せかいでいちばんのばしょ

3歳からの読み聞かせにピッタリ!君にとって世界で一番って何かな?友達を大切に想う気持ちが伝わります。

☆際立った特徴

  • チェコ出身の絵本作家。
  • 28㎝×26㎝の少し大きめの絵本。
  • 動物達の毛の1本まで丁寧に描き、動物の躍動感や動きの素早さ、美しさや優しさを感じさせる事が出来る。
  • のうさぎのめぐって歩く世界中の景色は美しい場所ばかり。だけど、なにか心にひっかかるものを感じながら…。
  • 「世界で1番」とは?(1番とはどんな意味を持っているのか…)
  • 旅へ行ったように、世界中の美しい景色を見る事が出来る。
  • 友達が側にいる場所だからこそ楽しくて嬉しい場所!

☆読み聞かせのポイント

  • あなたはどう思う?この原っぱが動物達にとって1番だって言っているのに、のうさぎはどうして納得しなかったんだろうね?
  • 世界中の美しい場所を見て回っているのに、何か心にひっかかるものがあったみたい。どうしてだろう?
  • やっぱり1人より友達や家族が側にいてくれる場所が1番だよね。
  • 「キレイで都会で人もうらやむような場所に1人で住むのと、平凡だけど友達や家族がいる家に住むのはどっちがいい?」就学前の子や小学生になるとこんな究極な質問をしてもおもしろいかもしれませんね!
せかいでいちばんのばしょ 表紙

☆あらすじ

白いのうさぎと茶色のあなうさぎが遊んでいました。

丘のてっぺんに座って、僕らの原っぱは世界で1番の素敵な場所なのかな?と話しています。

おいかけっこするのに調度いい、ここは世界で1番とあなうさぎは答えました。

次に、のうさぎはクマにも同じ質問をしました。

くまは、ハチミツを作ってくれるミツバチが沢山いるこの場所が1番!みんなとハチミツを分け合って食べる事がとっても好き!と答えました。

のうさぎは、小鳥たちにも聞いてみました。

ここは木がいっぱいあって、友達と木の上で歌うのが大好きだから、ここが1番だわ!と答えました。

カモにも聞いてみると、カモも川のあるこの場所が1番だと答えました。

のうさぎは答えを探し続け、みみずくにも聞いてみました。

「そんなに気になるなら、世界を旅して見て回ってきたらどうかな?」と言いました。

あくる朝、さっそくのうさぎは世界で1番の場所を探しに旅に出ました。

あなうさぎが遊ぶのにピッタリの野原を見つけたり、カモが泳ぐのにピッタリの川を見つけました。

雲よりも高い山に登り、ここは歌を歌うのが大好きな小鳥たちにピッタリだと思いました。夕日が沈んでいく海の景色は美しく、これを見たらクマさんはきっと喜ぶだろうと思いました。

最後に、のうさぎがやってきたのは砂漠。夜空がキラキラと輝き寝そべったのうさぎはそれを見上げていると、みみずくを思い出した。

世界中を見て回ってどこも素晴らしかったけど、のうさぎの心は寂しかった。

その時、のうさぎがすっと探していたものはこれだ!と思った。

のうさぎは飛び起き、今来た道を戻って行った。

山を越え丘を越え・・・帰ってきた。そう、もといた原っぱ。

世界で一番の場所は、ここだと分かったから。

それはね・・・、友達がいる場所!

