せんろはつづく どこまでつづく
電車好きにピッタリ!線路を走る色んな乗り物が登場!列車たちはそれぞれの特徴を生かして走って旅をするよ。最後はターンテーブルで車庫入れ開始!
☆特徴
- 「せんろはつづくシリーズ」全3巻中の1冊。
- 6人の子ども達が、赤い列車達を走らせる。
- 今まで列車が通ってきた線路の道。新しい線路を見つけ、繋げます。新たな出会いが!
- 新幹線・貨物列車・ディーゼル機関車・ブルートレインと連結。全部で9車両。
- それぞれの強み(車両の特徴)を生かした走り。
- 朝・昼・夕方・夜の時間の経過を美しい景色(背景)で描いている。
- 途中線路が切れている。「どうする?」 線路工事始め!!大人顔負けの独創性&遊び心満点!
- 沢山走ったら、列車たちの家へ戻り、車庫入れ開始。(ターンテーブル登場!)
☆読み聞かせのポイント
- この旅の途中で困ったことが起きます。ぜひお子さんとどうしたらいいのかな?と考えてみましょう!『こうしたらいいかも』と話すと面白いです。
- もともと電車好きなお子さんなら、「どうしよう?登れないよ!」とお子さんにも問いかけると、『そんな時はディーゼル機関車だね!』と、大人顔負けの知識で、正解が出るかもしれませんね。
- 「ここでピクニックしてみたいね」「星空の下を走るブルートレインってカッコいいね」と景色を楽しみながら発見や気づきを話すと、まるで自分も一緒に旅をしている一員になれます。
☆ここを深読みするとさらに面白い
- それぞれの特徴を生かして、列車たちが活躍します。
- 朝・昼・夕方・夜の時間の経過を美しい景色(背景)で表現しています。
- 線路が途切れた時、新たな線路を繋ぎ始めます。子ども達の発想は、自由で独創性があって、遊び心溢れた線路に仕上がります。
- 沢山遊んだら、列車たちもお家へ帰らなければなりません。車庫入れ開始!!電車好きに人気な「ターンテーブル」の登場!
★「せんろはつづくシリーズ」は、登場する子どもたちが線路をつなげ、列車を走らせるストーリー。リズミカルな文章で、子ども達の可愛い夢がどんどん広がっていく様子が描かれます。
1作目「せんろはつづく」 2作目「せんろはつづくまだつづく」 3作目「せんろはつづくどこまでつづく」
★作者鈴木まもるさん 『好書好日』インタビュー 「鈴木まもるさんの絵本「せんろはつづく」シリーズ せんろはつづく、人生もつづく
☆あらすじと書店員の感想
シリーズ第1作目である「せんろはつづく」では、線路をどんどん繋いでいって、グルッと一周繋がり、本書でも描かれている赤い列車がその線路を走るストーリーとなっていました。裏表紙で実は線路が2本に別れて、遠くの方へ向かって列車が走っていく様子が描かれていました。次はどこへ向かっていくのかな?と期待をし、想像や夢を膨らませていたのですが・・・
さあ、どんな本書では、どんなお話の線路が伸びていくのかな?
