まあすけのぼうし
自転車に乗れるように一生懸命練習しているまあすけ。そんなまあすけへ、やぎのおじさんが不思議な帽子をくれて…?頑張っているお子さんへ、優しい気持ちとエールをくれます!ほっこりしたいときにもピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- 自転車の練習を頑張るまあすけ!マイペースに、ぼちぼちと頑張ります。やぎのおぎさんにもらった帽子をかぶると、不思議なことに…あれあれ、乗れちゃった!?
- 不思議な帽子を、自転車の練習をしているごりすけにあげたまあすけ。まあすけの優しさにほっこり、温かい気持ちになります。
- なにかに頑張っている子に、温かい気持ちでエールを贈りたくなります。焦らなくていいよ、マイペースに…と、大人も子どもも前向きな気持ちになれそうです。
☆あらすじ
森の中にある、まあすけのお家。ここでまあすけは自転車に乗る練習をしています。
お母さん、見て!と見てもらいますが、ふらふら…。
がっしゃーん!と転んでしまいました。まだうまく乗れないようです。
それでも元気いっぱいなまあすけは、はらっぱに行って練習することにしました。
すると… また転んでしまいました。
その様子を見ていたやぎのおじさん、まあすけに白と青のしましまの帽子をあげました。
「これをかぶると、自転車に乗れるようになるよ」と言いました。
その帽子をかぶって自転車に乗ったまあすけ。
不思議なことに、やぎのおじさんの言う通り、自転車にすいすい乗れるようになったではありませんか!
…と、思って乗っていると、風が吹いて帽子が飛んで行ってしまいます!
いくら探しても帽子は見つかりません。
すると、飛んできたペリカンがまあすけの帽子を被っていました。
ぼくの帽子を返して~!と、まあすけは自転車で追いかけます。
ペリカンは自分の帽子だと言いながら、止まることなく飛んで行ってしまいます。
ペリカンを追いかけていると、小屋の屋根の上に帽子が落ちていることに気付きました。
ぼく、間違えて追いかけていたんだね、ペリカンさんごめんね、と、まあすけは恥ずかしい気持ちで謝りました。
でも、ペリカンを追いかけているうちに、まあすけはもう自転車に乗れるようになりました。
そこへ、自転車に乗る練習をしているゴリラの親子がやってきました。
ちょっと前のまあすけのように、ふらふら…としています。
そのようすを見ていたまあすけ。「ぼくの帽子あげるよ、これをかぶると自転車に乗れるようになるよ」、と言い、ゴリラの男の子に帽子をあげました。
ゴリラの親子は大喜び。まあすけもニコニコ顔で自転車にすいすい乗りました。
☆際立った特徴
「11ぴきのねこ」で大人気の馬場のぼるさんの作品です。生誕90周年記念で復刊されたまあすけの絵本です。
こぐまのまあすけが一生懸命自転車に乗る練習をしている姿が可愛らしく、応援したくなります。そして、最終的にごりすけに不思議な帽子をあげるまあすけ。相手を思いやる気持ちを持った優しいまあすけに、温かい気持ちになるお話です。
子どもが自転車に乗れるようになる練習をすることって、みんな一度は通る道かなと思います。
昔を思い出して懐かしい気持ちになったり、これから自転車に乗る練習をする子のエールになったり、読む子それぞれ楽しめる1冊です。
絵本の大きさは24㎝×19㎝の縦長で、黄色の背景が可愛らしい、目をひく絵本です。
☆書店員の感想
●自転車の練習を頑張るまあすけ!マイペースに、ぼちぼちと頑張ります。やぎのおじさんにもらった帽子をかぶると、不思議なことに…あれあれ、乗れちゃった!?
