ピンポーン
ピンポーン!と家のチャイムが鳴った先には、誰がいるでしょう?シルエット遊びが楽しい、チャーミングなタッチの絵本です。誰かな?何かな?と想像してみましょう。
☆3つのおすすめポイント
- 「ピンポーン」と、つぎつぎ動物たちのお家のチャイムが鳴っていきます。誰が来たかな?何が届いたかな?と楽しみになってきます。
- 動物たちのシルエット、影にするとこんなふうになるんだという新たな視点が芽生えそうです。また、これはどんな影になるかな?と興味を持つ楽しさが広がります。
- 「ピンポーン」という音、なにか特別な感じがしますね。お家や乗り物など日常にありますが、しょっちゅうは押さないもの。聞いてみたいし、ついつい押したくなりそうです。
☆あらすじ
ネコちゃんの家です。ピンポーンと玄関からインターホンの音が聞こえます。誰か来たのかな?シルエットが見えますね。
玄関を開けると黒猫の宅配員さんが、お届け物を届けに来てくれていました。お届け物も包装紙に包まれていて、更にシルエットになっています。これはなんでしょう?お楽しみです。
今度は犬くんのお家。ピンポーンと鳴り玄関に向かうと、黒いシルエットが。一体誰でしょう?犬くんのところには、犬の配達員さんが来てくれて、丸いお届け物を届けてくれました。中身はなんでしょう。楽しみですね。
次のお宅はペリカンちゃんです。ピンポーンとチャイムが鳴ります。玄関に行ってみると、不思議なシルエットが。さてさて、ドアを開けてみると…。大きいお口のペリカンさんでした。何やら配達してくれましたが、中身は何でしょうね。
お次はコアラさん。ピンポーンと鳴りましたので、玄関に向かいます。面白い形のガラス越しに、何やら黒い形が見えます…。玄関を開けると、コアラではなくカンガルーの宅配員さんでした。なにか包まれたものを配達してくれました。中身がとっても気になります…。
最後にキリンさん。ピンポーンと鳴って向かった先には、大きな黒いシルエット。玄関を開けると、キリンかと思いきや、ぞうの宅配員さんでした!黄緑色に包装紙で包装されたものを持っています。
みんなのお家に何が届いたのかな?公園では、みんなお気に入りのものを持って出かけています。みんなとっても嬉しそう!みんな、「ピンポーン!」の音が大好きです。
☆際立った特徴
「ピンポーン」という玄関のチャイムの音に注目した内容と、宅配員さんが配達してくれるものへのワクワク感、シルエットを見て、何かな?と想像する楽しさが詰まっています。
また、いろんな動物が可愛く登場してきますので、何の動物かなと見ていくのも楽しめますし、動物の名前を覚えたり、動物や物をシルエットにするとこんな形になるんだという新たな発見にも繋がります。
子どもたちの好奇心をくすぐるような、明るく、何度も見たくなる絵本です。

☆書店員の感想
●「ピンポーン」と、つぎつぎ動物たちのお家のチャイムが鳴っていきます。誰が来たかな?何が届いたかな?と楽しみになってきます。
パッと目をひく黄緑色の表紙。ピンクの屋根のお家に、窓の部分がお目々になっていて、足もあります。この可愛いお家からピンポーンとなっているような表紙になっています。ピンポーンとなったらどうなるのかな?と気になってくるようです。裏表紙の宅配員のようなドアップの顔もインパクトがあります!誰のお家に来た宅配員さんかな?ぜひ探してみてください。
いろんな動物たちのお家に、ピンポーンの音が響きます。ネコちゃんのお家には、可愛いピンク色の魚の絵が飾ってあります。ネコの配達員さんが届けてくれたものは、傘のような形をしています。包みはピンクの水玉模様ですが、中身は青の水玉模様の傘でした。最後のページの公園でとっても嬉しそうにさしています。
犬くんのお家は、玄関の取っ手が骨の形になっています。ガラスの形もかまぼこの形のようになっていて、それぞれのお家の違いを見ていくのも面白そうです。
犬くんにはステキなボール、犬の配達員さんから受け取ったときにはサッカーボールのように包装されていましたが、開けてみると、真ん中に帯のように飾りが描かれた青いボールでした。犬くん、公園で元気いっぱいボールと一緒に駆け回っています。
