まてまてタクシー
まてまてタクシー!忘れ物を乗せたまま、タクシーが行ってしまいました!どうしよう!ハットさんがタクシーを追いかけ、奮闘する物語です。
☆3つのおすすめポイント
- ハットさんが、大切なものをタクシーに忘れてしまいました!タクシーで自宅まで来たのに、タクシーを追いかけて町まで行ってしまうちょっと愉快なお話です。
- ハットさんの仕草や表情、出てくる動物たちもひょうきんなようすでほのぼのします。優しく、面白さも感じられる絵のタッチです。
- お子さんの好きな乗り物はありますか?まちなかを見て、様々な乗り物を観察してみるのも楽しそうです。
☆あらすじ
ハットさんという男の人が、タクシーに乗って自宅まで帰ってきました。
家に入ろうとすると…
タクシーに忘れ物をしてしまったことに気づきます!
「おーい、タクシー!」と呼びますが、聞こえません。
ハットさんはタクシーを追いかけ始めました。
水たまりを飛び越えて、牛さんに乗り、坂を登って・転がり落ち、町まで来ました。
タクシーはどこに行ったのでしょうか?
道は渋滞中。似たようなタクシーがたくさんいて、どこにいるのか分かりません!
あっ!と見つけますが、その瞬間にタクシーはまた走り出してしまいました。
ハットさんは諦めて、とぼとぼ家に帰ります。
ハットさんが家に着くと、ちょうどさっきのタクシーが家に来てくれました!
運転手さんが忘れ物に気づいて届けてくれたのです。
ハットさんがタクシーに忘れていたのは、ハットさんが大好きなドーナツでした。
ハットさんは、運転手さんと一緒に美味しくドーナツを食べました。

☆際立った特徴
まてまてタクシー、つかまえたいのになかなか追いつかない!歯がゆい、あわててしまう気持ちがドキドキとさせてくれます。タクシーを一生懸命追いかけるハットさんのようすも、山あり谷ありで楽しめます。
また、車やタクシーがたくさん並んでいるところは、タクシーの模様などで違いがありますので、見比べながら探す遊びもできます。
また、ハットさんの大切な忘れ物ってなんだろう?と想像が膨らみます。最後に「忘れ物」を運転手さんと一緒に楽しむようすも、ほっこりとさせてくれます。
☆書店員の感想
●ハットさんが、大切なものをタクシーに忘れてしまいました!タクシーで自宅まで来たのに、タクシーを追いかけて町まで行ってしまうちょっと愉快なお話です。
黒い素敵な帽子をかぶったハットさん。タキシードのような服装で、ちょっと紳士的な雰囲気です。そんなハットさんが、タクシーに大切なものを忘れてきてしまいました。
しまった!!と、忘れ物をしてしまって、気づく瞬間ってありますよね。私も忘れ物をしてしまうことがよくあるので、ハットさんのこの時の気持ちがよく分かる…と思って読み進めていきました。(笑)
タクシーも仕事中なので、次のお客さんのところへ急いでいかなければなりません。追いかけるハットさんのようすには気づくことはありませんでした。追いかけるハットさん、水たまりをぴょーんと飛び越えます。牧場の牛にまたがり、3頭の牛と一緒に追いかけます。そして、坂をのぼり、頂上から転げ落ち…この山あり谷ありの追いかける様子が、次男はとても楽しかったようで、何度も見て笑っていました。
追いかけても追いかけても、追いつかない… 手を挙げればつかまえられるタクシーも、このときばかりは止まってはくれませんね。ハットさんは諦めて家に帰ってしまいます。
けれど、家に帰るとタクシーの運転手さんが家まで届けてくれました。いっぱい走ったあとのドーナツ、とても美味しかったでしょうね。タクシーの運転手さんとどんな話をしながらドーナツを食べたのでしょう?想像が広がります。
●ハットさんの仕草や表情、出てくる動物たちもひょうきんなようすでほのぼのします。優しく、面白さも感じられる絵のタッチです。
忘れ物に気付いた時のハットさんのびっくりした表情、汗だくで坂を登っているときの必死な表情や、膝を抱えながら坂をころころ転がって下るようすなど、ページごとにいろんな表情や様子が見られて、お話が進むほど楽しくなってきます。牧場の牛たちもゆったりとした表情をしているけれど、急いでいるハットさんを乗せて嫌な顔をせず走ってくれたので、優しい牛たちだなと思いました。町に来て、道を指差しているブルドッグのような犬も、大人びているような落ち着いたようすでタクシーが進んだ方向を教えてくれます。犬が出てくる町の家の屋根の色の組み合わせや、木々、道の色など、ほのぼのとしています。慌てているのはハットさんだけといった感じで、急いでいるハットさんの気持ちがますます伝わってくるように思いました。
町で渋滞の中、車や似たようなタクシーたちが信号待ちをしています。タクシーはみんな黒色で同じようですが、車体の模様や運転手さんの特徴から、ハットさんが探しているタクシーが見つかりそうです。お子さんとじっくり探してみるのも楽しめそうです。
とぼとぼ帰るハットさんを心配そうに見つめる犬も可愛らしく感じてきます。ハットさん、タクシーで家に帰ったのに町まで出て、今度は歩いて家に帰る… ちょっとショックですね。なんといっても忘れたのは、ハットさんが大好きなドーナツ!大好きなものを食べたくて買ってきたのに忘れてきてしまう… わたしも同じ状況だったらきっと大ショックだろうなと思いました。
ハットさんと運転手さん、二人でドーナツを食べている姿も、飲み物の温かそうな湯気と美味しそうな素朴で温かみを感じました。
●お子さんの好きな乗り物はありますか?道路を見て、様々な乗り物を観察してみるのも楽しそうです。
お子さんは何の乗り物が好きですか?次男は乗り物全般いろいろ好きなのですが、まだ3歳9ヶ月のかわいい人生の中で一度だけタクシーに乗ったことがあり、それがとても楽しく印象強かったようで、今もタクシーが大好きです。それも、乗ったのは2歳9ヶ月のころ。京都に旅行に行き、ホテルと駅の間の片道5分ほど祖母と乗っただけなのですが、それから1年たった今でも「タクシー乗ったね、楽しかったね」と言ってくれます。道を歩いていてタクシーが通ると、「あ!タクシー!」と反応します。そのこともあって、このまてまてタクシーも大好きで、何度も何度も読んでいました。そして決まって、「またタクシー乗ろうね」と言っています。自家用車で移動するのが中心の地域なのでなかなかタクシーに乗る機会がないのですが、今度なにかのときに一緒に乗ってみようかなと思います。
町にはいろんな色の、いろんな模様など描かれたタクシーが走っていますね。この絵本のワンシーンのように、どんなタクシーが走っているか、散歩の途中などに観察してみるとさらに楽しいかもしれないように感じました。
