ピンクはおとこのこのいろ
ランドセルを何色にしようか?と悩むようになった頃(年中さん・年長さん)の子にピッタリ!君は何色が好きかな?
☆際立った特徴
- 「色」に注目した絵本。
- どんな色が好き?男の子も女の子も全部好き。
- 様々な髪や肌の色の子ども達が登場。
- 車いすやメガネも全部個性的で素敵!
- 訳の言葉が印書的。どんな角度からも楽しめる。
- 色を男女で区分けするって面白い考え方でもあるし、どんな色も誰でも似合うよと伝えている。
- 「個性=色」という見方もできる。
※出版社の紹介文一部。「SDGsの目標のひとつに掲げられた「ジェンダー平等を実現しよう」
色をテーマに、やさしい絵と文章でえがかれています。」
☆読み聞かせのポイント
- 「黒は男の子の色、赤は女の子の色」と言い始めた年頃にピッタリの絵本。どんな色もみんなが似合うし、選んでも自由なんだよねと話してあげましょう!(色を男女で区分けしちゃう事って誰にでもあるのかもしれません!自然な現象かも)
- 沢山の人種の子や、車いすの子、メガネの子など描いています。あえてピックアップする必要はなく、普通に読んであげてください。障害や人種についてあえて話さなくてもそれが普通な世の中に、ぜひもっとなって欲しいですね。(純粋にお子さんが疑問に思った事に対して、保護者として伝えたい事を答えてあげるのが良いのではないでしょうか。)
☆あらすじ
ピンクは、男の子も女の子も好きな色。
オシャレするのにピッタリだよ!女の子はリボンに、男の子は蝶ネクタイに。
青色は、女の子も男の子も好きな色。
野球のユニホームの青色がカッコいいね!
黄色は男の子も女の子も好きな色。
黄色の画用紙で冠を作ろう!大きな宮殿の王子様とお姫様みたいだね!
緑色は女の子も男の子も好きな色。
可愛い花を摘んだよ。一緒に遊ぼう!さあ、草の上を駆け回ろうよ!
赤は男の子も女の子も好きな色。
サーキットで競争しようか。赤色みっけ!サーキットの旗もポールも道も車にも!
オレンジ色は女の子も男の子も好きな色。
オレンジ色のアイスキャンディは最高だよ!君にもあげるね。はいどうぞ。
紫色は男の子も女の子も好きな色。
紫色の風船のユニコーン。もしもユニコーンが本物だったら、一緒に乗ろう!そして空を自由に飛んでいこう!
茶色は女の子も男の子も好きな色。
茶色いテディベアのプレゼントが届いたよ。「ギュッ」とっても大きくてかわいい!
白と黒は男の子も女の子も好きな色。僕らの家の白黒のブチ模様の犬としま模様のネコ。ナデナデするととっても可愛いよ。
どんな色もみんなの事が好きなんだよ。男の子の事も、女の子の事も。
お花も虹もちょうちょも、世の中にある色はみんな、とっても素敵だね。
☆書店員の感想
私達は様々な色の中で過ごしています。世界のどこにも1つとして同じ色はない程数えきれない色たちです。そして、私達には好みの色がそれぞれありますよね。全部の色が好きという方もいれば、この色が好き!という決まった色がある方もいれば、でもその日の気分で毎日違う方もいるかもしれませんね。
逆に、嫌いな色があったり、何となく苦手だと思う色があるかもしれません。
さて、「色」について書かれた本書を少し違った目線からも読み取ってみましょう。
私達に色の好みがあるように、色にだって人の好みがあるかもしれない。好む場所があるのかもしれない。その物を活かすのにピッタリの色があるのかもしれない。
何度か読んでいるうちにそんな風に考えるようになりました。色にも希望や思いがあるのでは?
そう考えると面白いでしょ?私はどんな色に好まれているのかな?みなさんはどんな色が好きですか?
●色を男女で分けたがる不思議な現象。
先日、5歳の娘に言われたのですが、「黒や青は男の子の色だよね」「ピンクは女の子ね」と急に言われたんです。今のところ、ランドセルの希望は水色だそうです。色を意識する年頃なんでしょうかね。
色を男女で区分けするって面白い考え方だと思いませんか?別にそれを悪い事・良い事とも私は思いません。そんな考えを持っても良いと思うからです。
私も小さい時は黒や青は男の子で、赤やピンクは女の子で、オレンジや緑は・・・どっちかなーと悩んだことがあります。年中か年長さん位の時だったと思います。
この話をし出した今の娘と同じ年頃です。やっぱり『もうすぐ小学生=ランドセルの色を選ぶ』だからなのでしょうか。でも男女で区分けするって・・・ほんとに不思議で面白いこの年齢独特の考え方のように思いました。
ちなみに私は、今のところランドセルの色問題に今後直面する娘には、「女の子が黒のランドセルを選んでも素敵だし、男の子がピンクの服を着てもカッコいいよね!だから〇〇ちゃんの好きな色を選べばいいよ。」と伝えています。さあ、何色を選ぶのか今から楽しみです♬
本書で描かれている沢山の色や、その色を紹介している子ども達の様子には、どんな意味があるのかな?と改めて見てみると。とっても素敵な発見がありましたよ!
そして「色」って、人間にとって心を表す鏡であり、とても身近な存在だなと感じました。町中にある色もそうです。
私達の気持ちを高揚させたり落ち着かせたり、和ませたり癒したり、TPOに合わせた様々な効果があります。
様々な個性を「色」と表現することがありますよね。ラストシーンは、登場人物たちが全員集合して、虹の下をニコニコと笑顔で仲良く歩いていく様子を描いています。
肌や髪の色が違ったり、車いすの子やメガネの子もいます。
このページを見ると、「沢山の色があって良い。髪の色も色々あって、肌の色も様々で、車いすもメガネも1つの個性。とっても素敵でカッコよくて魅力的!!そしてみんな友達!」と、きっと作者は伝えたかったのではないかと思いました。みんなの中に差別はなく、国境や障害もなく、今も未来も、きっと平和で豊かで争いのない世界が続くといいなと感じました。
海外の本の面白さと、日本語訳の素晴らしさと込められた想い。
海外の絵本だからこそ日本語に訳す時、その国の言葉にはあって日本語に無い表現ってきっとあるんだと思うんです。そんな時、日本語訳をどうしているのでしょうか。とにかく絵本についてよく考えて、伝えたい事の本質を変えないように、そして子ども達にも伝わりやすいように、日本語の中で何が適切なのか言葉を選んでいるんだと思うんです。
逆に言えば、どう訳すのかによって、絵本の伝えたい事は一体何なのかが、微妙に変わってくることがあるのではないかと思うのですが、本書を訳されたロバートキャンベルさん。
すごいなと思いました。微妙なニュアンスで訳しています。
だからそこ”あらすじ”を書くのが難しかったです・・・。
色が私達を好きなのか、私達がその色を好んでいるのか、どちらともとれる文章で表現されています。
難しいかも・・・と思わないで下さいね。どちらでもいいのだと思うんです。あなたが自由に感じられるようにと願いが込められているように思います。
ぜひ、沢山の方に手に取って、様々な想いを感じて欲しいと思える絵本でした。
- 作品名:ピンクはおとこのこのいろ
- 著者名:文 ロブパールマン 絵 イダカバン 訳 ロバートキャンベル
- 出版社:KADOKAWA