14ひきのおつきみ

14ひきのおつきみ 表紙

「お月見」のシーズンに子どもに行事を教えたいと読むのも◎ ホッと休まりたい。月の光で包み込まれたい。そんな時にピッタリ!

☆3つのおすすめポイント

  1. 【お月見】とは何かを子どもに教えることができる。家族でお月さまを見た時の、月の圧倒的な大きさ!!作物の収穫を感謝する様子が素敵。
  2. 秋の訪れを感じさせる葉っぱの色の変化や、秋の虫たちを見つける楽しさがあります。
  3. 短い文章の中に沢山の想いを込めている。自然の描写が隅々まですごい!

☆あらすじ

14ひきのネズミたちが住んでいるのは、大きな大きな木の根っこ。今日はなんだかネズミたちが慌ただしく準備をしています。何の準備でしょうか。

小さなねずみの女の子くんちゃん。手作りロープウェイに乗って、みんなの待つ場所に向かって移動します。水筒も持っていますよ。ロープウェイを降りると、木の中間地点まで登りましたが、みんなの姿は見えません。枝にかかったハシゴを登って、どんどん木の上まで進みます。

小さなくんちゃん。落ちないように気をつけて。お兄ちゃん達が見守って、危ない時は手を引いて登ります。先に登っていた他の家族の姿が見えてきました。「みんないたいた!わーい くんちゃんもきたよー!」会えた嬉しさで、くんちゃんの疲れも吹っ飛んだ様子です。

そこでは、みんなが何かを作っています。細い木の枝を切って、組み合わせて、ロープで固定します。出来たのは、14人がゆったり乗れる程の【お月見台】

秋の夜空に浮かぶ、美しい月を眺める行事「お月見(十五夜)」 このお月見台の上で14ひきの家族が全員集合。

十五夜の頃は稲が育ち、間もなく収穫が始まる時期、「お月見」は、無事に収穫できた喜びを分かち合い感謝する日。ねずみ達が迎える”お月見”の日のお話。

☆際立った特徴

ねずみ達が住んでいる場所は木の根っこ。いくらそこから月を見ようと思っても、木の葉が邪魔をしてよく見えません。どうやったら見えるでしょうか。そうです。木の上に登ればよいのです。

今まで何でも、みんなで家族が喜ぶ良い方法を見つけ出して、行動してきた14ひきのねずみ達。今日は【お月見台】を作ります。月がよく見える木の上の広い場所で、家族みんなが集まるために。

職人のように手先が器用なねずみのお父さん。さすがです。子ども達と力を合わせて作り上げていきます。小さな子ども達だって手伝います。

そんな大変な思いまでして、準備する”お月見”って、一体どんな行事なのでしょうか。月を見ながら団子を食べる日でしょうか。

ねずみ達が「お団子も供えよう。栗の実もどんぐりも供えよう」と準備万端で、その時を待ちます。そこに、満月が山から顔を出して・・・どんどん登っていく姿には、迫力があります。大きいなぁ。きれいだな。手を伸ばせば届きそう!と、遠くにある月も近くに感じさせる大きさです。

お月見を楽しんだ晩、秋の夜の少し冷たい空気がスーッと流れ込んで、森・山・海を月が照らしています。

☆書店員の感想

月って、どうしてこんなにも美しいのでしょうか。晴れた夜空に浮かぶ月を見ると、なんだか嬉しくなり、今日の疲れをそっと和らげてくれるような力を持っているように私は感じてしまいます。

本書のテーマである【お月見】。夏が過ぎ去り、涼しくなり始めたこの時期に、満月を見て楽しむのは、日本の秋の風物詩ともいえます。

そして、秋といえば、夕日も真っ赤で美しいです。本書では夕日を浴びたネズミたちと一面ピンクががったオレンジ色に染まった森が描かれています。

その後夕日が沈み、だんだん暗くなる夕日の残る夜の空。少しずつ闇が広がっていきます。1秒1秒の時間の移り変わりが、空や景色の変化から伝わってきます。

本書は、【お月見】を知らない小さな子どもでも、お話を楽しみながら、美しい月を眺める事の理由や、収穫に感謝する事、秋が訪れて、少しずつ冬に向かう空気感を味わうことが出来るのではないでしょうか。

そして、14ひきのねずみシリーズといえば、いつも季節を感じさせてくれる植物や昆虫を見つけることが出来ます。

本書では、夏が終わり秋が訪れて間もない頃に、少しずつ木の葉も色づき始めます。どんぐりも沢山実っています。てんとう虫や蜂、アリなど出会うことも出来ます。

◎少ない言葉の中に、沢山の想いを込めている

全てのページ、見開きにひらがなの文章が1行しかありません。

「あっ あまがえる、はっぱの いろに なって ひるね。」(本文より引用)

ひらがなを覚えたての子でも読みやすい。短い文だからこそ、小さい子でもストーリーが理解できるように思います。

どのページも、その短い文章と絵で、家族の暖かさや・自然の豊かさ、季節感や空気、気温まで全てを感じ取れるように思います。

◎自然の細かな描写

いわむらかずおさんの絵本は、どの絵本も自然がとことん細かく描かれています。本書でも葉っぱ1枚たりとも同じ絵がありません。紅葉していく色も、虫食いの葉も、地面の草だって、全てに違いがあります。葉っぱ1枚1枚から、生き生きとした生命力や季節を感じます。

そんな中に、秋の初め頃に顔を出す虫たちを所々に描いています。見つけないままページをめくることもあるかもしれません。その位、ビッシリと自然が1ページ1ページに描かれています。何度見返しても発見があり、飽きません。

ちなみに、私は虫が苦手です。本物の虫たちを子どもと一緒に観察すことすら出来ません。しかし、14ひきのねずみシリーズに描かれる虫たちは、リアルでありながら、そんなに怖く感じません。可愛らしさまで感じることもあります。そして、子どもと観察したり絵本の上でなでたりまで出来ます。(本によってはダメな物も、少しはあるのですが・・・)

おかげで、子ども達に堂々と、「アマガエルとは違う色のカエルだねー」「赤とんぼどーこだ」などと楽しみながら虫の事を教えてあげることができます。有り難いです…★

14ひきのおつきみ 裏表紙

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。
     
    保育士・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士としての感想などご紹介出来たらと思っています。