森の中にまあすけは住んでいます。
お母さんが窓から見守っている中、まあすけは自転車の練習をしますが、すぐに転んでしまいます。
お母さんも始めはにこにこと見ていましたが、まあすけが転んだときには玄関に出てビックリしています。
しかしまあすけはそれでもめげずに、はらっぱに行って練習することにしました。
はらっぱなら木もあまりなく、広々と自転車をこげますね。
けれど、ふらふら…。
ついにはがっしゃーん!と転んでしまいました。
その場面を見ていたやぎのおじさんもビックリ!やぎのおじさんは、トラックから帽子を出してかぶせてくれました。トラックの荷台には、同じ帽子がいくつものっています。
これをかぶるとすぐに乗れるようになるよ、とやぎのおじさんに言われたまあすけ。気持ちは前向きに、ますます自転車の練習に励みます。
子どものときって、大人の人から「これは○○にいいよ」等言われたら、本当にそういう良いことにつながると思うような気がします。自分の時も、詳しくは覚えていないですが、そういう経験があったような気がします…。
まあすけも帽子をかぶるとあっという間に上手に自転車に乗れるようになりました。不思議なパワーがある帽子なのか、気持ちの持ちようなのか、そこはやぎのおじさんとまあすけにしか分かりませんね。
遠くから、やぎのおじさんも見守っています。
そのあと、飛んで行った帽子を取り返そうとペリカンを追いかけるまあすけ。帽子をかぶっていなくても、うまく自転車に乗ることができました。きっとこれで自信がついたのでしょうね。ペリカンさんにごめんねと言い、もう自転車に乗れるようになったことを嬉しそうに思っているような表情や気持ちが溢れるページにも思いました。
●不思議な帽子を、自転車の練習をしているごりすけにあげたまあすけ。まあすけの優しさにほっこり、温かい気持ちになります。
まあすけは、帽子をかぶったまま自転車で進んでいると、前からごりすけがお父さんに自転車を押してもらいながら進んできました。
その様子を見ていたまあすけ。
まあすけの、自転車に乗れるようになる不思議な帽子をごりすけにあげました。ごりすけはとっても嬉しそうです。背景も黄色でふんわり塗られ、優しい気持ちと嬉しい気持ちがいっぱいの、温かいページのように感じました。見ていて心がほんわかしてきます。
最初はまあすけがやぎのおじさんにもらった帽子。これをかぶると本当に自転車に乗れるようになるのかな?と乗り始めると、すぐに乗れるようになった不思議な帽子です。そのような大切なものですが、ごりすけのようすを見ていてすぐに帽子をあげられたまあすけの優しさが素敵です。やぎのおじさんからもらった優しさを、今度はまあすけからごりすけに渡すことができました。優しさの連鎖がつながっているような、こうして優しさが世の中に溢れていくといいな、と思いました。
●なにかに頑張っている子に、温かい気持ちでエールを贈りたくなります。焦らなくていいよ、マイペースに…と、大人も子どもも前向きな気持ちになれそうです。
馬場のぼるさんの、ほのぼのとした優しい雰囲気のくまのまあすけ。見守るお母さんの表情も温かいです。色は水彩画のように塗られていて、全体的に原色のような強い色はなく、優しく柔らかい印象を受けます。
背景で描かれているお花も、白いものからピンク、アザミのような花や、黄色の花で枝が長いものなど、場面ごとに花も描き分けられていて、可愛い雰囲気がプラスされています。
シンプルなタッチのイラストですが、まあすけやごりすけなどの登場人物の表情がその時ごとにピッタリな感じで、キャラクターごとの気持ちがとても伝わってきます。
子どもがなにか頑張っているとき、ちょっと不安になるときもありますよね。
まあすけのように、やぎのおじさんから不思議な帽子をもらい、気持ちが元気に、落ち着いて練習できたとすれば、とっても嬉しいことですね。一種のおまじないのようなものでもあるかもしれません。
ものでも言葉でも、気持ちを安心させ、落ち着いてマイペースに頑張ろうと思えるような関わりを子どもとしていきたいなと思いました。
そして、まあすけの優しさも伝わるように思います。自分と同じように自転車の練習を頑張っていたごりすけだから、どんな気持ちで頑張っているかなど、相手の立場になって気持ちを考える、寄り添うことがまあすけはできたように思いました。だから、今のごりすけにこの帽子をあげたらきっとすぐに自転車に乗れるようになるんだろうな、喜んでくれるだろうな、そう思って迷わず帽子をあげることができたように感じました。
きっと子どもたちの日常生活の中でも、困っている相手に対して自然と優しい気持ちで「大丈夫?」「どうぞ」と声をかけたり、相手の気持ちに耳を傾けたり、そういった場面は自然と出会い、実践しているのかもしれません。そういったことも想像しながら、身近な優しさ、素直で率直なかかわりの温かさの良さを改めて感じることができました。
絵本を読んでいて、まあすけやごりすけのことを応援したくなりますし、ゆったりと優しい内容の絵本で、絵本の帯に書かれているように親子で心がほっこり・温かくなる絵本のように思いました。