それぞれの特徴を生かして、列車たちが活躍します。
線路を敷きながら、赤い列車を走らせてきた6人の子ども達。すると、向こうに線路が敷いてあるのが見えます。「そうだ!線路を繋げよう!」すると、今度は新幹線を見つけます。「列車と新幹線、同時に走らせたいね。くっつけてみる?」きっとそんな思いで、6人は連結器(れんけつき)を出しました。(連結器とは電車と電車を同時に動かす時に、機体を繋げる部品を言います。普段は機体の中にしまわれています。)
新幹線の特徴はスピード!連結したことで、列車には出せないスピードを手に入れました。次に見つけたのは貨物列車。貨物は様々な物を沢山運ぶことが出来ます。しかし連結すると良いことばかりではありませんでした。機体が重くなってしまい坂道が登れません。すると、次に見つけたのはディーゼル機関車。ディーゼル機関車は力持ち。坂道だって平気で登っていきます。
ゆっくりゆっくり、真っ赤な夕日をバックに走っていく列車達。だんだん空が暗くなり一番星が見えた頃、寝台特急のブルートレインを見つけます。
「これでゆっくり眠れるね。」子ども達は安心して眠りにつきました。
朝・昼・夕方・夜の時間の経過を美しい景色(背景)で表現しています。
線路と線路を繋げる物語の冒頭、景色は花畑です。可愛らしいピンク・赤・黄色・白の花が咲いています。新幹線と連結した赤い列車はどんどん花の道を進み、窓からの景色を楽しみます。途中で出会うウサギやシカ、鳥たちは、その列車を面白がり後を追い遊ぶ様子も描かれています。
ディーゼル機関車に引っ張られて坂道を登るシーンでは周りの草原が、ビュービューと風に吹かれて傾いて描かれています。その列車に負けるまいと競争する動物達も、きっとすごいスピードで走っているんだと思いました。
夕日がどんどん沈むシーンはとっても美しい背景です。夕日を中心に外側へ向かって黄色からだんだんオレンジ・赤・紫色にグラデーションがかかっていきます。時間との経過とともに少しずつ夜になっていくんだなと感じることが出来ます。そして夜になり満天の星の中を列車は走ります。ゆっくり静かに列車が走り、朝を迎えるのですが・・・朝焼けに光る海が、夕日の時とはまた違った美しさを感じます。穏やかな波とカモメたちが鳴く音が聞こえてきそうです。
とっても美しい景色の中を旅する列車。読者も同じ列車でゆっくり景色を見ながら旅をしている気分を味わうことが出来ます。
線路が途切れた時、新たな線路を繋ぎ始めます。子ども達の発想は、自由で独創性があって、遊び心溢れた線路に仕上がります。
小高い山と池があります。山の手前で線路は急に途切れて、そして山を越えた向こう側に、次の線路が見えます。横には線路を繋げる為の道具もあります。「どうする?」
もちろん、線路を繋げたい子ども達。置いてある道具を使って山と池を超える線路を繋ぎます。どんな風に繋いだと思いますか?
子ども達は踏切・鉄橋・駅・トンネル・坂道を作りながらどんどん線路を伸ばしていきます。まっすぐな1本線ではなく、グネグネぐるぐる上へ下へと途中で分岐させながら、自由に伸ばして、ようやく向こうの線路に到着!
このページで描くワクワクするような線路の広げ方は、大人にはおそらく真似できない、自由な発想が描かれています。私なら1本道になってしまう所、本書の子ども達はどんどん好きなように楽しく伸ばしています。なんて自由で素晴らしい想像力なのでしょうか!
さあ、沢山遊んだら、列車たちもお家へ帰らなければなりません。車庫入れ開始!!
ターンテーブルと言われる転車台に1車両ずつ別れて乗り回転します。自分が入る車庫の前で止まると、まっすぐ移動し車庫に車両が入ります。すると車庫入れ完了!その作業が1車両ずつ行われます。最後は赤い蒸気機関車。白い煙をモクモク出しながら到着。(このシーンでは今まで「赤い列車」と呼んでいた物が急に「蒸気機関車」と呼んできます。おそらく他の車両と離れて単体になったからではないかと考えられます。私の憶測です。ぜひ列車の呼び方の違いが気になる方は、調べてみてくださいね!)
「楽しかったね!」「また行きたいよね!」と喜ぶ子ども達が声が聞こえてきそうなラストシーンでした。きっと明日もどこかへ旅へ行くのかな?明日はどんな線路を広げていくのかな?
そんな風に、この先の物語をまだまだ見てみたいと思わせてくれる作品だと思いました。
- 作品名:せんろはつづく どこまでつづく
- 著者名:鈴木まもる (インタビュー)
- 出版社:金の星社