ペリカンさんのお家は、玄関の取っ手が魚です。配達員さんの特徴的な大きな口が目立ったシルエットです。届いたものは、不思議な形。一見手紙のようにも見えましたが、いえいえ、これはおしゃれなペリカンさんへのバッグの贈り物でした。魚の絵が描かれた赤いバッグを頭にのせて、得意げに公園を散歩しています。
コアラさんのお家の玄関窓は楕円の左右真ん中あたりをへこませたような、特徴的な形をしています。届いたものは、なんとギター!公園では、木の上で演奏して楽しんでいます。
キリンさんの家には、ながーい背もたれの椅子が。首の長いキリンにピッタリです。キリンのお家には、黄緑色の自転車が届きました。楽しそうにサイクリングを楽しんでいます。
●動物たちのシルエット、影にするとこんなふうになるんだという新たな視点が芽生えそうです。また、これはどんな影になるかな?と興味を持つ楽しさが広がります。
動物たちのお家に来る宅配員さんの影。一体誰かな?と、黒い影の形から想像する楽しさが膨らみます。ネコかな?犬かな?と思い、ページを開くと、宅配員さんが手に持っているお届け物がまた更になにかのシルエットになっていて、想像がさらに続いていきます。また、宅配員さんの姿が明らかになっているページでは、今度は玄関に出た動物のほうがシルエットになっていて、この変化も面白いなと思いました。また、正面からのシルエットが続きますが、ペリカンになったとき、横からの影でペリカンの特徴がとてもよく伝わって来ました。もしこれが前から見た影だとどうかな、他の動物を横から見てみるとどんな影になるのかな?と考えてみてもいろいろ想像が膨らみそうです。
また、自分の影ってどうなっているんだろう?と見てみたり、お届け物のシルエットから、ものの形を考えるきっかけや楽しみが広がるかもしれません。お話の最後のページに、みんなに届いたものが全部集めて描かれているので、お届け物を当てっこできます。シルエットクイズをして遊んでみるのも楽しそうですね。この形は何の形?と、子どもにとって新たな発見になるようにも思いました。
●「ピンポーン」という音、なにか特別な感じがしますね。お家でも、乗り物でも、日常にありますが、しょっちゅうは押さないもの。聞いてみたいし、ついつい押したくなりそうです。
町なかや、生活する空間に「ピンポーン」となるものがありますね。
インターホンはその代表、といった感じですが、バスの乗り降りを知らせるボタンや、飲食店で店員さんを呼ぶときに押すボタンもありますね。家のインターホンもそんなにしょっちゅうは鳴らないし、バスや飲食店のボタンも限定的なので、むやみやたらに押すものではない反面、なんとなく押したくなる衝動にかられるものでもあるように思います。家のインターホンが鳴ったときにはやはり、「誰かな?」「なにか宅配便かな?」と気になります。
絵本の中では、「ピンポーン」と描かれている文字も、お家ごとにそれぞれ違った字の形で描かれています。この文字の感じだったら、どんな音がするかな?高いかな、低いかな?など思い浮かべながら、ピンポーンと読むときに声色を変えて読んでみると更に楽しめそうです。
また、文章がピンポーンで始まり、受け答えをする繰り返しの文章になっていますので、1歳くらいの小さいお子さんからでも絵と文章でリズムよく楽しむことができると思います。絵本のサイズも17㎝✕17㎝くらいで小さなお子さんの手にも持ちやすく、読み進めやすいサイズです。
長男は小さい頃、飲食店の注文ベルが怖くて押せませんでした。長男側にベルが置いてあって、押して、とお願いするのですが、「押していい?」「本当に押していい?」「押しても本当に大丈夫?」と石橋を叩いて渡る、ときには壊してしまうようなタイプの長男にはハードルが高いものだったようです。小学2年生になった今では、ベルが何のためにあるのかも分かっているので、注文が決まったら自ら押してくれるようになりましたが、今思い出しても懐かしい、可愛らしい思い出です。関係ないのにバンバン押されるのも大変ですがね…。
みなさんのお家にも、嬉しい「ピンポーン」が来るかもしれません。誰が来るかな?何が届くかな?宅配員さんへのありがとうも一緒にお出迎えしましょう!