☆書店員の感想

のうさぎは突然不思議に思いました。「僕らの原っぱが世界で1番の場所かな?」友達の動物に聞いて回るのですが・・・

友達のあなうさぎとかけっこで遊ぶのうさぎ。ふと自分達が遊んでいる原っぱを見ながら思いました。「この原っぱは世界で1番の場所なんだろうか」と。

あなうさぎは『追いかけっこして遊ぶのに最高の場所だよ!』と答えました。他の動物にも聞いて回ることにしました。

クマさんは『ミツバチが沢山いて甘いハチミツを作ってくれる。とっても美味しくて、みんなと分け合って食べるのがとっても大好きなんだ。』と答えました。小鳥たちは『木がたくさんあって友達に歌を歌うのが好きなの』と答えました。

どうやらのうさぎ以外の動物達は、この原っぱが大好きなようですね。しかし、のうさぎは納得が出来ない様子です。”他にももっと素晴らしい場所があるかもしれない”と自分の知らない外の世界に興味がわいたのかもしれません。

なんだか納得できなのうさぎ。最後に質問したミミズクにアドバイスされ、世界中を見て回ることしました。どんな1番の世界が待っているのでしょう。

ミミズクは耳が良いので、のうさぎが動物達に聞いて回っている様子を聞いていました。それでも納得できず、自分にも聞きに来たのうさぎに対して、『そんなに知りたいのであれば、自分で見て回ってきたら?』とアドバイスしました。他に聞くよりも、自分の目で見て回れば、のうさぎが求めている答えがきっと見つかると、ミミズクは考えたのかもしれませんね。

さて、のうさぎにとって「世界で1番」とはどんな意味があるのでしょう?美しい場所?住みやすさ?楽しさ?食べ物の多さ??

本書の1番面白いところは、のうさぎが「世界で1番」と言っている所だと思います。だって「世界で1番」って何の事だろうと疑問に思いませんか?

「何の世界1番なの?」と私は最初に思いました。住みやすさなのか、食べ物に困らない事なのか、自然豊かな美しさなのか・・・。

実はのうさぎも「何の世界で1番」をみんなに聞いているのか自覚がありません。でも、外の世界へ旅に出て、その意味に少しずつ気がつき、答えに近づいていきます。

のうさぎは、美しい夕日の沈む海を眺めてはクマさんが喜ぶだろうと感じ、山頂が雲の上にある場所では小鳥たちがきっと気持ち良く歌えそうだなと思いました。

美しい花が川辺を彩る滝があればカモを思い出し、砂漠で夜空を見上げながらミミズクの言葉を思い出し考えました。

、どんなに素晴らしい景色を見ても、のうさぎの心には友達がいます。「この景色を見せてあげたいな。」「ここで一緒に追いかけっこしたいな。」と友達の事をいつも思い浮かべてしまうのです。おそらく、色んな景色を楽しんでいくうちに気がつき始めたのでしょう。1人でこの景色を楽しんでも、いまいち楽しくない事に。

ここでようやく、「世界で一番」の意味に辿り着くのです!!さあ、「世界で一番」とはどんな意味だったのでしょう。

気がついたのうさぎは、休んでなんていられないと言わんばかりに、すぐに走り出しました。どこへ向かって走り出したのかな?

せかいでいちばんのばしょ 裏表紙

のうさぎの帰りを待っている友達。そして、自分にとって「世界1」友達だと気がついたのうさぎです。とても素晴らしい景色に、読者も一緒に行った気持ちになりますよ!

ここまでのうさぎと、世界各地を旅した読者のあなたなら、きっともう気がつきましたよね。どんなに素晴らしい景色も、どんなに楽しい場所も、いつものうさぎの心には友達の存在がありました。「ここの景色を見せてあげられたら。一緒に楽しむ事が出来たなら。」そんな風に感じながら旅をしていたのうさぎです。

のうさぎにとっての世界で一番とは、「友達と一緒にいる場所」だったのです!!一人で旅をしたのうさぎだからこそ、辿り着いた答えだったのではないでしょうか。

帰ってきたのうさぎを、暖かく迎える動物達も、「帰って来たぞ!」と、とっても嬉しそうです☆

これからまた、楽しい日々が始まる予感がしますね♬

  • 作品名:せかいで いちばんの ばしょ
  • 著者名:作 ペトル・ホラチェック 訳 いわじょうよしひと
  • 出版社:BL出版
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。