みんなだれかに
誰かは誰かに支えられながら生きているんだねと、お子さんに伝えたい時ににピッタリ!
☆際立った特徴
- 自然の中に見える”誰かが誰かの為に生きている”の形。
- 1人では生きていけない、支え合って生きている事を知る。
- 水彩絵の具で塗られた紙を、切り絵・貼り絵をしている。
- 優しい絵と言葉なので、小さい子にも自然と伝わり理解できる。
☆読み聞かせのポイント
- 「お花さんもハチさんも嬉しそうだね。」「大きな魚に食べられそうになっているから、小さな魚さんをイソギンチャクは隠れさせてあげているんだね。」等と、言葉を加えてあげると、小さい子にももっと伝わりやすくなります。
- 「〇〇ちゃんも、牛さんやニワトリさんから卵や牛乳を分けてもらって食べているんだよ。」自分達人間も、命を頂いている事を伝え、考え、感謝することが出来ます。
☆あらすじと書店員の感想
物語というより、ノンフィクションな自然界のありのままの姿を描いています。
沢山のきれいな花は、何のためにそんなに色の違った形も匂いも違った花を咲かせるのか。
大人は一度は考えたことがあるかもしれませんね。
花はキレイに咲かせ、いい匂いを出し、形を目立たせたり花粉を飛ばしやすい形にすることで、蜂やちょうちょに来てもらい、花粉を飛ばしてもらっているのかな?と私は思っていました。
しかし、本書を読んでみて忘れていたことに気がつきました。
ちょうちょや蜂は、花粉を運んであげる代わりに、美味しい蜜をもらっているのです。美味しい蜜だからこそ飲みながら、体全体に花粉をたっぷりとまとわせることが出来るのです。
とっても利害が一致しているというか、お互いに有難い存在というわけですね。
次に登場するリスさんです。可愛い赤い木の実を1人で食べれる分だけ頂いています。その代わりに種を土の中に植えてあげています。
木は動けないから、リスなどの動物が種を運んでくれれば、またどこかで命が土の中からニョキニョキと出て、葉っぱを広げてくれる事でしょう。
他にもワニと小鳥、イソギンチャクとカクレクマノミ、ブタの糞を転がすフンコロガシ、そして人間と牛・ニワトリの支え合いの関係を描いています。
一方だけがもらったり助けたり仕事をするのではなく、それは相手にとって大助かりな事で、感謝している事であるという内容になっています。
物語というより、ノンフィクションな自然界のありのままの姿を描いています。
植物でも動物でも、無くなったり、絶滅したりすると生態系が崩れると話では聞きますが、それってどういう事なんだろうと考えたことがありますか??
例えば本書の中に描かれているフンコロガシ。フンコロガシは動物の糞に卵を産むそうです。もしもブタやヤギがいなくなったら、転がす糞が無くて卵を産めないかもしれませんね。フンコロガシをエサにしていた動物や大きな昆虫はエサが無くなり困ってしまうかもしれません。
そんなことを考えると小さな変化に見えて、世界を大きく巻き込んでいるんだなと感じます。
動物や植物の事で人間には関係ないかも??と思うようなことでも、実は回りまわって人間にも大きく関わっているという事ですね。
少し本書のテーマとずれてしまったかもしれませんが、地球は全て繋がっているんだと、改めて深く考えさせられました。
難しいテーマのようですが、可愛くて温かみのある絵だから小さい子にも読みやすいのが嬉しい!
本書はすごく奥深いテーマがあると思うのですが、小さな子でも作者の伝えたいテーマがしっかり伝わります。それは表紙からも分かるように可愛くて温かみのある絵である事と、中の文書がとても優しい言葉を選んでいるからだと思いました。
私は、動物が互いに何かをもらい、生きる為に助け合ったり、相手に感謝の気持ちを伝える様子が、見ていてとても微笑ましく感じました。
4・5歳の少し難しい事も理解できるようになった頃にはもちろん、2・3歳の子にも「ハチさんはお花さんを助けてあげているんだね。」「魚さんがイソギンチャクの中でかくれんぼさせてもらってるね。大きなお魚が怖いのかな?」と楽しむことが出来ると思いました。
人間だってそう。誰かの命を頂いたり、分けてもらっているんですもんね。そんなお話もしてあげると、幼いながらに誰か(人・動物・植物など・・・)を大切に想う気持ちが芽生えてくれるかもしれません☆
- 作品名:みんなだれかに
- 著者名:accototo ふくだとしお+あきこ
- 出版社:幻冬舎