恥ずかしがり屋。ロコちゃん意外とはなかなかお話したり、遊んだり出来ません。ロコちゃんの後ろに隠れてしまいます。

一方ロコちゃんは社交的!みんなとお話したり遊べます。ナナちゃんが困っている時には、お姉さんのように守ってあげます。

そんな頼りにしていたロコちゃんが、待ちに待った遠足日に風邪をひいてお休みすることになりました。ナナちゃんは、ロコちゃんがいないなら、私も行きたくないよ!と泣きそうになってしまいます。

しかし、ナナちゃんのお母さんはナナちゃんの気持ちが全部分かったうえで、「遠足にいっておいで」と優しく声をかけました。【大丈夫 大丈夫。】ナナちゃんを抱きしめながら、優しくナナちゃんに勧めます。

そして、勇気を出して遠足へ行ってみるのですが、ロコちゃんがいない遠足は、ちっとも楽しくありません。先生やお友達が誘いに来てくれるのですが、断ってしまいました。ナナちゃんは下を向いたまま・・・ひとりぼっちです。「ロコちゃん以外は嫌だな・・・」ともしかしたら思っているのかもしれません。

繋がった長いタンポポのロープを周りのみんなが誉めてくれました。そしてみんなでナナちゃんに届けることになりました。ひとりぼっちだったナナちゃんだったけど、タンポポのロープが他のお友達との仲を繋いでくれました。もう寂しくありません。

一人草の中でしゃがんでいたら、タンポポが目の前に広がっていることに気がつきました。可愛らしく咲くタンポポを一輪摘んだ時、フッとナナちゃんは思いつきました。

タンポポを一輪一輪編みながら、「ロコちゃんに早く元気になあれ。元気になあれ」と願いを込めます。想いが通じてロコちゃんが来てくれるかもしれないと、願っていたのです。しかし、ロコちゃんはもちろん来ませんでいた。

そのかわり、先生や他のお友達がナナちゃんの周りに集まって来てくれました。そして、『すごいね!上手だね!きれいだね!』と誉めてくれるのです。ななちゃんはだんだん嬉しくなって、恥ずかしい気持ちはあるけれど、勇気を出して「これ、ロコちゃんに編んだの・・・」と答えました。そんな気持ちが先生や他のお友達に伝わります。

ロコちゃんの所へこのタンポポのロープを届けに行くことになったのです。一列になってみんなでロープを持って、長い電車のようにして運びます!

『ロコちゃんち行きのタンポポでんしゃ、しゅっぱーつ!』先生の粋で素敵な声がかかりました。みんなはニコニコ笑顔で歩き出しました。心はウキウキワクワク♩

野原をゆっくりと歩きながら、タンポポでんしゃはロコちゃんの家まで向かいます。

そしてロコちゃんの家に着くと、窓の外からみんなでロコちゃんに『早く元気になってねー!』と声を揃えて言いました。

ナナちゃんはもう、ひとりぼっちではありません。

タンポポのロープを持ったみんなの真ん中には、ナナちゃんの笑顔と大きく手を振る姿がありました。

ふんわりと温かく優しい描き方。恥ずかしがり屋のナナちゃんの悲しそうな表情・タンポポに気持ちを込めて願う真剣な表情・お友達と電車をして嬉しそうな表情、すべてが優しく、温かい光で見守っているかのようです。

画用紙に黒で縁どられた線の中に、水彩絵の具で描かれているような、優しくふんわりとした作風です。どのページからも春の風が吹いているいるかのようで、とても温かみがあります。

恥ずかしがり屋のナナちゃんが、大きく成長した遠足の日の出来事を温かい目線で描いていると思いました。

ラストシーンのナナちゃんの姿は、恥ずかしがり屋で自分から心を閉じてしまったナナちゃんと大違いです!とっても楽しそうで嬉しそうなナナちゃんの姿です。それはきっと、ナナちゃんが編んだタンポポのロープのおかげかもしれません。

「ロコちゃんに会いたい!」という気持ちが、ナナちゃんの想いとはちょっぴり違った形で叶ったのです。

ロコちゃんに会いに行けただけでなく、他のお友達との心まで繋いでくれた、タンポポのロープなのでした。

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。